ここ数年、日本では第3次タピオカブームにわいていますが、2019年頃からしびれる辛さ「麻辣(マーラー)」も密かにブームになり、一部では四川料理などの辛い料理を食べ歩く「マー活」なる言葉も生まれました。
実際に、本場中国での麻辣事情はどうなのでしょうか。
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季節を問わず、辛い食べものが好きな人が多い中国。四川料理のみならず、四川料理よりも辛いとされる湘菜(湖南地方)の酸っぱくて辛い料理は中国全土で人気です。特に、辛いソースの「ヨダレ鶏」や、鶏のから揚げが山盛りの唐辛子に埋まっている「辣子鶏(ラーツージ)」などの激辛料理が人気。今回は、その辛い料理の中でも特に人気を誇る「麻辣香鍋(マーラーシャングオ)」をご紹介します。
麻辣香鍋は、中華鍋で炒めた料理で、四川や重慶が発祥の地と言われています。味はその名の通り、しびれる辛さの「麻辣」がメイン。花椒、唐辛子、青山椒などがたっぷり入っていて、見ているだけで口の中がしびれてきそうですが、それらが芳醇な香りを生み出し、病みつきになるような味わいになるのです。
スパイスで使用するのは、花椒と「朝天唐辛子」と呼ばれる太めのコロンとした唐辛子、「藤椒(タンジャオ)」と呼ばれる青山椒など。藤椒は、生のものと乾燥させたものを使います。
具材は、れんこん、きのこ、しらたき、たけのこ、湯葉、長ねぎ、さつま揚げ、豚バラ肉。これらに先のスパイスを加えて、あらかじめ辛子で香りづけしておいた油で炒め、最後に白ゴマとパクチーを乗せれば完成です。
スパイスは具材とよく絡み合っているので、うっかり食べてしまわないように避けていく作業もじつは楽しみ方のひとつ。万が一食べてしまったとしても、辛さとしびれよりも香りのよさが上回り、クセになるという人も多くいます。
また、れんこんのシャキシャキ感やきのこ類のプリプリ感など、さまざまな食感が最後まで飽きさせません。
麻辣香鍋は「ヘルシーな料理」ということで女性の間で人気がありますが、その理由は、野菜はもちろん、きのこ類やしらたき、湯葉といった低カロリーの食材が使われているためです。そのうえ、たんぱく質源となる肉や魚は何でも合うので、そのときどきで好きな食材をとり入れられるのも◎。
ほかにも、唐辛子や山椒の辛い成分には発汗作用があるため代謝がよくなったり、美容にもよいと言われています。特に中国医学では、寒い季節には体を温め、暑い季節には体の熱や水分をため込みすぎないように汗をかくことなどが推奨されているため、年間を通して、美容や健康のために辛いものが好まれています。
新型コロナウイルスの影響で、ステイホームが続いていますが、自宅で「麻辣香鍋」などの辛い料理を食べながら、汗をかいてみてはいかがでしょうか? 特にこれからの季節にピッタリだと思います!
写真・文/伊勢本ゆかり