海外旅行ができないことによるストレスは、ここ中国でも共通の悩みのようです。
年間900万人(2019年データより)もの人が日本を訪れた中国では、「早く日本へ旅行に行きたい!」という声をよく耳にします。
こうした中、国内にいながら「日本らしさを味わいたい!」ということで、じつは今、中国では日本人が経営する美容院が大人気で、連日お客さんが殺到しているのです!
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北京市内には、日本人が経営する美容院や日本人スタイリストがいる店舗が数軒あります。
その中でも、都心の一角に店舗を構える美容院「Queen’s Berry」は、日本人の阿部恵美さんが代表兼スタイリストを務めるお店。阿部さん率いる中国人のスタッフが、日本と同じようなサービスを日本語で提供してくれるとあって、在住日本人御用達の人気店でもあります。
「日本人が通う美容院」として地元でも注目を集め、最近では中国人のお客さんも多く見かけるようになりました。また、コロナ禍で感染症対策を徹底して営業を続けていることから、日本に行きたくても行けない中国人や在住外国人が男女問わず押し寄せています。
「Queen’s Berry」のような「日式(日本スタイルの)美容院」が人気の理由は、なんと言っても技術力とサービスの質の高さ!
中国の美容院や理髪店はとても商売熱心で、施術中に絶え間なく前払い会員カードの購入をすすめられたり、追加サービスや商品の購入をすすめられたりとかなり積極的で、常にせわしなく、なかなかリラックスできないのが実情です。
一方、日本式サロンでは、ゆっくり雑誌を読んだり、提供されたお茶を飲んだりしながら施術を受けられ、また、スタッフとの他愛もない会話を楽しむことができ、美容院はいわば「いやしの空間」としての役割も果たしています。
また、おおらかな中国では、シャンプー中に顔に水がかかったり多少服が濡れたりしても気にしない人が多く、ヘアスタイルもお決まりのパターンになりがちなのですが、日本ならではのきめ細やかでていねいなサービスや、ひとりひとりに合わせて細部までこだわったヘアスタイルにアレンジしてくれるといった経験をした人たちは、日本式でないと満足できないのだとか。
現在、「Queen’s Berry」では、阿部さんを指名してショートスタイルのカットを希望する中国人が急増中で、さらに、グレー系などのブリーチをしてから華やかなカラーを入れるのがトレンドになっています。
また、これまで中国には日本ほど質のよいカラー剤がまだあまり流通していないため、カラーリングは体によくないと信じている人が多かったのですが、最近は、日本製の信用度が上がり、カラーリングや白髪染めをする人が増えてきました。おしゃれに敏感な人たちの中には、使用する薬剤について詳しく質問する人もいるのだとか。
薬剤以外にも、ドライヤーやカールアイロン、ヘアアイロンなど、その他の機械においても日本製の信用度は高いそうです。
「コロナ禍で日本に行けないお客さんに、日本での体験を味わってもらいたい」と阿部さん。
今は積極的にワークショップなども開催し、日本ならではのスタイリング技術や繊細なカラーの作り方、質のよいトリートメント、気持ちのいいシャンプーなど日本の技術を中国の美容師に積極的に伝承しています。
これまでは、中国に行ったら「マッサージでリラックスする」というのが定番でしたが、このような日本式のヘアサロンを訪れるのもおすすめですよ。
自由に海外旅行ができるようになり、中国に行かれた際にはぜひ試してみてくださいね!
写真・文/伊勢本ゆかり