週のはじめに気持ちを切り替える『月曜瞑想』。スマホの再起動のように心と頭をスッキリさせましょう。瞑想というと「難しそうだな」という人に“究極的”にカジュアル化したのが臨済宗建仁寺派 両足院副住職の伊藤東凌さんの『月曜瞑想』です。前回、基本の月曜瞑想をご紹介しましたが、慣れてきたらプラスして行いたい2つの動作があります。新著『心と頭が軽くなる 週はじめの新習慣 月曜瞑想』からお伝えしましょう。
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瞑想の目的は自分の頭のなかを観察すること
瞑想しているときに、いろいろな考えが頭のなかに浮かんできませんか。それは悪いことではなく、それを観察するのがむしろ瞑想の目的ともいえるそうです。
「気がかりなことが浮かんできても、ワクワクすることが浮かんできても、スルーできるようになるのです。“あっ、何か浮かんできた”と、頭のなかを客観的に眺められるようになります。私はこの境地をよく浜辺の話にたとえてお伝えしています。私たちの心は海に似ているところがあります。静かな水面のときもあれば、大きなトラブルが発生して大荒れになることもあります。
海が穏やかなときは、ただプカプカと浮いているだけでいいですが、海が荒れてくると、ふつうはなんとかその場を逃れようと足をバタバタさせたり、サーフボードやボディボードなどを使って波を乗りこなそうとしたり必死になると思います。ところが、瞑想が上達してくると、何もしなくなります。ジタバタすることを放棄して、流れに身を任せてしましまうのです。そうすると、いったんは沖に流されるかもしれませんが、波がおさまり、潮が引くころには浜辺(心を外から眺める場所)に打ち上げられることがわかってくるからです。そして、瞑想の達人になると、そもそも海に入ることなく、浜辺に座って海を眺めるようになります」(伊藤東凌さん)
頭に浮かんできたことにいちいち反応していると、心も体も疲れてしまいます。海が荒れても何もしない。究極は浜辺に座ってその様子を眺める。これが、「月曜瞑想」の最終の目標。 週1回の心の再起動のくり返しで得られる、最高の心の状態です。
感覚をさらに研ぎ澄ます 「月曜瞑想プラス」
基本の月曜瞑想は前回の記事を参照
https://fytte.jp/lifestyle/153576/
月曜瞑想では手を合わせる手順がありますが、手を合わせているときに、右手で左手を左手で右手をしっかり感じましたか。呼吸をしているときに息を吸っている、吐いていることを感じることができましたか。
「私たちには本来、自分にあるものもまわりにあるものも、繊細に感じとれる感覚があります。それが忙しい毎日や人間関係のストレスなどに心が振り回されていると、少し鈍くなってきます。そのままでいると、どんどん感覚が鈍くなり、自分を幸せにしてくれるものが近くにあるのに気づけなくなってしまうのです」
月曜瞑想ではその鈍くなっている感覚を、自分の体に意識を向けることで取り戻します。まさに周囲のいろいろなものを受け入れるための感覚を開いていく、ウォーミングアップのようなもの。
基本の月曜瞑想に慣れてきたら、2つの動作を合わせた「月曜瞑想プラス」をご紹介しましょう。
基本の月曜瞑想のやり方で「とう」まで数え終わったあとに、続けて行います。あなたのなかで眠っている感覚をさらに開き、研ぎ澄ませることができます。
月曜瞑想プラス
1.目を閉じて手を合わせたまま、音を聞く
2.目を閉じて手を合わせたまま、匂いを嗅ぐ
「『月曜瞑想』の基本のやり方では体の内にあるものを感じましたが、今度は体の外にあるものを感じてみましょう。都会の生活に慣れると、耳から入ってくる情報を無意識にシャットアウトしているところがあるものですが、耳を澄ますと、いろいろな音が聞こえてきます。
雨の日なら、雨音が聞けるときもあるでしょう。雨音にもいろいろな音があります。雨が屋根をたたく音、地面をたたく音、外を歩いている人がいたら傘にはねる音が聞こえてくるかもしれません。匂いに関してもふだんはあまり意識することはないかもしれませんが、意識を集中して嗅ごうとすると、そこには何かしらの匂いがあると思います」
本来もっている感覚を取り戻す「月曜瞑想プラス」。
「感覚を開いておくと些細なことや小さな動きに気づけるようになります。たとえるなら、解像度が低くぼやけていた映像が、解像度が高くなることではっきり見えてくるようなものでしょうか。そうなることによってチャンスやきっかけも見つけやすくなる、といえるかもしれません」
週の始めに自分を整える月曜瞑想。さらに体の外にあるものに意識を向けることでより新しい感覚がもたらされることでしょう。
次回は日常の動作を活かした瞑想法をご紹介します!
文/庄司真紀
参考書籍
『心と頭が軽くなる 週はじめの新習慣 月曜瞑想』(アスコム)