仕事のパフォーマンスを下げ、心身の病気リスクを上げる“孤独感”。1人でいると孤独に苛まれる人もいれば、1人でも幸せな人もいます。今回は、日本における幸福学の第一人者・前野隆司先生の著書『幸せな孤独 「幸福学博士」が教える「孤独」を幸せに変える方法』より、孤独な人が幸せになれる3つの考え方についてお伝えしましょう。
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物質的な幸せは長続きしない
前回お伝えした、孤独とは正反対の“幸せな孤独”。1人でいても満足して生活し、孤立感を感じていない状態です。この幸せな孤独を目指すには、まず幸せについても理解を深めていく必要があります。
「幸福学で幸せというのは、一時的なうれしい、楽しいという感情とは異なり、もっと長続きする幸せのことを指します。所得、社会的地位、資産などまわりの人と比べることで満足を得られるものを地位財と言いますが、地位財で得られる幸せは思ったよりも長続きしないということがわかっています。反対に非地位財が長続きする幸せに当たるのですが、それらに分類されるのが、健康、自由、愛情、自主性など。まわりの人と比べなくても喜びを得られるものです」(前野さん)
英語でいうHappinessは、おいしいものを食べたり、ゲームで達成感を得たり、ほしいものを買ったりする一時的に幸せな状態のこと。対して、長続きする幸せは、Well-being となり、幸せな孤独もこれに入ります。自分の心が豊かになることが本当に幸せなので、1人でいても、誰かと一緒にいても幸せになれるものなのです。
幸せになる3つの要素とは?
それでは幸せな孤独を手に入れるためにはどうしたらいいのでしょう。
孤独に関して学会でも認められている論文を集め、その内容を分析したところ幸せな孤独を実現している人々に共通する傾向として3つの要素が浮かび上がってきました。それは次の3つです。
1.うけいれる(自己重要)
「孤独に悩んでいる人は、ありのままの自分受け入れることができていないところがあります。幸せな孤独を手に入れる最初のステップは、自分が不幸だと思っていることを並べてそれが“悪い心のクセ”だと気づき、苦しんできた自分を許してあげることです。マイナスからゼロ地点に戻る。それが『うけいれる』なのです」
自分の欠点を責めたり、ほかの人と比べたりして、自分を卑下しないこと。まずはそうしたマイナスを心からとり除きます。
2.ほめる(自尊心)
「孤独感から抜け出せない人は自分の魅力や特徴に気がついていないところがあります。自分には魅力がないから孤独なんだというのは、誤った思い込み、悪い心のクセ。周囲に人がいる・いないといったことは必ずしも人間的魅力と正比例するものではありません」
自分に目を向けると、意外といろいろな魅力があることに気づけます。
3.らくになる(楽観性)
「孤独に悩む人は物事をネガティブにとらえがちです。そして孤独な人ほどこの先もずっと孤独であることを過度に恐れています。ですが『うけいれる』『ほめる』という段階を踏んでくると、楽観性をもつこともそれほど難しいことではないはずです。私は、楽観性は幸せになる因子の切り札のようなものではないかと思っています」
これらの3つの要素が伸びてくると孤独でありながらも幸せを感じることが多くなります。
「統計学的には孤独は不幸になりがちですが、細かく分析していくと、これらの3つの要素が強い人は孤独であっても幸せな傾向があります。どうして幸せなのかというと、ほかの人との違いを喜んで受け入れ、ほかの人との違いに自信と誇りをもち、まわりの評価を気にすることなく生きているからです」と前野さん。
次回は、これらの3つの要素に基づいて孤独でも幸せになるレッスンをお届けします。
参考書籍/
『幸せな孤独 「幸福学博士」が教える「孤独」を幸せに変える方法』(アスコム)
文/庄司真紀