日本人にはまだなじみのない国、アゼルバイジャン。ここに、日本の温泉療養施設のような、原油スパがあるというので、原理レポーターが取材に! なんでも欧州などからも療養に訪れる人がいるほどのスパなのだそうです。
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ラクダの具合がよくなった? 原油スパの成り立ちとは?
カスピ海沿岸に位置する、南コーカサスの国アゼルバイジャン。世界史の教科書にもでてきた「バクー油田」で有名で、石油や天然ガスなどの資源国として知られています。20世紀の初めには世界の石油の半分以上が生産されたといわれています。
そんな石油が健康や美容に効果があるのかどうか?となると、日本人にはなじみがありませんが、首都バクーから西に330キロメートルの場所にナフタランという街があります。そこで産出される「ナフタラン・オイル」は、燃料などになる、いわゆる石油とは成分が違うのですが、筋骨格系、神経障害、泌尿器系、婦人科系疾患、皮膚病などに効果があるとして、地元のアゼルバイジャン人だけでなく、ヨーロッパやロシア、中央アジアの国々からたくさんの人々が療養に訪れています。
アゼルバイジャンは太古の昔にはシルクロードの要衝で、ラクダのキャラバンの往来がありました。あるとき、連れていたラクダが病で弱り、やむを得ずナフタランに置いていきました。遠方での行商を終えて、キャラバン隊が再びナフタランを通りがかったところ、衰弱していたラクダがすっかり健康になっていたという伝説があります。そのラクダは街に湧いていたオイルに浸かったため、元気を取り戻したというわけです。また、19世紀、この地を訪れたドイツ人がこのオイルを使用した軟膏を製造したともいわれています。
原油スパのほかに、それを使った化粧品、軟膏も開発中
現在のナフタランには療養所兼ホテルがあり、そのような湯治ホテルに到着した宿泊客は、まずドクターの問診を受けます。ホテル内には診療所のようなスペースがあって、そこで自分の症状を伝え、療養メニューを作成します。たとえば「浸かるのは腰までで、一日一回、毎回5分だけ」など、副作用を避けるため、ドクターの指示に従わなくてはなりません。高級ランクのホテルには、宿泊客が退屈しないように、プールやジム、図書室やゲーム室、子どものためのプレイルームなどが完備されており、食事は3食付きで豪華なビュッフェスタイル。もちろんダイエット用の食事メニューも用意されています。
バスタブに浸かるタイプのオイルはチョコレート色のドロドロした液体で、石油臭がします。そのオイルを精製して透明にしたホワイト・ナフタランオイルもあり、このオイルは街の診療所で赤外線治療のときに患部に塗ったり、美容エステのメニューに取り入れられたりしています。筆者がこのオイルを手荒れや掻き傷の跡に塗ったところ、きれいに治りました。これを使用した化粧品などの製品化も期待されるところです。
写真・文/田玉有紀子、ホリ・コミュニケーションズ