急きょ引っ越した両親に代わって、実家のご近所にあいさつに行くことになった私。相手は私の子ども時代を知る方たちばかり。恥ずかしい、めんどうくさいと初めは思っていたけれど、気がつくと、ついつい話し込んでしまいました。やっぱり会話はリアルがいいなと実感した体験をご紹介します。
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夏の初めに両親が急きょ、そろって施設に入ることになりました。バタバタと引っ越してしまったので、お世話になったご近所さんへのあいさつをしてこなかったことが心残りの様子。そのことに気づいたものの、ちょっとしためんどうくささも手伝って「もしかして、私が代わりにあいさつに行ったほうがよかったりする?」とかなり消極的な感じで声をかけると「あ~、それは助かるね~! ぜひお願いしたい」と即答されて、引くに引けなくなりました。
特にお世話になった方2名には、ちょっとした品物を持ってうかがうことにしたものの、年齢はすでに90歳近く、何を持って行けばよいのだろうと迷うことしきり。甘いものは控えているかもしれない、生ものは食べ切れないかもしれない、でも食べもののほうがよい気がする、軽いものがいいだろう、気を遣わせないものがいいだろう、あれこれ考えて、浅草今半の佃煮とガーゼのハンカチを組み合わせることに。
品物をバラバラに用意してしまったことと、うっかり包装を断ってしまったことがあり、100円ショップでラッピング用品をいくつか購入。家にあるシール(こちらも100円ショップで買ったもの)と組み合わせて包装することにしました。
リバーシブルラッピングシートは、名前からもおわかりの通り、裏と表の色が異なるので、かわいく包めるかも♪と買いました。
しかし紙質がやわらかく、慣れない私には難しかったため、袋を作る作戦に変更。口をキュッとしぼってもおかしくないので、こちらのほうがラクチンです。
というわけで、いざ訪問。集合住宅地に住んでいるので訪問は簡単なのですが、インターホンを鳴らして「〇〇に住んでいる△△の娘の××です」と言っても、一瞬きょとんとしている様子が目に浮かび、内心ひやひやします(たしかに名字も違いますし、怪しく感じるのも無理はないですよね)。
それでも、扉が開いてからは、本当に歓迎されました。まず、両親の様子を知りたかったというのがあるようでしたし、子ども時代の私から今の私になるまでの空白の●十年があるわけですから、そこも気になる。もちろん自分のことも聞いてほしい…。私は私で、子どもの頃の印象とはまた違う、一個人としての人間像が目の前に立ち上ぼるのを見て「この方はこういう考え方をする、こういうお人柄だったんだ」と、発見の連続です。
子どものときに遊びに行き、カルピスをいただいたそのコップでオレンジジュースをいただいたり、手作りのらっきょうを持たされたりしているうちに、早くも日暮れ。30分でさくさくと終わらせる予定が、ゆうに2時間を超え、ようやく帰途に就いたのでした。
コロナ禍でオンラインでのコミュニケーションが発達し、それによって助かっている面もたくさんあります。でも、ことに年代や文化が大きく異なる方とコミュニケーションをはかる場合は、言葉にならない間合いそのものに大事な要素が含まれているものだなと改めて感じました。時短を求めてオンラインに走りがちだった私にとって、大事な経験になったひとときでした。(編集まりりん)
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