CATEGORY : ライフスタイル |暮らし
コーヒー博士に聞く! 1日3杯のコーヒーで健康寿命が延びる!? ウェルビーイング習慣

コーヒーは世界中で愛される飲みものですが、その健康効果についてはさまざまな研究が進められています。今回は、コーヒー博士として知られる福島 洋一先生に聞いた※、コーヒーと健康の関係や最新の研究で明らかになったコーヒーの新たな発見についてご紹介します。
※ネスレ日本「コーヒーのある生活について」より。
Contents 目次
コーヒーと健康の関係。知っておきたいコーヒーの基礎知識
※この記事は、ネスレ日本「コーヒーのある生活について」を参考に作成しました。
私たちが飲用しているコーヒーは「コーヒーチェリー」と呼ばれる果実から作られています。この赤く熟した果実の中に、コーヒー豆が含まれています。コーヒーチェリーには、抗酸化作用を持つポリフェノールやカフェインが含まれており、健康へのさまざまな効果が期待できます。
【コーヒーの基本成分2つ・働きと効果】
(1)カフェイン
カフェインの主な働きとしては、覚醒作用や集中力・注意力を高める、持久運動能力を高める、運動による疲労感を軽減する、胃酸分泌や消化を促進する、利尿作用があるなど。また、カフェインは交感神経(活動するときに働く神経)に働きかけ、やる気などの意欲を生み出してくれます。
(2)ポリフェノール
ポリフェノールは活性酸素から守るために植物が作り出す物質で、8,000種類以上もあると言われています。コーヒーに含まれるポリフェノールは「コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸など)」です。強い抗酸化作用があり、老化や生活習慣病など健康維持に役立ちます。また、血流を改善し、肌の健康にもよい影響を与えると言われています。
コーヒーと睡眠の関係。とり入れ方次第で、日中のパフォーマンスアップに!

https://www.nestle.co.jp/sites/g/files/pydnoa331/files/2024-09/about-caffeine.pdf
コーヒーに含まれているカフェインの代表的な働きのひとつが「眠気を覚ます」ことですよね。
カフェインと睡眠の関連について、福島先生の説明を元にご紹介します。
「脳の中には睡眠物質が存在しています。この睡眠物質が増えて一定量たまると眠くなります。眠っている間にこの睡眠物質が次第に減少していき、眠気がリセットされます。
睡眠物質のひとつにアデノシンがあります。このアデノシンが脳の細胞表面上の受容体と結合することで眠気が発生します。わかりやすくたとえると、アデノシンが鍵、受容体が鍵穴です。鍵が鍵穴にきっちりと収まって(結合して)、鍵を回すと、眠くなるわけです。
カフェインはアデノシンと似た鍵の形をしているので、アデノシン用の鍵穴に収まります。すると、アデノシンが鍵穴に入れなくなってしまいます。つまり、アデノシンと受容体の結合が阻害されるわけです。カフェインは偽の鍵なので、鍵穴に入ってもアデノシンのように鍵を回して眠気を起こしません。
これが“眠気を覚ます”というカフェインの仕組みです。だから、寝る前にカフェインの入ったコーヒーを飲むと、眠気が起こりにくく、寝つきが悪くなってしまう、と言われているのです」
寝る前にコーヒーを飲むと睡眠の質が低下すると言われるのは、カフェインの仕組みによるものだったのです。睡眠の妨げにならないよう、コーヒーを飲むタイミングとしては、適量を午前中や昼間がおすすめ。日中の眠気を抑え、活動的な生活をサポートする効果が期待できます。とくに「コーヒーナップ」として、コーヒーを飲んだあとに15~20分ほどの仮眠をとると、目覚めたときのスッキリ感が増すと言われているそうです。
最新研究で明らかになったコーヒーの健康効果とは?
コーヒーにはさまざまな健康効果が注目されていますが、最近の研究ではこんなことが明らかになっているようです。
(1)コーヒー習慣で、集中力・注意力が向上!
ヨーロッパ(欧州食品安全機関:EFSA)ではカフェインの注意力(集中力)の向上に関するヘルスクレーム(有効性や機能性に関する健康を強調する表示)が認められているのですが、これを後押しする研究が進んでいます。
日本栄養・食糧学会において、「コーヒー1杯相当(60~80mg)のカフェインの1回の摂取でも『アラートネス※1』『持続的注意力※2』『選択的注意力※3』が向上することが確認できた(東北大学加齢医学研究所 所長 川島隆太先生との共同研究)」と発表。
※1 何らかの刺激に対していつでも反応できる状態
注意力:受けとる知覚情報に注意を向け、 選択し利用する能力
※2 一定の反応行動を持続させる能力 (例:静かな環境で作業を継続する能力)
※3 長時間かつ反復活動中に集中力を維持する能力 (例:騒々しい環境で集中する能力)
(2)コーヒー習慣が、座位行動による総死リスクを下げる!?
座位行動(座りっぱなし)が長い人は疾患リスクを上げるという研究結果が出ていますが、同じ座位時間でも途中でコーヒーブレイクをとることにより疾患リスクを下げることが別の研究(ネスレ日本と早稲田大学 スポーツ科学学術院 岡浩一朗教授との共同研究)で示されています。
コーヒーはポリフェノールなどの健康成分の力だけでなく、効果的なコーヒーブレイクをとることによって、座りっぱなしのライフスタイルでも健康リスクが軽減される可能性があると示唆されています。

https://www.nestle.co.jp/sites/g/files/pydnoa331/files/2024-09/about-caffeine.pdf
(3)コーヒー習慣で、疾患リスクが低減する!
コーヒーを摂取することで、2型糖尿病、アルツハイマー病、心血管疾患のリスクを低減する可能性があると報告されています。一部の研究では、特定のがん(肝臓がん、大腸がんなど)のリスク低下にもつながる可能性があるとされています。
ウェルビーイング習慣! コーヒーのとり入れ方や選び方
ここまで、コーヒーの基本成分や健康効果、最新の研究知見についてご紹介してきました。
最後に、毎日の生活にコーヒー習慣をじょうずにとり入れることで、健康で活動的な人生を送る「ウェルビーイング習慣」についてお届けします!
●1日3杯程度を適切なタイミング飲用する「3 coffee a day」
ネスレ日本でおすすめしているのが、1日3杯のコーヒー習慣「3 coffee a day」。健康な成人であれば1日3~5杯程度のコーヒー飲用がよいのだそう。カフェインの半減期(血液中のカフェイン濃度が半分になるのに要する時間)は、飲用してから4時間程度であることから、1日3杯飲むと、日中のカフェインをほどよく活用させることができます。
また、朝食でコーヒーを飲み、カフェインをとるのは、活動的な状態で午前を過ごすためにも、時間栄養学の観点からもおすすめ。ただし、砂糖入りのコーヒーの飲み過ぎは健康効果を下げてしまう可能性があるので気をつけて。飲むタイミング(寝る前3~4時間以内は避ける)にも注意しましょう。
●コーヒーの飲み過ぎ、カフェインの摂取に要注意!
健康にいいからと、コーヒーの飲み過ぎはカフェインの過剰摂取にもなるので気をつけましょう。欧州食品安全機関(EFSA) では、18歳~65歳の成人においては、1日400mgまでのカフェイン摂取は健康上問題がないとされています(コーヒー約5杯に相当)。
●午後のパフォーマンスが向上する「コーヒーナップ」とは?
「コーヒーナップ」とは、日中眠くなったときやお昼ご飯のあとなど、カフェインを含むコーヒーを飲んでから、短い昼寝をすること。
コーヒーを飲んでから短い昼寝や仮眠(15~20分程度)をとると、カフェインが含まれるコーヒーの摂取後30分~1時間で効果のピークを迎えます。目覚めたあとにシャキッとして、パフォーマンスを発揮したい午後の活動をサポートしてくれます。午後の眠気を抑えて充実した時間を過ごしたい人は試してみてください。
●自分に合った飲み方を見つけよう!
コーヒーが好きでたくさん飲む人、一方でカフェインが苦手・敏感な人もいます。カフェインに対する感受性は、遺伝子レベルの体質で決まっていて、体に入ったカフェインを代謝する能力と脳内での受容体でのくっつきやすさが影響しています。代謝の働きは年齢によっても落ちてくるので、自分のペースでとり入れましょう。
●カフェインレスコーヒー(デカフェ)の活用!
カフェインレスコーヒー(デカフェ)とは、コーヒー豆からカフェインを90%以上除去したコーヒーのこと。完全にゼロではないけれど、通常のコーヒーに比べて大幅にカフェイン量がカット。それなのに、ポリフェノールは変わらず含まれています。カフェイン摂取を控えたい人(妊婦さんや疾患リスクがある人など)や、コーヒーに含まれるカフェイン量を調整したい人、夜にコーヒーを飲みたいときは、カフェインレスコーヒーを選ぶことでポリフェノールの効果を享受することができます。カフェインレスでもコーヒーの風味や健康効果を楽しめる選択肢があるので、じょうずにとり入れてコーヒーライフを楽しみましょう!
●カフェインハーフも併用した「カフェインチョイス」もおすすめ!
最近では、カフェインレス(デカフェ)だけでなく、カフェインハーフなどさまざまな種類のコーヒーが増えてきたため、好みにあわせてカフェイン量を調整する「カフェインチョイス」ができるようになりました。「カフェインチョイス」をとり入れることは、日中を活動的に過ごしたり、1日のオンオフをつけることの一助にもなります。
例えば、朝や昼食後はカフェインを含むコーヒーでシャキッと、午後はカフェインハーフタイプのコーヒーでひと息、夜はカフェインレスコーヒーでゆっくりと…というように、時間帯により飲み分けるのも一案ですよ。
【まとめ】
コーヒーは適切に摂取することで、さまざまな健康効果が期待できます。最新の研究成果を参考にしながら、自分に合ったコーヒーの楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。
【参考】ネスレ日本株式会社 | コーヒーと健康「コーヒーのある生活について」