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きちんと伝えたい性の話。子どもがいる人必見! 何歳から? 男女の違いは? どこまで伝える?

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性の知識の伝え方・答え方の画像

一般社団法人日本フェムテック協会(以下、日本フェムテック協会)が、フェムテックやフェムテラシーをテーマにした「ランチタイムウェビナー」を毎週火曜12:00~12:30に定例開催中。今回は、そのアーカイブの中から、「親から子へ、知っておきたい性の伝え方」をピックアップ。日本フェムテック協会の代表理事 山田奈央子さんを進行役に、一般社団法人JFP協会代表理事で助産師の尾形愛実さんに、「親から子へ、知っておきたい性の伝え方」について解説していただきました!

監修 : FYTTE 編集部

ダイエット専門誌として1989年に雑誌創刊し、2016年よりWEBメディアに。ダイエットはもちろんのこと、ヘルスケア、ビューティなど体の内側からも外側からも美しくかつ健康でいるための体づくりのノウハウを、専門家への取材とともに紹介。“もっと、ずっと、ヘルシーな私”のキャッチフレーズとともに、編集部員も自らさまざまなヘルシーネタを日々お試し中!

Contents 目次

親から子へ、知っておきたい性の伝え方

山田さんと尾形さん

山田:今日はとても興味深いテーマ「親から子へ知っておきたい性の伝え方」です。私も2人の息子がいるのですが、どのタイミングでどんな話をしたらいいのかなと悩んでいたところでした。親御さんにとってすごく聞きたかった、知りたかったというお話がたくさんあるのではないかなと思います。よろしくお願いいたします。

尾形:はい。まずは、自己紹介させていただきます。私自身は、18歳のときに妊娠・出産・結婚をして、その後社会人経験を経てから助産師資格を取得しています。

資格取得後に病棟でお産を取り扱ってケアをさせていただいていたんですけども、分娩そのものや、産後ケアもさることながら、その前段階として女性が子どもを産んで育てていくこと(周りの家族を含めて)と、子どもを持たない選択をした人たちに対しても、“グレーコンセプションケア※”だったり、思春期からの性教育の大切さを痛感し、性教育に興味を持ちはじめて、この団体を立ち上げました。そして“命の授業”を元にいろいろな講座を開設させていただいています。

※グレーコンセプションケア(プレコンセプションケア)ー妊娠を考えているカップルだけでなくすべての人にとって、健康な生活を送るうえでの重要な取り組み。

国際セクシアリティ教育ガイダンス

今いろんな性教育の団体があると思うのですが、私たちの団体はユネスコが提唱して発行している「国際セクシアリティ教育ガイダンス」を元に講座を開いています。そこでは「包括的な性教育が大事ですよ」と言われています。

とくに親御さんたちは子どもが思春期を迎えたり、第二次成長期になると、性教育の大切さに気づく人が多くいらっしゃるんですけども、よく聞かれる声としては「性教育は学校で教えてくれるんじゃないの?」とか「今うちの子にそういう性の話をしたら、逆に変な刺激を与えてしまうんじゃないか?」 とか。あとはお父さんが思うことに「セックス(性交)のことは、自然に体感して身につけていくんだから、わざわざ教えるもんじゃないんでしょう」など、そういった声がよく聞かれます。

「包括的性教育」というのは、単に性教育や月経、妊娠、出産、中絶、性感染症などを教えるものではありません。

性のスライド

性というのは、女性なのか男性なのかという性別から始まるのですが、実際に成長していく生活の中で、性に影響を与えていることは本当にたくさんあります。 

例えば、宗教や信仰、教育があると思うのですが、以前、カトリックの学校に通っている60代の女性の方が「女性が性を語る、または聞く、耳にすること自体が禁じられている環境の中に育ってきたので、子どもに伝えることも自分が性について何か話題にすることも、すごく抵抗がある」という人がいました。

このように同じテーマでも、受けてきた教育によっては性の捉え方が違うこともあるのではないかなと、さまざまなことが影響してるということをお伝えしていきたいと思います。

8つのキーコンセプト

先ほどもご紹介した「国際セクシュアリティ教育ガイド」の中では8つのコンセプトに分けて、教育をしていきましょうと、挙げられています。私たちが考えている性教育(月経や性交など)からすると範囲が広いことを実感すると思います。人間関係も性教育のひとつだと言われています。

また、知識として知るだけではなくて、スキルが大切になってきます。いろんな知識を子どものときに与えるだけ与えても、実際に自分がその状況になったときに、何を選択し、相手とどういう関係を築いていくかというのは知識だけでは解決できないので、スキルを身につけるための教育をしようと言われています。

性教育「スパイラル型学習」とは?

スパイラル型の学習

尾形:もうひとつ、ガイダンスで言われている性教育は「スパイラル型の学習」です。
同じことを何度も何度もくり返し、違う伝え方、その子の発達の状況にあった伝え方で伝えていきます。

例えば、プライベートゾーン(胸や股)のルールを伝えたいと思ったときに、いちばん最初の段階としては、その子のプライベートゾーンは自分だけの大切な場所なんだよってことを積み重ねて教えていく必要があります。

次に、プライベートゾーンを正しく洗う方法を身につけていってほしい。自分のプライベートゾーンを正しく洗う方法が身についたら、次は他の人のプライベートゾーンは、その人だけのものであって、大切な場所なんだよ、ということを知っていってほしい。

そして、もう少し年齢が進んだときに、プライベートゾーンと性的な行為は密な関わりがあって、性的行動でプライベートゾーンにふれ合うことを学んでいきます。そのときに正しい性行動についての知識とスキルを見つけていってもらいます。

というふうに、同じプライベートゾーンに関してもスパイラル型で学んでいきます。

■では、実際に性教育って何歳から始めるの?
私が提唱させていただいている性教育は0歳から。ただ、セクシャリティ教育ガイダンスの本では5歳からとなっています。そのほかの団体では、子どもが性的な質問をしてきたときが始めどきですよ、などさまざまに言われています。ですので、これが正しい答えではないと思いますが、私のお伝えしている0歳からというのは、とくに親御さんから伝えていただく機会は、生活の中にたくさんあるんですよ、と伝えています。

例えば、赤ちゃんがお母さんのお腹にいるときというのは、お母さんと赤ちゃんは一体の存在ですよね。赤ちゃんは生まれてきてすぐ、お母さんと別々の存在だとは認識していません。大体、生後半年ぐらいかけて、お母さんと自分が別々の存在で個体であるということを認識していきます。

その間に、なるべくたくさん心地のいいタッチや抱っこをしてあげることです。赤ちゃんが抱っこを求めているときには、あたたかい抱っこをしてあげる。逆に今ふれられたくないときは、きちっと分離させるとか。だんだんと別々の存在であると認識していく時期に、たくさん抱っこしてあげること。心地のよいタッチを教えてあげることで、大きくなってきたときに、悪いタッチに反応できる力が身につきます。

心地のいいタッチを知らない、悪いタッチばかり受けてきた子は、俗にいう性犯罪につながります。これは、心地よくないタッチ(悪いタッチ)が何かを認識する力を身につけることができないから。そうなると、将来的に性的虐待から身を守る力をつけることができなくなってしまいます。

■あとは、赤ちゃんは0歳で生まれてきたときから、お腹が空いたらおっぱいを飲みます。ほかにも、あれがほしい、これがほしいという快と不快の感情から始まる欲求がさまざまあります。それを満たしてあげることが大事です。満たしてあげてはじめて自分が愛されていることを感覚として養うことができます。その感覚は後々の自己肯定感だったり、性的なものに関しての自己決定権を培っていくことができます。

■あとは、プライベートゾーンについてです。
実際にされている親御さんたちもいると思いますが、お母さんやお父さんが、お子さんに自分の体を大切にして、自分だけのものなんだよって気持ちを込めた声かけや、大切に扱ってあげることではじめてほかの人の体を大切にすることができます。

自分の体を大切に扱われてこなかった子どもは、他の人に対しても大切にすることができませんので大事な基盤になります。

文章で伝えるようなゲーム学習は3歳以降

ゲーム学習は3歳以降のスライド

尾形:文章で伝えるようなゲーム学習については3歳以降にはじめて学んでいくことができます。子どもが理解ができるようになってきます。

3~7歳。遅くても10歳ぐらいまでにそのルールを生活の中でくり返し教えてあげることで、しっかりとプライベートゾーンのルールを守ることができるようになります。

文章・言葉が理解できるようになってくると、赤ちゃんはどこから来るの? など、目に見えるものすべてにいろんな疑問が出てきます。その質問にひとつひとつていねいに答えてあげることで、正しい知識を習得する段階をふんでいくことができます。

幼少期以降の性教育

また、現段階のお子さんの年齢が幼少期をとっくに過ぎている場合に、性教育を始めるのは遅いのかなと思う人が時々いらっしゃいますが、子どもがどの年齢であっても、すでに大人であっても、いつの段階でも性教育はスタートできると思っています。

ただ、お子さんの現状をよく見極めてほしい、ということです。
いきなり生理やセックスについて伝えようと切り込んでしまうと、失敗に終わる可能性があります。

■例えば、年齢の設定はバラバラだとしても、その子の欲求が満たされているか、よく見極めていただきたいと思います。中には、親と離れている時間が長いとすごく寂しい思いをしている子もいます。寂しさというのは、性的問題行動に結びつきやすいと言われています。すべてお子さんのわがままを聞くという意味ではなく、寂しさを解消するために親子の時間を少し長く持つようにするとか、時間はとれないけど、1日10分でもスキンシップをしながらお話をする時間をとるとか、そういった些細なことで満たされることがあります。

■あとは、プライベートゾーンのマナーについてです。
お家の中だと、お風呂上がりにお父さんが裸でふらっと出てくることがあるとします。家族全員が不快な思いをしていなくて、認め合っていればそれでいいと思うんですけども、もしかしたら誰かひとりでもやめて!と嫌がっているのだとしたら、マナー違反の範囲かなと思います。

そういった小さなかくれたマナーが守られているかどうか。もしプライベートゾーンを守れていない箇所があるのであれば、そこからお話をスタートしてみるといいと思います。

■あとは、性の知識がどの程度あるかということは、把握しきれていない人が多いのが現状です。まだまだセックスなんていう言葉は早いわ、と思っていても意外とオンラインゲームなどでセックスというワードを知っていたりとか。小学校低学年でも言葉だけ知っていることがよくありますので、何を知っているのかについては、日常の会話の中で拾っていけるといいのかなと思います。

■あとは、体の成長の度合いについて。
年齢ではなくて、その子自身の成長のスピードがありますので、まだまだ早いわと思っていても、最近の子は早いと10歳ぐらいで初潮がくる女の子もいます。男の子のだと精通が始まるのが早いと10歳くらいになりますので体の変化が起きる1年くらい前から下準備をしていくといいと思います。また、学校での学びも重要です。東京都では、「命の安全教育」という形で防犯も含めた性教育が新たなプログラムで始まっています。

学校によってとり入れ方がさまざまなのでこちらから教えるよりは「今日は何を学んできたの? どんな話聞いてきたの?」と聞いてあげるといいですね。

■あとは、悩みがあったときにネット検索をしているかどうかを気にかけておいてあげるといいです。セキュリティをかけている場合もありますけども、お家のパソコンやスマホでどこまで検索しているかなど、親が思ってる以上にお子さんは言葉もそうですし、検索もよくかけていたりします。現段階で悩みがあるか、悩みを抱えているのか、いないのかということをお話しできる関係なら、問いかけをしてみるといいですね。

これらを見極めたうえで、自分の子どもに何が必要かというのを見ていってもらいたいと思います。

性の知識の伝え方

性の知識の伝え方

尾形:実際に性について伝えていきたいと思ったとき、親がドキッとするような問題や、言いにくい質問を悪気なくどんどん聞いてきたりします。
そういうときにぜひ、絵本や本を活用してほしいと思います。

あとは質問に対しての答えがわからなかったときに、物語を作ってお話してあげてもいいのですが、小学生以降の子どもには、科学的ではないことを伝えるのはふさわしくないのかなと思うので、「それ、お母さんもわからないわ、気にしてなかったわ」とひと言返して今度調べてみようねと、絵本とか専門家に聞いてみるとかして正しい知識をきちんと一緒に入れていくことが大切です。

大人側のプライベートをきちんと守ることも必要です。
例えば、「パパとママもセックスしたの?」と質問されたら「そうだよ」って答えて終わればいいのですが、「どこで、どうやって? いつ?」と聞いてくるかもしれません。

そういうときは「プライベートなことに関わることだからお話はしないけど。パパとママが大好きで愛したから〇〇ちゃんがいるんだよ」というような感じで答えて、プライベートゾーンに関わることは他の人にはしないよ、というルールで教えていき、親も子も同じルールで伝えていければいいと思います。

年齢に合わせた言葉遣いで、科学的に正しいことを伝えていく必要があるのですが、小学校の低学年の子たちに、実際の性行為を詳しく教える必要はないと思いますので、命のトンネルとか、命のパイプという言葉を使って教えてあげられるといいと思います。

絵本の紹介

幼少期のお子さん~小学校低学年ぐらいまでのお子さんにおすすめの本をいくつかご紹介しておきますので、参考にしてみてください。

誕生日に親から伝えてほしいこと

尾形:お子さんの誕生日は性教育のスタート日、振り返っていただきたい特別な日になります。誕生日に子どもへ愛情を伝えられるのは親しかいません。また、どうやって生まれてきたかということを性教育の話につなげていけるいい機会だと思います。

何を伝えるかは、親になったときの気持ちや、生まれてきた過程・何時間かかって生まれてきたんだよ、などのお話をしてあげると、お子さんからも質問がたくさん生まれてくると思います。

注意点としては、お産に対してのトラウマや、ネガティブな思いがある人の場合は、うれしかったときの話や子どもの無事を思う気持ちなどいろいろな思い出があると思うので、誕生日に伝えてあげると“自分が生まれてきてよかった存在なんだ”ということが、毎年伝われていくと思います。ぜひ、伝えてあげてください。

性の知識の伝え方Q&A

女の子スライド

尾形:「女の子と男の子で何か伝え方の違いがありますか?」とよく質問をいただきます。
ポイントとして、女の子は生理があるので、体の造りをしっかり伝えていってほしいです。専門家の力、本の力などを借りてもいいと思います。
あとは、思春期の女の子はボディイメージですね。胸がふっくらしてきたりもしますので、体に関する言葉に大きく影響されます。

お父さんから言われたひと言などに、後々にとても大きな不安になりますので、体の変化に対する言葉は控えるようにするといいと思います。
性器の正しい洗い方も大切です。知らない人が多いので、親子で学んで正しい洗い方を身につけてほしいと思います。
初潮が来たら病気でなくても必ず検診を受けていただきたいと思います。相談できるかかりつけ医を見つけておくのもお子さんのためにできる性教育だと思います。

男の子スライド

男の子は情動や性欲です。思春期になってくると、女性が想像もつかないぐらいの激しい情動が出てくる可能性がありますので、コントロールの方法について話し合っておくこと。マスターベーションを人前でしないなどの最低限のルールとして、プライベートゾーンのルールを親子で再確認できるといいのかなと思います。男の子の性器の洗い方については、同性のお父さんから伝えてあげるといいのかなと思います。

性を伝えるときに気をつけたいこと

尾形:親としては、伝えたい思いが先行してしまうと思います。お子さんが聞く体勢でなくても一方的に伝えてしまいがちなんですけども、話をしている側も聞いている側も不快な思いをしていないかということを確認しながら進めていくことです。

親・お子さんのプライバシーが守られているか? ということにも気をつけていただきたいです。
あと、強要や脅し、偏見差別がそこに含まれていないか、親の考えを伝えることと、性教育を偏見に基づいて教える・伝えることは、性教育とは別ものになります。

山田:大変興味深い話をありがとうございました。みなさん、いろいろ質問したい人が多いかと思います。尾形さんは協会でも登壇されていますので、よろしければホームページを見ていただけましたら幸いです。

※本記事の内容は、2023年7月に配信された内容です。最新情報は公式サイトよりご確認お願いします。

【登壇者】※2023年7月時点
尾形 愛実 一般社団法人JFP協会 代表理事/助産師
山田 奈央子 一般社団法人日本フェムテック協会 代表理事/株式会社シルキースタイル 代表取締役

【クレジット/協力】
一般社団法人 日本フェムテック協会 スペシャルコンテンツ
>>>https://j-femtech.com/special_contents/

5万人が受講! 5分で無料。フェムテック認定資格3級はこちらから
>>>https://j-femtech.com/femcare-l/certificate/l3/FYTTE

文/FYTTE編集部

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