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迷い、焦り、不安…。ジェーン・スーさんが語る「50代の壁」の越え方

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迷い、焦り、不安…。ジェーン・スーさんが語る「50代の壁」の越え方

人生に悩みはつきものですが、50歳を過ぎてから感じる不安や葛藤は、これまでとは違う重さがあります。気づけば世の中は大きく変わり、気持ちは若いつもりでも、体力は確実に落ち、今までのように気合いや思い切りだけでは乗り切れなくなった現実に、愕然とすることも…。そこで、今回から3回にわたり、コラムニストのジェーン・スーさんに、50代のモヤモヤを晴らし、すこやかに過ごすためのヒントを教えていただきます。第1回目は、50代が悩める「仕事とキャリア」について伺いました。

監修 : ジェーン・ スー (コラムニスト)

1973年、東京生まれ。コラムニスト、ラジオパーソナリティ。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」、Podcast番組「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」、「となりの雑談」のMCを務める。『介護未満の父に起きたこと』(新潮新書)など著書多数。

Contents 目次

50代は若い人が活躍できるように“つゆ払い”するのが仕事

就職氷河期世代と呼ばれる50代前半は、社会人としてスタートを切る時点から荒波にもまれてきました。時代は巡り、コロナ禍を経て、組織や働く環境がどんどん変わっていく中、変化のスピードについていけていない自分に気づき、不安になることがあります。こうした環境の変化に、ジェーン・スーさんはどう対応しているのでしょう。

「私は今、会社員の方とは違う環境で仕事をしています。でも、私たちが新卒で入社したときと今では、会社の指針がかなり変わっていると思うので、柔軟性をもって対応したほうが、会社での居場所が確保できるのではないかとは思います。一方で、これまでいろいろとがんばってきた自分たちと、若い世代を比べて『甘やかされているなぁ』と感じることもあるかもしれません。でも、いつの時代も、そういうことはあるものです。私たちが若かった頃は、大学生でもちょっとバイトをすれば海外旅行に行けたけど、今では夢のまた夢。それぞれの時代でいいこと、悪いことがあるので『私たちのときと比べて〜』とは言わないで、柔軟性と臨機応変さをもって理解しようとつとめることが大事なんじゃないかなと思います」

柔軟性をもって仕事に向き合いながら、スーさんは「譲れないことは、はっきり決めている」と話します。

譲れないことは、“ちゃんとやること”ですね。たとえば、情報を得るためにより広い範囲までリサーチする、相手に届く言葉を使っているか、ふわっとした表現ではないかを吟味するとか。もう少しできるんじゃないか、というところを残さないことですね。それ以外は、基本的に人に託して任せるようにしています」

仕事の環境の変化では、ITが日常的に使われるようになり、AIをとり入れた仕事も増えてきています。ネットネイティブな若い世代が難なく使いこなしている様子を見て「私なんて…」と落ち込むことがあるかもしれません。反面、これまで仕事を続けてきた自分なりのプチプライドもあり、劣等感と自尊心の間で心が揺れることもあります。

「ITリテラシーに関しては、果たして自分が積極的に勉強する機会を設けてきたか。わからないと言って、やり過ごしてきた結果だとしたら、自分で引き受けるしかないかもしれません。もし今、困っているなら、謙虚に学ぶことが大切だと思います。自分が20代のとき、新しいことを学ばずにダメ出しばっかりするオジさん、オバさん、すごくイヤだったじゃないですか。あれに、なりつつある可能性を自覚したほうがいいかもしれない。50代が若い人に劣等感をもったり、張り合ったりするのは、本当に不毛なことだと思います。50代は、若い人が活躍できるように“つゆ払い”するのが仕事。それが、今まで自分が経験してきたことの健康的な使い方だと思います。若い人が上司に言えなくて困っていることがあったら、橋渡しをしてあげたり、がんばっている子には『ちゃんと見てるよ。すごいね!』と声をかけてあげたり。自分が若い頃に感じていた心細さを解消してあげられるのが、私たち世代なので、そちらにシフトしたほうがいいんじゃないかなと思います」

さらに周りを見渡せば、キャリアを積み上げ、華々しく活躍する同僚の姿も。眩しく感じながらも、「何かを成し遂げないと働く意味はないの?」と、普通でいたい自分との乖離にモヤモヤすることも。

「キャリアを積み上げるのは、やりたい人がやればいいことです。キャリアを積み上げるよりも、楽しく仕事を続けることのほうが大事なので、そこは、そんなに気にしなくてもいいのではないでしょうか。楽しく働いて、生活するのに十分な稼ぎがあれば、それで十分だと思います」

もし、好きで始めた仕事が、年齢とともに変わっていったら…?

「私だったら、違うことを始めると思います。転職をするときも、そんなに迷いませんでした。失敗することを、あまり大げさには捉えていないんですよね。見たかった景色と違ったら、次に行けばいい、という感じです。そう思えるようになったのは、新卒で仕事を始めて、いっぱい失敗をしたからです。そのおかげで、失敗をしても命までは取られないということに、比較的早い段階で気づきました。失敗って、若い世代も私たち世代も、全世代が怖がります。若い人たちは、まだ社会を知らないので、丁寧に相談に応じますが、50代は怖がる前にちゃんとやれって話です。自分は何ができ、どんなことが苦手で、何をしたら楽しいか、もうわかっているはずだから、自分を振り返って考えてみるといいと思いますよ」

人には向き、不向きがあるから、向いてないことはしないこと

最近では、副業をしている人も多く、新しいことにチャレンジしたいと思っている人も少なくないのではないでしょうか。同時に、50歳からの新たな挑戦に不安を覚え、なかなか一歩を踏み出せない、というジレンマを抱えることもあるかもしれません。

「“踏み出せない自分”を受容することから始めたらいいのではないでしょうか。踏み出せる人は、なんにせよ踏み出します。チャレンジする人って、周りの人とか状況とか全然関係なく、自分がやりたいから挑戦するんです。やりたいことはあるけど、『時間がない』『準備が整っていない』といろんな言い訳を考えている時点で、自分は一歩を踏み出せない人と自分自身を把握したほうがいいと思います。それは、自分にとって向いてないことだから。誤解してほしくないのは、“踏み出せない人”と“踏み出せる人”のどちらかが偉い、というわけではないということです。自分がどちらのタイプなのかを考え、踏み出せないタイプなら、そこに罪悪感を持たないほうが、心穏やかに過ごせると思います」

それでも、向いてない自分を認めたくない…という複雑な心境になることもありそうです。

「見栄を張らないほうがいい。向いていないことはしないこと。人にはそれぞれ向き、不向きがあるから、向いてないことを気に病む必要はないと思うんです。特に50代は。自分が踏み出せない、踏み出さないタイプなら、今やっていることを一生懸命やるのが、いちばんいいと思います

自分を見つめ直し、素の自分と向き合い、今の自分を認めてあげることが、モヤモヤを解消するポイントと言えそうです。

「仕事とキャリア」についてのジェーン・スーさんの考え方、いかがでしたか? ハッと気づかされたり、参考になることも多かったのではないでしょうか。次回は「家族とパートナーとの関係」について、お話を伺います。

 

撮影/田辺エリ ヘア&メイク/藤原リカ スタイリスト/宮崎真純 取材・文/野口美奈子

ニットトップス¥49,500、パンツ¥35,200 共にLE PHIL NEWoMan 新宿店
ネックレス¥20,900、ピアス¥26,400 共にNINA&JULES (ニナ・エ・ジュール)

■お問い合わせ先
・LE PHIL NEWoMan 新宿店
TEL:03-6380-1960

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