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イライラも疲労も大掃除! 今年こそ年末にあわてない! 家族みんなの心と体をリセットする「逆算片付け術」
早いもので今年も残りわずか。この時期、年末が近づくと、「また大掃除か…」と気が重くなる人も多いのではないでしょうか。忙しい毎日のなかで後回しにしてきた片付けや掃除が一気に押し寄せ、イライラや疲労の原因にもなりがちです。そんな年末のバタバタを今年こそ終わりにしませんか? 片付けコンサルタントの伊藤かすみさんが提案するのは、ゴールから逆算して無理なく進める「逆算片付け術」。家族みんなで少しずつ進めることで、心も体も整い、年末を穏やかに迎えられる新しい片付けの形です!
Contents 目次
年末に慌てて大掃除…には、もうおさらば!「逆算片付け術」とは

大掃除や片付けと聞くと、私たちはつい「面倒な家事のひとつ」と捉えがちです。ですが、この「逆算片付け術」の第一歩は、そのマインドセットを変えることから始まります。
ずばり、片付けを“家事”と考えるのではなく、“仕事”と考えてみるのです。仕事には、必ず「期限(納期)」がありますよね 。そして、その期限に間に合わせるために、いつまでに何を終わらせるかスケジューリングをします。片付けも、これとまったく同じことをするのです 。
私は、もともと建設現場で現場監督として働いていたことがあり、そこでは「工程表」の作成が当たり前でした。特にイベントの時などは、開催日が決まっています。そこから逆算して「何日前までにこれが終わっていないといけない」とチェックリストを作ることで、準備がスムーズに進みました。
この手法をクライアントの引っ越しに応用してみたところ、荷造りが格段にラクになったのです! この逆算思考の習慣を、そのまま片付けに持ってきたのが「逆算片付け術」です。
そのゴールから逆算して、
・「12月頭までには、不要な服を仕分けておく」
・「11月3週目までには、エアコンクリーニングを予約する」
このように、期限(ゴール)から逆算して「今やるべきこと」を具体的にスケジュールに落とし込んでいく。これが「逆算片付け術」の基本です。
「逆算片付け術」が、家族みんなの健康につながる理由
「逆算片付け術」の最大のメリットは、準備計画を立てることによって、忙しい気持ちが消えていくことにあります。
私たちは「年末はみんな忙しいから、片付けなんてできない」と、半ば思考停止に陥りがちです。しかし、実際に手帳やカレンダーアプリを開き、やるべきタスクを書き出し、片付け日を予約しスケジュールを組んでみると、「なんだ、この日にやればいいんだ!」という安心感が生まれます。
タスクが可視化・細分化されることで精神的な負担が劇的に減り、脳のリソースが解放され、メンタルの安定につながります。
また「大掃除ハイ」で一気に片付けた後、熱を出して寝込んでしまった。そんな経験はありませんか。年末に体調を崩しがちな人は、大掃除による気疲れと肉体疲労のダブルパンチが引き金になっているケースも少なくありません。
逆算片付け術は、「一気にやらない」ことが大前提です。日常の暮らしをしながら、負担のない範囲で少しずつ片付けを進めていくため、体が疲れたりダウンすることもありません。
そもそもなぜ毎年、年末の大掃除は大変になってしまうの?
では、なぜ私たちは、大変だと分かっているはずの年末の大掃除を、毎年律儀にくり返してしまうのでしょうか。その原因は、とてもシンプルです。
30〜60代の女性は、ふだんから家事や仕事、育児や介護と、複数のタスクを常に抱えています。そこへ年末になると、どうでしょう。「大掃除」という巨大プロジェクトが追加されるのに加え、親戚が来る、義理の両親が来る、料理の準備、お土産、接待など考えることはたくさん!
ただでさえキャパオーバー気味なところに、これだけの「名もなきタスク」が一気に降りかかれば、混乱するのは当然です。
「片付け」と「掃除」の二重苦という落とし穴
そもそも、片付いていない家を大掃除するとなると、まず「片付け(=モノの移動、収納場所の確保)」をしないと「掃除(=汚れの除去)」ができないのです。
「とりあえず、この散らかったものをクローゼットに突っ込んで、見た目だけ整えよう…」と、モノの移動作業だけで数日を費やし、心身ともに疲弊しきった頃に、やっと大掃除本番。これでは当然大変です。
さらに深刻なのは、この重労働が「お母さん(妻)の仕事」として、女性のワンオペ化しているご家庭が少なくないことです。ひどいケースでは、ふだんから片付けをできていない奥様が悪い、と最終的に思われて終わりというご家庭もあります。
加えて、お子様は冬休みで家にいて(リビングが散らかる要因に)、受験生は塾通いが佳境に入り、いつもの家事ルーティンさえ崩れがち。ということで、いつになく忙しい年末にさらに重い大掃除が降りかかってきているのです。
ポイント①「やらないこと」を決める勇気 〜プロに任せるという選択〜

このカオスな状況から抜け出すために、まず必要なこと。それは「やること」を決める前に、「やらないこと」を決める勇気です。すべてを自分で抱え込む必要はありません。
では、何を「やらない」と決め、プロに任せるべきか。目安は、自分(素人)がやると、膨大な時間がかかり、かつ専門的な道具や知識が必要なことです。
例えば、浴室、水回りの水垢取り、レンジフードの掃除、エアコンの掃除は、ふだんしていないため時間もかかりますし、専門知識や道具も必要です。そこは思い切ってプロに任せましょう。
ポイント②「1日集中」から「週末分散」へ

一気にするということは、体力的にも辛い作業です。
この作業を来年もガンバろうと思えるでしょうか。大掃除が好きという人は本当に少数だと思います。このような、社会的事実となんとなくの習慣からの負のループから離れるには、「型」を変えるということがいちばん有効で、強制力があると思っています。
仮に、すべての大掃除に「合計8時間」かかるとします。 これを11月中旬から、毎週末に分散させるとどうなるでしょう。年末までに「6回」の週末があるとします 。
8時間(60分×8=480分)÷66回 = 1回あたり80分(1時間20分)
どうでしょう。週末のうち「1時間20分」だけ集中すれば良いとなれば、少しハードルが下がりませんか。「土曜の午前中に、1時間20分だけタイマーをかけてやる」と決めてしまえば、午後は自由です。
さらに、この80分を土曜日と日曜日に分ければ、1回あたりたった「40分」になり、もっと気軽になりますね。40分あったら何か1カテゴリーの掃除はできて、さらに毎週満足感が生まれるでしょう。
そして週末なら家族にも手伝ってもらえる可能性も高くなります。そうなるとさらにラクになり、頻度も減らせ、または時間を減らすことができるでしょう。
例えば、窓掃除を家族全員で行うとしたらどうでしょう。きっと家中の窓の掃除は1時間あれば全部済むかもしれません。
「やらないこと」を決め、少しずつ進める――。この「逆算片付け術」の発想をとり入れるだけで、年末のあわただしさはぐっと軽くなります。
次回の【後編】では、そんな逆算片付けをさらにラクに続けるための「大掃除をらくにする3つの新常識」を伊藤さんに教えていただきます。お楽しみに!



