日本でもおなじみの「火鍋」。寒い冬にはやっぱりお鍋、が定番ですがここ中国では鍋料理を一年中食べます。太陽が照りつける暑い夏だろうと、1時間しかないランチタイムであろうと、火鍋は特に女性に大人気の定番食です。
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火鍋とは辛い鍋のことではなく、火にかける、いわゆる鍋料理のことなんです!
火鍋と聞くとその字面から「口から火を噴く辛い鍋」をイメージしますよね。現地で火鍋とは日本で言うところのしゃぶしゃぶに近いお鍋のこと。辛さには関係なく火にかけた鍋、なのです。火鍋屋さんではまず、鍋のスープを選びます。キノコや鶏の白湯スープはもはや定番、海鮮スープやトマトスープで食べる鍋もあります。しかし何といっても一番人気は麻辣スープ。しびれるほど辛い料理で有名な四川料理がルーツの火鍋で、ひと口食べると口の中がビリビリとしびれ、全身からたちまち汗が噴き出してきます。
しゃぶしゃぶなのだから、シンプルなだしでいいのでは?って思いますよね。でも中国の火鍋は、具材をスープにくぐらせ、スープに含まれた油分が膜を作るので、スープの味も一緒に食べられるのが特徴なんです。味がついているものの、じつはつけダレも種類が豊富。火鍋店にはつけダレ専門のバイキングが用意されているので、自分で好みのつけダレを作る楽しみもあります。具材は日本と変わりませんが、北京など北方エリアでよく食べられるのが、羊肉の火鍋。新鮮な羊肉はクセも強くなく、薄切りのお肉を味のついたスープにじっくりくぐらせるので、くさみなども気になりません。何よりも体を温める食材なので特に冬には羊肉の火鍋が外食の定番なんです。
火鍋人気がここまで高いのには、理由があります。まず、中国では飲みものや食べものは温かいものが基本。冷たい食べものは体によくないと、特に女性には不人気。その点火鍋なら、食事中、常に熱々! しかも具材を自分で調理できるので衛生面でも安心です。
そしてスープに投入されている漢方の材料、薬草やハーブ類が健康に効果があるのも人気の秘訣。体を温めるショウガやニンニク、ネギ、クコの実、棗(なつめ)、朝鮮人参の根っこなどが入っているので、まさに漢方スープ。全身がぽかぽかと温まるスープと、つけダレにたっぷりのパクチーやネギ、ニンニク、ゴマなどの薬味を加えれば、全身がぽかぽかと温まるうえ、美肌とデトックス効果も期待できそうですね!
中国で最近の流行は一人鍋店。日本の牛丼店のようにカウンター席で一人鍋を楽しめる店構えになっているので、ランチタイムや、一人での食事に最適。友人と辛さや味の好みが合わなくても心配無用です。それに大きなお鍋のお店では、ハーフ&ハーフでスープを2種類選ぶのも定番。年中食べられる本格火鍋、中国へ旅行したら、必ず食べたい一品です。
写真・文/伊勢本ゆかり、ホリ・コミュニケーション