春はスタートの季節。4月に新社会人になった人、転職した人、久しぶりに復職した人、あるいは新しい趣味や勉強を始めた人もいることでしょう。でも、新しい環境にいる“苦手な人”にストレスを感じている人もいるかもしれません。『イラスト&図解 コミュケーション大百科』(かんき出版)等の著書がある研修講師の戸田久実さんに、苦手な人と付き合っていくためのヒントを伺いました。
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自分が行動を起こすことで、「その人が変わるか」に着目
この人が苦手……と感じたとき、「どこが苦手なのか、よく考えてみてください」と戸田さんはアドバイスします
同僚のかわいい子ぶるところが苦手、上司が細かいミスまで指摘してくるところが苦手、先輩のきつい話し方が苦手、笑い方が苦手、はたまた体臭が苦手……など、苦手の中身はいろいろです。
「そこで、『なんでこの人はいつも細かいんだろう』『なんでこの人はこんな笑い方をするんだろう』と、『なんで、なんで』と考えてしまうとストレスがたまり、その人のすべてが嫌になってしまうことも。ストレスを手放せるように、次のようにステップを踏んで、対策を考えてみましょう」(戸田さん)
step1:自分が行動を起こすことで、その人の苦手な部分が変えられそうか
その人に対して、自分が『こうしてほしい』と伝えることで、苦手な部分が軽減されるかを考えてみます。
「ある人は、『上司の指示がいつも急で、こちらの都合を考えてくれず、まいってしまう』という悩みを持っていました。そこで、『急ぎの打ち合わせでも、せめて30分前には伝えてくれませんか』と相談するようにアドバイスしました。案外、上司には何も言ってはいけないと思っている人も多いようですが、改善の余地があることは伝えてもOKです」(戸田さん)
しかし、「細かい」「かわいい子ぶる」といった“性格”や、体臭といった“体質”は、自分が行動を起こすことで、変えてもらえるものではありません。その場合は、どうすればよいでしょうか。
step2:変えられないのであれば、必要以上にストレスを抱えないように過ごすには、どうすればいいかという点に意識を向ける
「その苦手な部分にこだわって、『いやだ、いやだ』と思っていると、ストレスがたまるばかりです。どうしてもダメなら転職するのもアリでしょう。しかし、この会社で仕事を続けたいという思いがあるなら、それを最優先に考えます。そして、自分が行動を起こせないようなことだったら、『私はこの人の性格はどうにもできない』と、割り切ることが肝心です」(戸田さん)
苦手な人に思いを伝える用例集
苦手な人に対して、自分の思いを伝えたいときのフレーズを紹介します。
■自分の意見を一方的に押しつけてくる上司に、ひと言
「○○さんのご意見はわかりました。恐れ入りますが、私の意見も聞いてもらえないでしょうか」
相手の発言に、ひとまず理解を示してから、自分の言い分を!
■高圧的な上司に厳しい叱責を受けたときに、ひと言
「今すぐに整理して言葉にすることができないので、お時間をいただけますでしょうか」
思考停止になってしまったら、ひとまずブレイクをとるのがカギ。
■ネガティブ発言ばかりで、いつも場の雰囲気を悪くする人に、ひと言
「いろいろ言いたくなることもあるだろうけど、今日は楽しい話題がいいな」
「あなたってネガティブだよね」など人格を否定するような発言はNG
■マウンティングにうんざりする同僚に、ひと言
「○○さんの仕事ぶりは、勉強になることが多いですよ」
「そうなんだー。ところで」
マウンティングには応戦しないのがポイント。相手を立てるか、スルーしてその場をやり過ごしましょう。
■また始まった!? 話が長い人に、ひと言
「いろいろ話は尽きないですよね。申し訳ないですが、そろそろ時間ですので、今日はこのあたりで。お話できて、よかったです。ありがとうございました」
お礼の言葉で締めれば、失礼にあたりません。
参考:『イラスト&図解 コミュケーション大百科』(かんき出版)戸田久実著
取材・文/海老根祐子