チームリーダー、主任など、この春から部下を持つことなった人もいることでしょう。初めてのリーダーという立場に戸惑いもあるかもしれません。『イラスト&図解 コミュケーション大百科』(かんき出版)等の著書がある研修講師の戸田久実さんに、リーダーとして自信がつく心得について伺いました。
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理想のリーダー像に振り回されないで
女性管理職も当たり前の時代になりました。しかし、「自分はリーダーシップをとるタイプではない」「プレイヤーでいるのが好き」と思っていたのに、実績や年次でチームリーダーに抜擢されてしまったなど、思わぬ昇進に、「私なんて、リーダーの器じゃないのに……」と戸惑っている人もいるかもしれません。
でも、そもそも、リーダーの器とは何でしょう?
「自分はリーダーの器じゃない、という考えには、リーダーは失敗してはいけない。後輩の見本になるべき……という“思い込み”と自分を比べている可能性があります。
大事なのは、自分の理想とするリーダー像に振り回されないことです。最初から、完璧なリーダーを目指す必要はありません。先輩から教わったり、さまざまな経験を積みながら、リーダーとして任された仕事を遂行していけばいいのです。
リーダーでも、後輩や部下に助けを求めてもOK。『エクセルは苦手だから、誰かやって~』と頼ってもかまいません。仕事を割り振るのも、リーダーの仕事です。
不完全なリーダーでもいいのです。ただ、責任転嫁は決してしてはいけません。仕事を任せた部下が失敗したとしても、『あなたの失敗は、私の指導が悪かったせいじゃない』という態度では、信頼を失ってしまいます。一緒に責任を抱えることも大事です」(戸田さん)
部下をその気にさせるのもリーダーの仕事
後輩や部下を成長させることもリーダーの仕事。でも、やる気が見られないという後輩や部下がいると、リーダーの素質を問われているような気分になって、悩ませることがあるかもしれません。
「でも、本当にその人はやる気がないのでしょうか。“やる気がない”と決めつけるのも、思い込みの可能性があります。やる気がないように見えるのは、もともとその人のテンションが低いせいかもしれません。こちらの思い込みで、働きかけをしないことで、やる気を失っていることも考えられます。
人がモチベーションを発揮するのは、『役に立っている』『必要とされている』という実感があり、自分の居場所があると思えたときです。部下のやる気を引き出すには、ささいなことでも、『手伝ってくれて、助かった。ありがとう』『○○さんはどう思う?』といった言葉がけをして、存在を認めてあげることが必要です」(戸田さん)
部下をその気にさせる用例集
ちょっとした言葉の違いが、後輩や部下の士気に影響することも。部下をその気にさせたいときに使えるフレーズを紹介します。
■仕事の覚えが遅い部下には―――
×「1か月以内に、この仕事を覚えないとダメだよ」
○「1か月以内に、ここまでの仕事を覚えると、次のステップの仕事が頼みやすくなるよ」
「『~してはダメ』という言い方では、否定された気持ちになってしまいます。『~するとよい』と言われれば、どう動けばよいかがわかって、行動が変わりやすくなります」(戸田さん)
■部下に主体的に動いてほしいときは―――
×「自分から主体的に動いてね」
○「わからないことがあったら、教えてもらうのを待つのではなく、自分から聞きにきてね」
「ぼんやりした指示は、ぼんやりとしか届きません。伝えたいことは、明快に言葉にするようにしましょう」(戸田さん)
参考:『イラスト&図解 コミュケーション大百科』(かんき出版)戸田久実著