コナコーヒーと呼べるものは、じつは限られている

毎年10月末から2月初めの時期、コーヒー豆は手で収穫されます。“コナコーヒー”と言えるのは、大きさで５種類に分けられたもの、それ以外はコナコーヒーとしてではなく、単なる“ハワイコーヒー”として売られます。 また、そのコナコーヒーの３～５％にあたるピーベリーは貴重な豆として人気があります。通常コーヒーの実にはふたつの豆が入っていますが、その実にひとつしか入っていない小さく丸っこい豆のことをピーベリーと呼びます。 実際飲んでみると、最後に甘みが残り酸味が少なくクセがないため、ブラックでも飲みやすい味となっています。

コーヒー豆の収穫が終わると、豆はオアフ島にある焙煎工場へと運ばれます。工場はワイキキから車で20分ほど行った場所にあります。毎週月曜から金曜10時30分、12時30分から工場見学ツアーが行われ、所要時間は30～40分ほどです。金曜日はメンテナンス作業のため、機械はフル稼働していないので、ホームページで確認したほうがいいでしょう。
https://www.hawaiicoffeecompany.com/page/free-roastery-tour/japanese-tours

ハワイでコーヒー産業が盛んになるまで

そもそもライオン・コーヒーは、1864年、オハイオ州創業で、今と同じライオンのパッケージで、良質な豆を焙煎、コーヒーを売っていました。その当時世界でも最大級規模のコーヒー焙煎をする会社になっていたのですが、その後1930年ごろ閉鎖。しばらくライオンの名前も休眠状態となっていました。その後月日が流れ1979年に今のライオン・コーヒーの創業者でもあり、ミズーリ出身のジェームズ・デラノ氏が、ハワイにライオン・コーヒーを持って来て、ライオンブランドを復活させました。現在は、ライオン・コーヒーのブランドを筆頭にしたハワイ・コーヒー・カンパニーとなっています。
また、少し時代が遡ること、1868年（明治元年）に１５３人の日本人がサトウキビ畑の労働者としてハワイにやってきました。いわゆる移民の歴史の始まりです。その後サトウキビ産業が衰退していく中、ハワイ島のコナではコーヒーへの転換となり、８割以上の日本人が農園を経営したと言われています。ハワイ・コーヒー・カンパニーのブランドの中には１つのコナコーヒー農園から収穫したエステート商品があるほか、アランウォンや、ロイヤマグチといったハワイ、またアメリカを代表するシェフが、 自らブレンドしたコーヒーも売りに出されています。

このオアフ島にある焙煎工場では、品質管理研究室、豆のブレンド、焙煎、フレーバー工程、そして最後の小売用個包装の工程まで見学することができます。工場にはカフェも併設され、自分の好きな味を試飲でき、お土産を買うこともできます。
現在ライオン・コーヒーは日本へも代理店を通じ、カルディやスーパーマーケット、またハワイアン航空の全路線の機内サービスコーヒーにも使われ、愛飲されています。ハワイ・コーヒー・カンパニーは、50万人以上の消費者の投票で選ばれる、“ピープルズ・チョイス“ のローカル・コーヒー・ブランド部門で昨年に引き続き、今年も１位に選ばれていますし、日本のハワイファンの投票で行われた“１１１ハワイ・アワード”のコーヒー部門でも１位となっている人気銘柄のコーヒーです。

取材・文／堀内章子