ペットフードは、乾燥のものばかりではなく、湿った生タイプのものもあります。さらに、最近、米国では生肉で作られたペットフードの人気が上昇中。その理由は、より健康的で、自然な食品だと見なされているから。ところが、このたび米国の研究グループが調べたところ、こうした生肉から作られたペットフードはむしろ危険である可能性があると判明しました。ペットの飼い主は知っておいてもいいかもしれません。
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生肉タイプの製品、60種類を調査
市販のペットフードと違って、生肉タイプは加熱されておらず、殺菌は不十分。研究グループは、こうした生肉タイプのペットフードを検査して、含まれる細菌のレベルを調べることにしました。対象となったのは、生肉から作られた、60種類の製品です。最低1種類の生肉を含み、骨や内臓から作られた製品です。原料になっていたのは、牛肉、鶏肉、羊肉、七面鳥、豚肉、ガチョウ、鹿、鮭です。野菜や食物繊維、ミネラルを含むものもありました。メーカーは、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、ドイツ、英国でした。
多数の細菌を検出
判明したのは、複数の細菌が検出されるということ。大腸菌のほか、ウェルシュ菌、サルモネラ、カンピロバクターという複数の種類の細菌が検出され、動物ばかりではなく、人にも感染症のリスクをもたらす可能性があるとわかったのです。なかでも、すべての製品で大腸菌が検出され、フンによる汚染が起きていると考えられました。メーカーによって検出された細菌のレベルは異なっていましたが、52%がEUの基準を超過している結果に。このほかにも細菌の汚染により病気の原因になる可能性は否定できない状況でした。
研究グループは、こうした細菌の存在から、生肉を使ったペットフードの保存には注意が必要と強調しています。たしかに、細菌を増殖させてしまい、感染症を引き起こしてしまえば問題です。
そこで、冷凍保存したうえで、解凍するときには10℃で行うこと、ほかの食品とは分けて扱うこと、台所用品には近づけず、台所用品を使ったときには完全に洗浄することが必要だと説明しています。また、飼い主に幼児や高齢者のほか、免疫機能が低下した人がいる場合には、こうした感染症がうつり健康への悪影響が大きくなる可能性もあり、気をつけるべきだと注意を促しています。日本でも生肉を使ったペットフードを扱うときには同じように気をつけておくとよさそうです。
<参考文献>
Vet Rec. 2019 Apr 6;184(14):442. doi: 10.1136/vr.105199. Epub 2019 Mar 4.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30833301
High levels of potentially harmful bacteria found in raw meat dog food products
https://www.bmj.com/company/newsroom/high-levels-of-potentially-harmful-bacteria-found-in-raw-meat-dog-food-products/