美容や健康の面から、ベジタリアンやヴィーガンなど、菜食主義への関心が高まっています。いったん菜食主義を始めると、肉を食べるのは気が引けるものでしょう。ですが、じつはそんなベジタリアンの人もときおり肉を食べているのが実態だそう。米国の研究グループが調べたところ、食べたことがある人は半数にも。菜食主義は状況に応じて柔軟に取り組むのがいいのかもしれません。
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ベジタリアンも肉を食べる?
ベジタリアンといっても、実践の仕方はさまざま。特に菜食主義を徹底するヴィーガンでは、肉や魚ばかりではなく、乳製品や卵も避けます。ほかにも魚は食べるペスカトリアンというやり方も。ではベジタリアンを自認している人は、まったく肉などを食べずに生活しているのでしょうか。人とのつきあいのなかでは、肉を拒絶するのが難しいシチュエーションもよくあるはず。
このたび米国カリフォルニア大学の研究グループが、ベジタリアンへの調査を通じて「ベジタリアンの肉とのつき合い方」の実態を研究しています。ベジタリアン243人を対象として、菜食主義の生活を始めてから、肉を食べることがあるのか、またその体験はどのようなものかを分析しました。
菜食主義は「アイデンティティー」
その結果、わかったのは、菜食主義の生活を始めてからも肉を食べる人が半数近くいるということ。調査対象者243人のうち124人(51%)が、菜食主義を始めてからも肉を食べたことがあると答えていました。そのうち108人が自らの体験を話しており、肉を食べた状況として最も多かったのが、「家族の集まりや特別なシチュエーション」というもの。つまり、その場の雰囲気を壊さないように、他人に合わせてお肉を食べているということが明らかになったのです。ただ、本人の感想としてはネガティブにとらえており、「よいこととは思っていないが状況」という受け止め方が一般的でした。
研究グループも指摘していますが、菜食主義は何を食べるかというばかりではなく、その人のアイデンティティーであり、「肉を食べない」という姿勢を示しているもので、社会生活のなかではときに肉を食べても、菜食主義であることには変わりないと考える人が多いよう。ベジタリアンを始めるときには、そんな柔軟な考え方でいることが長続きするコツなのかもしれません。
<参考文献>
Appetite. 2019 Dec 1;143:104417. doi: 10.1016/j.appet.2019.104417. Epub 2019 Aug 23.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31449885