暑かった夏も終わり、だんだんと肌寒くなってきましたね。朝晩は冷え込むことが多くなり、そろそろ暖房が欲しくなる季節。ですが、ひと口に暖房といっても、最近ではさまざまな種類の暖房器具があります。そこで今回は、「どんな暖房機をつかったらいいのかな?」という人のために、ライフスタイルに合わせた暖房機具の選び方と節約テクニックを、暖房機のプロに教えていただきました。
Contents 目次
ライフスタイルに合わせた暖房選びがポイント
暖房機のプロこと、住宅設備機器メーカー「コロナ」の小林純子さんと佐藤房俊さんによると、
「近年、住宅仕様の変化やライフスタイルの多様化によって、暖房機の選ばれ方に変化が生じています。増加傾向にある高気密・高断熱の住宅において、ただ高出力の暖房機より、部屋にあった特長を持つ暖房機が求められることが多くなっています。
また、家族それぞれのライフスタイルに合わせて使い分けができる、タイマー機能を重視した暖房機や、すでに設置されている家電と併用するための暖房機など、選ばれる暖房機にも多様性が生まれています。
今、市場には多くの暖房機があふれていますが、その中から『いちばん自分に合った暖房機は何か』を知ることが大切です」とのこと。
それぞれどんな効果がある? 暖房機の種類と特徴
自分に合った暖房機を選ぶことが大切ということですが、実際に、暖房機にはどのような種類があるのでしょう? 暖房機のプロによると、暖め方で暖房機を分類した場合、主に下記の3種類に分けられるそう。
【強制対流形】
送風ファンなどを用いて、暖められた空気を拡散させることで部屋の温度を上げる暖房機。
例:エアコン、石油ファンヒーターなど
【自然対流形】
暖められた空気が上昇し、自然に循環することで部屋の温度を上げる暖房機。
例:オイルヒーター、オイルレスヒーター、対流形石油ストーブなど
【輻射形】
遠赤外線(熱)を放出し、部屋の空気ではなく人の体を直接暖める暖房機。
例:電気反射ストーブ、反射形石油ストーブなど
では、さらに暖房の種類を細かく見ていきましょう!
強制対流形である「エアコン」は、電気を使用します。部屋全体をすばやく暖める効果があり、やけどの心配がなく、空気を汚しません。一方で「石油ファンヒーター」は灯油と電気を使用します。速暖性と温風の本格暖房で根強い人気があり、低消費電力で省エネです。
続いては自然対流形の「オイルヒーター」。送風しないので、静かで空気を汚しません。また、最近ではオイルを使用しないオイルレスヒーターも人気です。こちらは電気を使用しオイルを使わないので速暖性に優れ、軽量です。一方で灯油を使用する「対流形石油ストーブ」は、23畳以上の広い場所でもまるごと暖める高い暖房能力を持っています。
最後は輻射形の「電気反射ストーブ」と「反射形石油ストーブ」。「電気反射ストーブ」は、電気を使用し、遠赤外線で人の体を暖めます。スポット暖房やエアコンとの併用も効果的です。その一方で「反射形石油ストーブ」は灯油を使用。コンセント不要で乾電池で使用できるため、災害時などでも活躍します。
このように、同じ暖房機でも、種類によってそれぞれいろいろな特徴を持ち合わせているのです。
「暖房機のプロ」がおすすめする! 部屋別の暖房機選び
ここまでいくつかの暖房機をご紹介しましたが、どこでどんな暖房機を使うと効果的なのでしょうか。 暖房機のプロに、「部屋別おすすめ暖房機選び」について伺いました。
<リビング・ダイニング篇>広い部屋もしっかり暖かく
まずは、家族団らんの時間を過ごしたり料理をしたりする、リビング・ダイニング篇!
リビング・ダイニングには、石油ファンヒーターなどの強制対流形の暖房機がおすすめです。石油ファンヒーターは、灯油の燃焼による高い速暖性と、本格的な暖房感が魅力です。部屋の空気が気になる家庭では、空気を汚さないFF式石油暖房機やオイルレスヒーターなどがおすすめです。
また、灯油が使えない家庭では、エアコンと電気反射ストーブなどの輻射形の暖房機を併用することで、しっかりと暖房感を得られ、部屋の暖めすぎを防ぎます。
●この部屋におすすめの暖房機は…
暖房感にすぐれた「石油ファンヒーター」、パワフルでクリーンな「FF式石油暖房機」、無風で静かで軽量な「オイルレスヒーター」、併用で快適な「エアコン+電気反射ストーブ」
<ひとり部屋(子ども部屋・ワンルーム等)篇>
温風で部屋中まんべんなく
ひとり部屋には、エアコンなどの強制対流形の暖房機がおすすめです。エアコンはエネルギー消費効率が高く、上方からの送風により、すばやく部屋のすみまで温風を届けます。また、風の音や送風感を感じたくない人には、オイルレスヒーターなどの自然対流形の暖房機もおすすめです。
●この部屋におすすめの暖房機は…
空気を汚さない「エアコン」、暖房感にすぐれた「石油ファンヒーター」、軽量で静かな「オイルレスヒーター」
<寝室篇>
静穏で快適な寝室に
続いては寝室篇。オイルレスヒーターなどの自然対流形の暖房機がおすすめです。電気で暖房するオイルレスヒーターは、風を出さず燃焼部を持たないため、ハウスダストの巻き上げや気になるニオイ・音が発生しません。静かにやさしく部屋を暖めます。
●この部屋におすすめの暖房機は…
軽量で静かな「オイルレスヒーター」
<トイレ・脱衣所篇>
コンパクトな暖房ですばやく快適に
長時間の滞在はないですが、毎日使うトイレ・脱衣所。こちらには、電気反射ストーブなどの輻射形の暖房機がおすすめです。電気反射ストーブには人感センサーを搭載した壁掛タイプなどがあり、小型で設置スペースをとりません。トイレや脱衣所などの長時間滞在しない部屋では、すぐにセンサーで運転して、直接人の体を暖めたほうが効率的かつ経済的です。電気反射ストーブなどのスポット暖房機は、コンセントに電源プラグをさせば手軽に使えることも魅力です。
●この部屋におすすめの暖房機は…
効率よく体を暖める「電気反射ストーブ」
ちなみに、新築住宅やリフォームした家では、「床暖房用のフロアパネル」や「温水ルームヒーター」などの暖房システムがおすすめです。地中熱・空気熱ヒートポンプ・石油温水などの暖房システムを導入することで、低ランニングコストの住宅設備で住宅全体を暖めることができます。全館をまるごと暖房で暖めることで、どこでも快適に過ごせますよ!
冬場の電気代を節約するワンポイントテクニック!
それでは最後に、冬場に高くなりがちな暖房機の電気代節約テクニックを教えていただきましょう!
●暖房機は窓際におくべし!
…暖房機の熱が冷気を遮断したり、暖房機の熱で冷気が暖められたりすることで暖房効果が高まります。
●強制対流形の暖房機のフィルターは、定期的にお手入れするべし!
…エアフィルターなどがほこりで目詰まりすると、暖房効果が低下します。定期的なお手入れをおすすめします。また、機器周辺に送風や循環を妨げるものが置かれていると、暖房効果が低下します。設置周辺の状態を確認してください。
●加湿器を併用すべし!
…湿度が上がると体感温度が上がります。低めの設定温度でも快適に過ごせ、暖めすぎや乾燥のしすぎも防げます。
●晴れの日はカーテンを開けて部屋を暖めるべし!
…日光のおかげで暖房効果が上がります。夜間などはカーテンやブラインドを閉めることで熱の漏れを防ぎます。
少し意識するだけでも、冬場の電気代を簡単に抑えることができます。今すぐできる節約術をさっそく試してみてはいかがでしょうか? 自分のライフスタイルに合った暖房機を選んで、冬の寒さを快適に乗り越えましょう!
文/FYTTE編集部
監修
小林純子さん
「暮らす喜びを生み出したい」というコロナの想いに共感し入社。コロナとお客様をつなぐコーポレートサイト・Facebookの更新、新製品や会社のさまざまな情報をステークホルダーに伝えるニュースリリース作成のアシスト業務など、広報業務全般を担当。会社の情報を社員に伝える社内報の作成にも携わる。大妻女子大学卒。新潟県出身。
佐藤房俊さん
「暮らしに深く寄り添った暖房機を生み出したい」との思いから3年の月日をかけ生み出したオイルレスヒーター・ノイルヒートの開発テーマリーダー兼デザインを担当。
長岡造形大学卒。長野県出身。