急いだり、慌てたりすると誰でもちょっとした失敗をしがちですが、このたび、「マインドフルネス瞑想」をするとミスが減るかもしれないという研究報告がありました。特に「今この瞬間に心や体に生じている感覚や思いにありのまま気づいてあげる」という瞑想法が効果的。初めての人がほんの20分ほど実践しただけで、ミスに気づく脳の働きが強くなったそう。
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マインドフルネス瞑想にもタイプがある
仕事のなかで瞑想をとり入れるというのはどうやればよいのでしょうか。そもそもマインドフルネスな状態をはぐくむための瞑想、「マインドフルネス瞑想」は大きく2つのパートから構成されています。特定の対象(たいていは“呼吸”)に意図的に注意を集中させる「集中瞑想」と、今この瞬間に心と体に起きていることにありのまま気づく「洞察瞑想」があります。今回、米国ミシガン州立大学の研究グループが注目したのは洞察瞑想のほうで、「オープン・モニタリング瞑想」とも呼ばれる方法です。
研究グループによると、マインドフルネス瞑想は脳による「ミスの感知」に影響するとわかっていることから、ミスに気がつくための洞察瞑想の効果に絞って検証したそう。そのうえで、瞑想の効果には男女差もあることも踏まえ、女性で瞑想をしたことがない人を対象に選び、縛りを設けて効果を調べました。研究では200人以上の参加者(18〜28歳)に脳波計をつけてもらって、約20分の洞察瞑想をするグループとしないグループに分けて脳波を調査。その効果を評価するためのテストやアンケートなども行い、結果を比べました。
脳波計に変化が
その結果、わかったのは、瞑想によって仕事でのミスに気がつきやすくなったということ。というのは、脳波に特徴的な変化が見られたのです。洞察瞑想をしたグループのほうが、脳の活動がミスに気づきやすいように変化。脳波計は脳の活動をミリセカンド(1000分の1秒)の単位まで正確に測定可能で、ミスに気づいたときに現れる特定の脳波(ミスからおよそ半秒後)が強くなったのです。
ただ、瞑想した直後の評価のためのテストでは、目立った違いが現れませんでした。とはいえ、研究グループは「初めての人がわずかな時間、瞑想をしただけで、脳波に違いが現れた点が有望」と指摘。多くの参加者で検証すると、実際にミスをなくすようなよい影響が確認できる可能性があると見ています。
仕事のなかでマインドフルネスをとり入れる動きは日本でもありますが、仕事をスムーズにしてくれる効果がますます期待できるかもしれません。
<参考文献>
Sci Rep. 2018 Jul 2;8(1):9968. doi: 10.1038/s41598-018-28274-4.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29967435
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31500201
https://www.mdpi.com/2076-3425/9/9/226/htm
HOW MEDITATION CAN HELP YOU MAKE FEWER MISTAKES
https://msutoday.msu.edu/news/2019/how-meditation-can-help-you-make-fewer-mistakes/