「病は気から」の言葉の通り、メンタルの健康は、実際の肉体的な健康にも関わる問題になってきます。日々、生きる意欲にあふれていれば、体調の悪さとも無縁でいられそうなもの。今回、米国の研究でそうした生きる意味の感じ方が肉体やメンタルなどの健康とどう関係するのかが検証されました。その結果は案の定、生きる意味があると考える人のほうが健康だというものでした。
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生きる意味を感じるとどんないいことがある?
ふだんから、スキップするような心の軽い状態が続いているときには、体の調子もよくて、毎日を気持ちよく過ごせるものです。そのように気分よく過ごせる理由のひとつとして、生きる意味をどう考えるのかという点があるかもしれません。生きる意味があると感じられれば、それはハッピーにもつながるということ。実際に、国際的にもそうした生きる意味を感じることの意義をめぐる研究が進められてきました。特に年齢を重ねていくに連れて、なぜ生きるのかという問いは大きな意味をもつようになるといいます。
米国の研究グループはこのたび生きる意味が健康やウェルビーイング(心身ともに良好な状態を意味する概念)にとって重要な意味をもっているのかを検証しています。年齢による違いについても調べています。具体的には1042人の大人を対象として、アンケートによって生きる意味についてどうとらえているかを聞きました。そのうえで、肉体的、精神的な健康を併せて調査。認知機能についても調べました。
60歳が区切りに
研究の結果として見えたのは、生きる意味を感じられている人は肉体的、精神的な健康も保たれているということでした。肉体的な健康については、年齢とともに低下する傾向にあったものの、生きる意味を感じている人ほどその低下は小さくなったのです。また、60歳以上では生きる意味を感じることによって肉体的な健康が高まる効果がなお大きくなることもわかりました。
メンタルの健康については、年齢が高まるほど向上。生きる意味を感じるほどより向上していくとわかりました。逆に生きる意味を探っている状態にある人は、メンタルの健康が低いことも明らかに。さらに、認知機能は年齢が増すほど低下していき、生きる意味を探している状態の人はなお低下している傾向にありました。
生きる意味があると感じるピークは60歳。生きる意味を探る状態にある人がいちばん少ないのも60歳という結果で、それぞれ肉体や精神の健康とつながっていました。「人生100年時代」に突入した今、ウェルビーイングとの関係からも自分の生きる意味をどう考えるのかは重要。今後さらに注目されることになるかもしれません。
<参考文献>
Have You Found Meaning in Life? Answer Determines Health and Well-being
https://ucsdnews.ucsd.edu/pressrelease/have-you-found-meaning-in-life-answer-determines-health-and-well-being
J Clin Psychiatry. 2019 Dec 10;81(1). pii: 19m13064. doi: 10.4088/JCP.19m13064.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31846240
http://dx.doi.org/10.4088/JCP.19m13064