“働く女性”が当たり前になりつつある現代ですが、日本は海外と比べ、管理職やリーダーとして活躍する女性がまだまだ少数。女性の能力を活用するためにさまざまな研究や議論が進められているなか、男性の多い職場でも女性が積極的にリーダーシップをとるように導くための秘訣が海外の研究で明らかになりました。日本の女性活躍推進にとってもヒントになりそうです。
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女性が活躍するきっかけとは?
厚生労働省のデータで示された日本の会社の管理職に占める女性の割合は1割程度。海外と比べると低い水準にとどまっています。これまでの研究では組織やグループで仕事をする場合、男女の比率が業績に影響するとわかっていますし、技術職など男性のほうが向いていると考えられがちな分野では、女性の活躍が進んでいないのも事実。女性の活躍は国際的に求められるようになっています。
英国と米国の研究グループは、女性が活躍するメカニズムを解明しようと実験を試みました。大学生240人を4パターンの男女構成(同性のみ、または3対1の比率)の4人グループに分け、6つの分野(芸術/文学、歴史、地理など)でクイズ形式の質問に答えてもらいました。そうして自分やメンバーの貢献について質問したのです。一部のグループには、参加者に自分の正答状況も知らせて、知らせなかった場合と比較しました。
能力を認められることでリーダーに?
回答を分析してわかったのは、女性が途中経過で一番正答率が高いと知らされると、グループの回答を引っ張るリーダーになる傾向が強まるということ。自分の答えに自信をもち、自分が正しい回答をしていると考えるようになるのです。男性が強いといわれがちの分野でも、女性は自分の考えを引っ込めずに前に出る傾向がみられました。
ただし、女性ばかりのメンバーの場合には、女性のスタンスがあまり変わらない傾向も。男性が同性メンバーでもリーダーシップをとる傾向があったのとは対照的でした。研究グループは「女性が公平性や協調性を重んじるせいではないか」と指摘。特に男女混合グループで業績を公表する方法が、女性のリーダーシップ促進につながると結論。男性が多い組織では、女性の業績を見過ごさないことが大切としています。
日本でも、女性の活躍を期待するときには積極的に成績のフィードバックをすることが大事といえるのかもしれません。
<参考文献>
厚生労働省「女性活躍推進法に基づく取組状況」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000168377_00001.html
Highlighting women’s achievements makes them want to be the boss, research shows
http://www.exeter.ac.uk/news/research/title_772070_en.html
When are women willing to lead? The effect of team gender composition and gendered tasks
http://dx.doi.org/10.1016/j.leaqua.2019.101340