砂糖のとり過ぎはよくないのはよく知られています。糖質はカロリーが高く、ダイエットの大敵。世界的にも、過剰な糖質が肥満を招くと問題視されるようになっています。海外研究によると、砂糖の摂取はカロリーだけでは説明がつかない、脂肪を増やしてしまう影響力があるようです。その仕組みとは?
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砂糖のとり過ぎはどんな問題?
直接それだけをなめることはあまりないものの、あらゆる食べ物の味をよくするために使われる砂糖。重要なエネルギー源であり、元気に過ごす原動力といえるかもしれません。そうはいっても過剰摂取は要注意。世界保健機関(WHO)は1日の砂糖摂取量を50g程度、できるならば25g以下にするよう推奨しています。日本食は煮物や酢の物などさまざまな食べ物に砂糖が使われているので、知らないうちに摂取量が増えている可能性も。海外では、ソフトドリンクなどの飲み過ぎが糖質のとり過ぎにつながると心配されています。
今回、スイス、チューリッヒ大学の研究グループは、砂糖のとり過ぎにはどのような問題があるのかを詳しく調べています。スイスでは1日の砂糖摂取量は100g以上だといいます。単純にカロリーをとり過ぎると、肥満や病気になるというばかりではなく、別の問題点もあるか確認したのです。
対象は健康な94人。毎日、さまざまな種類の糖質を含んだ飲料を7週間飲んでもらい、飲まない人と変化を比べました。飲み物には、果糖、ブドウ糖、ショ糖(スクロース、果糖とブドウ糖が結合している食卓用の砂糖)のいずれかが含まれました。
果糖とショ糖が脂肪を増やす
こうしてわかったのが、砂糖入りの飲み物を飲むことで、カロリーにかかわらず、脂肪が作られやすくなる可能性があるということ。意外なことに、砂糖入りの飲み物を飲んでいた人たちは、摂取カロリーが減るメリットがあると確認されました。それは満腹感のおかげと考えられそうですが、一方、果糖およびショ糖入りの飲み物を飲んでいる人では、同じようにカロリーをとっていても、肝臓のなかで新しく作られる脂肪が増えやすいと確認されたのです。これが砂糖をとることで肥満が加速する理由のひとつであると、研究グループは推定しています。
果糖やショ糖は食品に添加される砂糖としては一般的な存在。ダイエットを考えたときには、カロリーだけではなく、果糖やショ糖の添加がどれくらいかにも目を配ると、余計な脂肪がつかない工夫ができるのかもしれません。
<参考文献>
日本人の食事摂取基準
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
Consumption of Added Sugar Doubles Fat Production
https://www.media.uzh.ch/en/Press-Releases/2021/Fat-production.html
Geidl-Flueck B, Hochuli M, Németh Á, Eberl A, Derron N, Köfeler HC, Tappy L, Berneis K, Spinas GA, Gerber PA. Fructose- and sucrose- but not glucose-sweetened beverages promote hepatic de novo lipogenesis: A randomized controlled trial. J Hepatol. 2021 Mar 6:S0168-8278(21)00161-6. doi: 10.1016/j.jhep.2021.02.027. Epub ahead of print. PMID: 33684506.
https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0168827821001616
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33684506/