空腹感との闘いになりがちなダイエットの心強い味方となってくれるのがかつお節です。近年の研究で、かつお節には空腹感の充足や減塩、内臓脂肪の低減などに効果があることがわかっています。そこで、かつお節の専門店「にんべん」で研究開発をしている荻野目望さんに、かつお節と空腹感の充足や減塩、内臓脂肪の低減などの関係について詳しくお話を伺ってきました。
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かつお節を使うことで、薄味でも満足感アップ!
「減塩ダイエット(塩抜きダイエット)」と呼ばれるダイエットがあるように、減塩はダイエットにつながると考えられています。しかし、塩分の多い食生活では、血液中の塩分濃度を薄くするために水分をため込む体になってしまい、むくみやすくなります。さらに、塩分の摂取が多いと、血圧も上昇しやすくなり、そのため血管へのダメージも危惧されます。
「ただし、減塩の食事は物足りなさを感じてしまいがちです。そこで、減塩した食塩水を飲んでいただきながら、鼻からかつお節の香りを嗅ぐという実験を行ったところ、減塩の食塩水でもかつお節の香りがあればおいしく感じるという結果になりました。つまり、おいしさや満足感には香りが非常に重要なのです」(荻野目望さん)
小腹が空いたらかつおだしや厚削りチップスを
そこでおすすめなのがかつお節やかつおだしを使ったダイエット時の空腹感の充足です。「薄味でもかつおだしを使った料理は、うま味と香りが高く、満足度は高くなります。また、ダイエット中に訪れる空腹感は、だしを飲むことで回避できます。だしは、100mlでわずか2~3kcalと低カロリーで、塩分も入っていません。また、温かいだしを飲むことで体も温まります」
ついついおやつが欲しくなるコーヒーやお茶と違って、だし単体だけで満足感が得られるのもポイントです。
「簡単にだしをとるなら、急須やティーポット、コーヒーのペーパーなどを使うのがお手軽です。かつお節1パックと熱湯を入れて、1~2分待つだけで、簡単においしい一番だしがとれます」
「このほかおすすめなのが、かつお節の厚削りを10秒くらいレンジでチンして、チップス感覚で食べる方法。パリッとした触感と、噛めば噛むほどビーフジャーキーのようにうま味が出てきます。咀嚼回数も多くなり、満足感にもつながります」
実験でわかった、かつお節でやせるワケ
「以前、咀嚼とヒスチジンというアミノ酸が、内臓脂肪を減少するのではないかと実験を行なったことがあります。これは、『ほぐし鰹』というやわらかめの削り節を、2日間、毎食前に20gを10分間かけて咀嚼してもらったところ、計測をすると内臓脂肪が減っているのがわかりました。満腹中枢に働いて、食欲を抑制する「レプチン」というホルモンがありますが、実はレプチンがうまく働かない人はいます。この実験で重要なのは、ヒスチジンが脳関門を通るとヒスタミンに代わり、レプチンが利かない人でもヒスタミンの受容体に働き満腹中枢を刺激してくれるという効果がわかったことです」
「このほか、3gのかつお本枯れ節入りだしパックを熱湯100mlでだしを取り、毎食前に飲む試験を2か月続けてもらったところ、内臓脂肪により分泌されるホルモンの「アデポネクチン」の量が増加することがわかりました」
アデポネクチンは脂肪を燃焼させ「やせホルモン」とも呼ばれることも。食前にだしを飲むだけの手軽さがダイエットにつながるなら、試してみる価値はあります。
取材・文/奥沢ナツ