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おいしいものがあると、つい手が伸びてしまいます。ダイエットのためにはガマンと思いつつ、食べ始めると止まらなくなることも。お腹いっぱいになるはずなのに、底なしのように食べられるとしたら要注意。米国の研究グループが、食べ過ぎると、むしろ食欲が加速していく仕組みが体に備わっていることを指摘しています。
ダイエットの大敵、止まらない食欲
健康のためには腹八分目といわれますし、食べ過ぎはダイエットのためにもいいことではないのは誰しもわかっています。それでも食べ過ぎてしまうことがあります。食べても食べても、まだまだ食べられることが不思議だと思う人もいるかもしれません。もう食べる必要はないはずなのに食べ過ぎてしまうのはどうしてでしょうか。その背景には、ストレスなどが関係しているという研究結果も出ています。
このたび米国の研究グループが、食べ過ぎてしまう理由として、摂取する栄養が多過ぎると、食欲が逆に増してしまう仕組みが関係しているという結果を発表しました。食べ過ぎると、栄養が過多になって、本来であれば、もう食べないように食欲が減退すべき。ところが、むしろ食欲が増進してしまうという矛盾が起こってしまうというのです。
食欲を抑えられなくなる理由は…
研究グループが突き止めたのは、栄養が過剰になると、体が満腹であると感じにくくなること。悪さをするのは、腸の中にあるホルモンです。研究グループが確認したのは「GIP」と呼ばれるホルモン。一般的には、脂肪の中にある細胞で作られる「レプチン」というホルモンの働きによって、食欲がなくなっていくのです。ところが、GIPが血液を通って、脳までいくと、この満腹を感じさせるホルモンのレプチンの働きを抑えてしまうのです。このために、満腹になるはずなのに、食欲が尽きなくなって、いつまでも食べてしまうというのです。
これはレプチンの効果を減らしてしまうメカニズムに秘密があるようです。ここの引き金となる仕組みを見つけ出して、食欲を抑えられるかどうかがこれからの研究の鍵になるようです。そうした体の仕組みも踏まえて、食べ過ぎをなんとかガマンすれば、ダイエットを失敗させる「負のスパイラル」から脱することができるのかもしれません。
<参考文献>
Appetite. 2016 Jun 1;101:8-14. doi: 10.1016/j.appet.2016.02.145. Epub 2016 Feb 24.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26923743
Gut-brain connection helps explain obesity from overeating
https://www.bcm.edu/news/pediatrics/gut-brain-connection-obesity-from-overeating
J Clin Invest. 2019 Aug 12;130. pii: 126107. doi: 10.1172/JCI126107. eCollection 2019 Aug 12.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31403469
文/星良孝
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星 良孝 <ステラ・メディックス>
ステラ・メディックス代表取締役社長/編集者 獣医師 専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修をサポートしている。代表取締役の星良孝は、東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。https://stellamedix.jp
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