「やせたいのに、間食がやめられない…」「運動しなきゃと思ってるんだけど、続かない」そんな悩みを抱えている人、必見! ミニマリストであり、著書『ぼくたちは習慣で、できている。』が話題の佐々木典士さんに、「習慣化の大切さ」と「ダイエットの成功法」を教えていただきました。
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生まれつき「意志力が強い」人などいない! 人は「習慣」で変われる
最新の著書『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス・刊)は、タイトルにあるように「習慣」がテーマですよね。佐々木さんが「習慣化すること」に着目するようになったきっかけは何ですか。
「じつは、今でこそミニマリストとして生活していますが、以前は部屋が汚く、掃除も片づけもできなかったんです。自分のことを、自堕落な人間だと思っていました。それが、いざモノを減らしてみたら、掃除などの家事が簡単にできるようになり、好きになったんです。周りの環境や仕組み、そして習慣を変えることで、自分の性格とか個性だと思っていたことが変えられる、そう自分自身の体験から気づきました。僕は『性格的に意志力が弱い』と思っていたけど、工夫次第でいくらでも変われるんだなと思ったのが大きなきっかけです」(佐々木さん)
最近の佐々木さんの主な一日の過ごし方を教えてもらえますか。
「朝5時に起床して、ヨガ、その後瞑想をします。6時頃から原稿かブログを書き、7時から掃除、シャワー、洗濯、朝食…と続きます。合間に、パワーナップ(戦略的二度寝)を組み込みつつ、夕方までには仕事を終える。ジム、買い物、夕食と済ませたら、映画を観て、ストレッチをし、21時半には眠ります。基本的にはどこにいても、この習慣は変わらないですね。最近フィリピンに引っ越したのですが、海辺に住んでいるので朝日がとてもキレイで。強いて言うならば、『日の出を見る』という習慣が、一日の始まりに加わりました」(佐々木さん)
まさに、健康的で理想的な一日ですね! 素晴らしい習慣ばかりが並んでいて、憧れます。
マイナス10kgのダイエットを成功させた「習慣」とは
なんでも、この10年間で約10kgやせられたという佐々木さん。FYTTE読者にとっては、その秘訣が気になるところです。具体的にダイエットにつながったと思われるご自身の習慣はどんなものがありますか?
「ひとつは、先程もお伝えしたように『片づけ』ですね。部屋が荒れているのに、ジムに行こうとかヨガをしようとか、思わないじゃないですか。モノを減らして部屋を常にキレイに保てるようになると、自己肯定感が高まって、ほかのことも前向きに取り組めるようになりました。キッパリやめた習慣は、『お酒』です。勤めていた会社を辞めてフリーランスになって、いざ自分の生活を律しなくてはいけないとなったとき、朝の時間を有効に使いたかった。でも、お酒を飲んでしまうと、早起きができなくて…。そこで、早起きをするために、大好きだったお酒をやめました。すると、夜中までお酒を飲みながらおつまみとかスナック菓子を食べる習慣もなくなったので、体重を維持するのに役立っていると思います。『ヨガ』や『運動』などの習慣も身につきましたね」(佐々木さん)
やめたいのにやめられない習慣…佐々木さんの場合はお酒だったとのことですが、多くのダイエッターにとっては「間食」や「甘いもの」だと思います。自分にとって悪しき習慣だと思うことをやめるためには、どうしたらいいでしょうか?
「いちばんのおすすめは、『完全に断つ』ことです。たとえば、友だちとランチした日はデザートまで食べてもOK、旅行のときは特別に間食してよし、仕事で頑張った日はコンビニスイーツを食べてもいい、などと例外を作ってしまうと、その例外ってどんどん増えていきませんか? 習慣って”考えずにする行動”を意味するので、『今日は食べていい日かな、我慢しようかな?』とか考えている時点で、習慣ではないんですよね。だから1週間に1、2回自分に何かを許すよりも、じつは完全にやめるほうがはるかに簡単です。でもそこまでしたくないという人は、すぐにお菓子に手が伸びないように、踏み台に乗らないと届かない戸棚の奥に置いたり、鍵付きの箱に入れたり、車の中に置くのもおすすめ。他にも利き手じゃないほうで食べて食べ過ぎを防ぐなど、やめたい習慣に対するハードルを上げることが効果的です」(佐々木さん)
日記をつけて、自分の行動を観察してみる
「やめたい習慣を断つためのもうひとつのポイントは、自分がどんなときに甘いものを食べたくなるのかを知ることです。たとえば僕の場合は、やろうと思っていたことができなかったり、仕事がうまくいかなかったとき、つまり自己肯定感が低くなっているときに、決まってお酒に手を出しているんですよ。そのことに気づけたのは、日記をつけていたからです。甘いものを食べてしまうという人も、24時間いつでも食べたいというわけではないと思うんですね。日記をつけていると、自分の行動パターンとか、どういうときにどんなことを考えているかを客観的に観察できるので、習慣化できない理由もわかってきます」(佐々木さん)
日記は、どのように書くのですか?
「ノートでもスマホのメモでも何でもいいんですが、僕の場合はパソコンのテキストに打っていきます。食べたものやそのとき浮かんだ言い訳まで、正直に書くのがポイントです。上司に叱られたり仕事でミスをした日は、必ず帰りにコンビニに寄ってデザートを買っているとか、自分がどういうシチュエーションになったとき、どんな行動をとるかという傾向がわかると、対策も立てやすいですよね。『そんなに食べてないのになー』と思っていたけど、日記を見返したら結構間食してたとか(笑)。そんな現実も見つめられます」(佐々木さん)
日記を書くとなると、「それもなかなか続かない」という人がいると思いますが、無理せず続けられるコツはありますか?
「最初からじょうずな文章を書こうと思うと続かないので、とりあえずは事実だけを書く。エッセイのようなうまい話は日常に転がっているわけではありませんが、事実は毎日起こります。たとえば、食べたものだけでもいいから書く。書きたくない日は『今日は日記を書きたくない』とだけ書いてもいいから、とにかく毎日続けてみる。日記って、続けているとなんでも話せる友だちみたいになってくるんです。そして自分の日記は、読み返すといちばん面白い本だと思います。自分にしかわからなくて、自分専用にカスタマイズされたものなので。あとは、『間食をしちゃいけない』じゃなくて、『もう間食しなくてもいい』とポジティブに言い換えると成功しやすいかもしれません。ダイエット中に間食をすると、後ですごく後悔しちゃうじゃないですか。『間食をしない』=『後悔するきっかけを作らなくていい』と考えると、前向きにやめられるような気がしますね」(佐々木さん)
まずは、自分がやめたい習慣は何か、そしてどんなことを習慣化したいかをハッキリさせることから始めるのがポイントだと佐々木さん。次回は、続けたいことを習慣化する秘訣について詳しくお伺いします。
取材・文/水谷花楓
参考書籍/『ぼくたちは習慣で、できている。』(ワニブックス)