女性の歩き方に疑問を感じたことが、「美コア」開発のきっかけ

山口絵里加先生が考案した「美コア」は、生活習慣、運動、食事の３つの質を高めることで体温を維持、上昇させ、平熱を36.5度〜37.1度にキープする体を目指すメソッドです。

「人間の体は、体温が１度上がると免疫力が約30％、基礎代謝が約12％上がることがわかっています。つまり、体温を上げて基礎代謝を上げれば、効率よくやせることができ、女性が気になるむくみやたるみなども改善しやすくなるのです」と山口先生。

現代を生きる女性に「健康的にやせて、美しい体を手に入れてほしい！」と願う山口先生の思いから生まれた『美コア』の開発のきっかけは、「一般の女性の歩き方がおかしい……」と感じたことだったそう。

「以前、私はプロのアスリートのコンディショニングを行うスポーツトレーナーとして、アスリートの体づくりをサポートしていました。そんなある日、何気なく一般の女性の歩く姿を見ていたら、引きずり歩きをされている方や肩が内側に入っている方などがとても多く、『どうして、そんなふうに歩くんだろう』と疑問に感じたんです。それから、女性の筋肉のつき方や使い方などをいろいろと調べはじめ、現代の女性はO脚やX脚、XO脚の人が多く、骨盤の位置がずれ、姿勢もゆがんでいる人が多いことに気づきました。

また、平熱が35度台という低体温の女性が増えていることもわかりました。低体温は、見た目の美しさや健康面など、体にさまざまな悪影響を及ぼすため体温の上昇、維持に着目し、2014年に美コアのメソッドを考案したのです」（山口先生）

女性が目指す美ボディを効率よく叶えるメソッド

運動を教えることがメインだったフィットネスの指導に新風を吹かせた美コアのメソッドでは、トレーニング中に必ず、食事や生活習慣のアドバイスが行われます。そのひとつが、トレーニングを行うときの水分補給の方法です。

「トレーニング中に、お水をガブ飲みするのは、絶対にNGです。水は腸に入ったとき、高い浸透率で腸壁から血管へと移動します。大量の水を一気に摂取すると、血管中の栄養素が急激に薄まってしまうのです。すると体は、必要以上の水分が入ってきたと察知し、よぶんな水分を汗として体の外へ出そうとします。汗が出るときは水分と一緒に、ビタミンやミネラルなど、体に必要な成分まで排出されるため、体にとって必要な水分がとれないばかりか、脱水を招きかねないという悪循環に陥ってしまうのです。なので、トレーニング中の水分補給は、こまめに少しずつを心がけることが大切ですね。それから、トレーニング後にプロテインをとられる方も多いと思いますが、美コアでは体に負担をかけない無添加で植物性のものをすすめています」（山口先生）

呼吸を止めずに体幹を使ってトレーニングを行うことも、美コアの特徴です。

「一般的には、“筋トレ＝無酸素運動”と考えられていますが、無酸素運動を行うと、筋肉が肥大して体が大きくなります。もし『腹筋をシックスパックに割りたい』とか『ボディビルダーのような体を目指したい』というのであれば、無酸素運動が有効ですが、細く引き締まった体を目指すには、呼吸を止めずに行う、有酸素運動と筋トレを同時に行うことが効果的ですね。

また、トレーニングを行うときは、骨盤を立たせる、腰の真上に頭をセットするなど、正しい骨の位置を意識することも大事なポイント。骨の位置を正すことで、骨に近いインナーマッスルを鍛えることができ、体の内側から細く引き締めることができます。と同時に、インナーマッスルが鍛えられると、体の軸となる体幹がブレにくくなり、ふだんの姿勢や歩き方、立ち居振る舞いがキレイになります。結果的に、日常動作で無駄な動きが少なくなり、疲れにくい体になれます」（山口先生）

さらに「美コアメソッドの最終目的は、健康寿命を延ばすこと」と山口先生は話します。

「人生100年時代と言われる今、生活習慣、運動、食事の３つの質を高めることは、これから先の人生を、イキイキと元気に過ごすために必要なことだと考えています。そのためにも、まずは理想の体型を目指し、体を引き締めて美コアのメソッドを習慣にしていただきたいですね。今回、FYTTEの記事でご紹介した５種類のトレーニングは呼吸法を含め、パーツごとに体を引き締める内容になっていますので、ぜひ試しに続けてみてください。動きに慣れるにしたがい、体が変わってくることを実感できると思います！」（山口先生）

次回は、山口先生の美ボデイのヒミツに迫り、毎日の生活で心がけていることを教えてもらいます！

山口絵里加先生のトレーニング記事は、コチラからご覧になれます。

撮影／我妻慶一　取材・文／野口美奈子　ヘアメイク／坂部めぐみ（メーキャップルーム）