家事はそれ自体、ちょっとしたフィットネスと思えるほど体力を使います。どうやらその運動効果は本物かもしれません。このたび海外の研究で、家事などの時間を長くすると健康への好ましい影響があると報告されたのです。健康のためには運動といってもなかなか実行できない人も多いなか、生活自体をフィットネスにする手があるのかもしれません。
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生活のデータを集めて分析
1日の間、私たちの“動き”は主に「睡眠」「座っている状態」「家事や歩行」といった軽い身体活動の3つの要素から成り立っています。運動にわざわざ取り組まなくても、家事や歩行といった活動が健康に大きく影響することが、研究から次々と明らかになっています。
今回、英国や米国からの国際的な研究グループは、生活の3つの要素に注目し、健康への影響を分析しました。対象にしたのは、睡眠時間や活動時間に加え、死亡率の情報も含む、英国、米国、スウェーデンの6件の研究(合計参加者数13万人以上)のデータです。キビキビと歩く、走るなど心拍数が上がる活動などの中〜高強度の運動、家事やふつうに歩くなどの軽度の身体活動、座っている状態の3段階に分けた活動のバランスと死亡率との関連性を計算しています。
日常生活の運動が好影響に
分析からわかったのが、日常生活が活動的であることで、健康全般に大きな効果がありそうだということ。家事のような活動でもフィットネスに匹敵しそうだと判明したのです。たとえば、中〜高強度の運動を1日に数分間しかしない人でも、軽度の身体活動が6時間あれば、早期死亡のリスクが30%も減るという結果が分析から明らかになりました。
座った状態は健康に悪いことが過去の研究からも注目されていますが、1時間の座った時間の悪影響は、中〜高強度の運動3分、または軽度の身体活動12分で打ち消せる計算になるようです。
研究グループによると、中〜高強度の運動2分は軽度の身体活動4〜12分に相当するそう。ジムに通ったり、ちゃんとした運動をする余裕がなかったり、やる気が出なかったりする人は日常生活のなかで体を動かすとよさそうです。
<参考文献>
Different Physical Activity ‘Cocktails’ Have Similar Health Benefits
https://www.cuimc.columbia.edu/news/different-physical-activity-cocktails-have-similar-health-benefits
Joint association between accelerometry-measured daily combination of time spent in physical activity, sedentary behaviour and sleep and all-cause mortality: a pooled analysis of six prospective cohorts using compositional analysis
https://bjsm.bmj.com/content/early/2021/05/09/bjsports-2020-102345