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    コロナは靴で広がる? 中国の病院内のウイルス調査から判明したことは…

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除菌スプレーを靴にかける人

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、一般的に接触感染と飛沫感染で感染すると考えられています。このたび中国の研究グループが、武漢の病院内の空気や物の表面の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)汚染度を調査。その結果、最も汚染がひどかったのは、まさに盲点と呼べる靴底でした。感染が病院などで広がる事例が相次ぐ日本では玄関で靴を脱ぐのが一般的。感染の拡大予防対策として参考にできるかもしれません。


病院内でウイルスに汚染されているモノは?

複数の靴のイラスト

新型コロナウイルス感染症の世界の感染者数は2019年12月に発生して以降、2020年4月には300万人を突破。各地で医療システムを圧迫しています。新型コロナウイルスは伝播速度が速い可能性があることが報告されており、感染経路に対して関心が集まっています。このたび中国の研究グループは、中国・武漢の病院の集中治療室および新型コロナウイルス感染症患者が隔離された専用の感染症病棟で、汚染の可能性がある物の表面をふきとったり、空気を機械で採取したりして、コロナウイルスが検出されるかを調べました。医療スタッフへの感染予防の重要性を考え、また不明なことが多い感染経路の解明に取り組んだのです。

研究グループは、2020年2月19日から3月2日までの間、集中治療室と感染症病棟で汚染の可能性がある物の表面や空気のサンプルを採取しました。集中治療室には重症患者15人、感染症病棟には軽症患者が24人入院していました。床、パソコンのマウス、ゴミ箱、患者のベッドの手すり、患者が使用したマスク、個人防護具、排気口からサンプルを採取しています。また空気中に浮遊する微小な粒子(エアロゾル)も調べるために、室内および排気口付近の空気サンプルも採取しています。

靴底がウイルスの運び屋に⁉︎

ウイルスの3Dイラスト

結果として、集中治療室および感染症病棟のいずれでもほとんどのサンプルでウイルスが検出されました。集中治療室のサンプルのうちウイルスが検出されたのは43.5%で、感染症病棟の7.9%と比べて非常に高いものでした。場所別にみると、床のサンプルで比較的高い陽性率が示されました。これは重力や空気の流れで、ウイルスの飛沫が床へ落ちるためであると研究グループは考えています。それに加えて、患者の立ち入らないエリアで陽性率が100%に。病棟内を歩き回る医療スタッフの靴底にウイルスが付着し、床に広がっていると考えられました。集中治療室の医療スタッフの靴底から採取したサンプルのうち約半分が陽性という結果。研究グループは医療スタッフの靴が、ウイルスの運び屋としての役割を果たしている可能性があることを指摘しています。

研究グループはさらに、エアロゾルの感染リスクについても調べています。研究グループが集中治療室と感染症病棟の空気サンプルを分析したところ、集中治療室では35%、感染症病棟では12.5%が陽性という結果が示されました。排気口からのサンプルでも、集中治療室では66.7%、感染症病棟では8.3%が陽性。この結果から、研究グループはエアロゾルによる感染リスクがあると考えています。またこの調査では患者との距離から、ウイルスは最大4m飛散する可能性が示されました。

研究グループはこうした結果から、集中治療室と感染症病棟の空気中や物の表面にウイルスが広範囲に付着しており、医療スタッフは高い感染リスクにあることを強調。また集中治療室の汚染度は感染症病棟に比べて高かったことから、集中治療室の医療スタッフはより厳重な安全対策をとらなければならないと訴え、「医療スタッフは、新型コロナウイルス感染症患者が入院している病棟を出る際に靴底を消毒することを強くすすめる」と注意を促しています。

研究グループが指摘するように、いったん人間の体を出てしまうと、ウイルスは徐々に感染性を失うため、ウイルスが検出されたからといってもそのウイルスが感染につながるとは限りません。そのほか、どれくらいのウイルスがあれば人に感染するかの不明点も残ります。ですが、こうした調査結果から見ると、靴底をさわったり、屋外を歩いた靴のまま屋内でも歩き回ったりするのは控えるのが無難といえそうです。

<参考文献>

Guo ZD, Wang ZY, Zhang SF, et al. Aerosol and Surface Distribution of Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 in Hospital Wards, Wuhan, China, 2020 [published online ahead of print, 2020 Apr 10]. Emerg Infect Dis. 2020;26(7):10.3201/eid2607.200885. doi:10.3201/eid2607.200885
https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/7/20-0885_article

星 良孝 <ステラ・メディックス>

星 良孝 <ステラ・メディックス>

ステラ・メディックス代表取締役社長/編集者 獣医師  専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修をサポートしている。代表取締役の星良孝は、東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。https://stellamedix.jp

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