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妊娠中にヘルシーな食事をとることは、赤ちゃんの成長に不可欠。さらにこのたび、妊娠前の食事も出産に影響するという報告がありました。キャベツ、にんじん、ブロッコリーなどの一般的な野菜を妊娠する前からたっぷりとっていると、特に初めて出産する女性で、赤ちゃんが早く生まれすぎてしまう早産のリスクが低くなるそうなのです。
3500人近い女性を調査
「早産」とは妊娠36週未満で赤ちゃんが生まれること(正期産は37〜42週)。早産になると、病気になりやすいといったリスクもあるとされます。早産の原因としては、妊娠中の病気やストレスなどさまざまな原因が考えられています。逆に、予防法がわかっていれば、それは意味があるはず。
今回、オーストラリアの研究グループは、5万7000人以上の女性を対象とする健康に関する追跡調査のデータを用いて早産の要因について分析しました。研究グループは初めて子ども1人を出産した3500人近くを選び、妊娠する前からの食事を調べ、早産との関連性を調べたのです。食事を構成する要素から、肉と脂肪が多い食事、健康的な食事、砂糖や加工食品が多い食事、一般的な(オーストラリアで従来食べられてきたいわば“伝統的”な)野菜が多い食事の4パターンに分けて比較しました。
妊娠する前から気をつけることが大切
ここから見えてきたのが、妊娠前に伝統的な野菜が多い食事をとっていた女性は、早産になりにくいということです。野菜としてとられていたのは、キャベツ、にんじん、ブロッコリー、カリフラワー、じゃがいも、かぼちゃ、さや豆などです。たくさん食べていた人は少なかった人と比べて、早産のリスクが40%近く低くなっていました。
研究グループによると、このような野菜には、妊娠・出産時の危険を減らすために大切な「抗酸化物質」や「抗炎症性の栄養素」が豊富。胎盤や胎児をつくるには、妊娠前に蓄えられたカルシウムや鉄が必要なのだそう。赤ちゃんの体は妊娠初期の終わりまでに形成される部分が多いため、妊娠する前から食事をヘルシーなものにすることが大切なようです。野菜は一般的に健康によいとされますが、日ごろから野菜を積極的にとりたいところです。
<参考文献>
Traditional vegetable diet lowers the risk of premature babies
https://medicine.uq.edu.au/article/2020/04/traditional-vegetable-diet-lowers-risk-premature-babies
Gete DG, Waller M, Mishra GD. Prepregnancy dietary patterns and risk of preterm birth and low birth weight: findings from the Australian Longitudinal Study on Women’s Health [published online ahead of print, 2020 Apr 13]. Am J Clin Nutr. 2020;nqaa057. doi:10.1093/ajcn/nqaa057
https://academic.oup.com/ajcn/article-abstract/doi/10.1093/ajcn/nqaa057/5818439
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32282895/
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星 良孝 <ステラ・メディックス>
ステラ・メディックス代表取締役社長/編集者 獣医師 専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修をサポートしている。代表取締役の星良孝は、東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。https://stellamedix.jp
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