CATEGORY : ヘルスケア |メンタル
「親友、彼氏、男友だち、みんな大好き!“いちばん”が決められない私は薄情モノ?!」そんなあなたに送る心理カウンセラーからのアドバイスは?~中島輝のお悩み相談室~
親友、彼氏、男友だち、みんな大好き! 誰がいちばん、なんて決められない。そう友だちに打ち明けると、たいていこう言われる――「本当に好きな人ができれば“いちばん”がわかるよ」。私は人を好きになったことがないってこと? ほかの人よりも薄情なのかな。こんなお悩みに、相談者の95%の気持ちが回復したと評判の心理カウンセラーであり、自己肯定感の第一人者である中島さんは、どのように答えてくれるのでしょうか。
Contents 目次
【相談】「いちばん」の人を決められない私。情が薄いの?
恋愛でよく、「本命」とか、「一途」とか言いますが、私にはよくわかりません。恋人ができたからって親友のような男友だちと疎遠になるなんて考えられないし、彼氏がいるから同性の友だちとのつき合いが悪くなるというのもイヤです。今のところ経験はないけれど、2人の人を同時に好きなったら、同時につき合いたくなってしまうかも。でも、それって「二股」、結婚していたら「不倫」ですよね。
親友、彼氏、異性の友だち、みんな大好きで誰がいちばんなんて決められません。友だちには「本当に好きな人に出会ったことがないからいちばんが決められないんだよ」と言われます。私は人を本当に好きになったことがないのかな、とショックです。私は情が薄い人間なのでしょうか。
【回答】いいえ、むしろ愛情が豊かな人なんだと思います
本当はあなたは、とても愛情が深く、想像力が豊かなんじゃないかな、と思います。想像力が豊かで愛情が深いために、いろいろな人をいろいろな観点から見て「大好き」と思えるのでしょう。
でも、周囲には「本当に好きな人に出会ったことがないからいちばんが決められないんだよ」と言われてしまう。だから、ほかの人は、自分の「大好き」よりも、もっともっと強い愛情を「いちばん」の人に注いでいるのかなと感じ、自分は情が薄いのではないかと悩んでしまっているのですね。おそらく、ありのままの自分を認める「自己受容感」が低くなっている状態なのではないかと思います。
「自己受容感」は木に例えると「幹」のようなもの。幹がぐらぐらしていては、木はまっすぐに伸びていくことができません。
先ほど「じつは愛情深い人なのではないか」とお伝えしたのは、あなたが「自分は情が薄いのではないか」という悩み方をしていたからです。
たとえば対人関係において、「あのとき、もっと親切にしたほうがよかったんじゃないかな」と思える人は、より親切な状態を想像できる人。親切心が強い人なんですよ。親切心がそもそもなければ、「もっとこうしていれば…」という想像はできないはずです。ですからあなたもまず、「たくさんの人を大好きって思えるということは、それだけ愛情が豊かということなのだ」と、今のあなたを受け容れてみてくださいね。
それでは、他人への愛情の深さを実感するためのワークと、自分の方向性を見出すのに効果的なワークをやってみましょう。
■今回おすすめするワーク:誰かのいいとこさがしノート/タイムライン
周りの人たちのいいところを書き出す「誰かのいいとこさがしノート」
自分の情が薄いな、対人関係でもっとこんなことができたんじゃないかな、というマイナス思考になっているときには、「誰かのいいとこさがしノート」のワークをおすすめします。これはあなたの周りにいる人たちについて、あなたが気づいたその人のいいところを書き出していくというワークです。友人や恋人、同僚、家族、ショップの店員さんなど、その日偶然出会った人についてでもかまいません。
(例)
・○○さんは忙しいときでも穏やかに対応してくれる。
・△△さんはいつも気持ちのいいあいさつをする。
・今日、お昼を買ったコンビニの店員さんは商品を渡すタイミングが絶妙だった。
「笑顔がステキ」「挨拶が気持ちいい」など、カンタンなことでもいいので、相手のいいところを書き出します。親しい人については、「○○さんは私にとってどんな存在?」「彼氏のどんなところが好き?」「△△さんの尊敬できるところは?」などと、少し掘り下げて書いてもいいと思います。
第2回の連載でも書きましたが、新しい習慣は、21日間続けると定着するという研究データがあります。「誰かのいいとこさがしノート」も、できれば3週間、続けましょう。
いいところに気づくことは他者を自分の中に存在させること
誰かのいいところに気づくということは、あなたの中にその人を存在させることでもあります。書いたものを眺めると、自分がいい人たちとしっかりつながっているということに気づくのではないでしょうか。あなたが人に対する情が薄いのだろうか、つながりが希薄なのだろうか、と感じたのは、思い込みだったのかもしれません。そんなふうに気づけば、今のままのあなたを認める自己受容感が高まり、自己肯定感も高まっていくと思います。
また、脳はネガティブなものに注目しやすいのです。人のいいところを探すというのは高度な脳の使い方です。「誰かのいいとこさがし」をちゃんとできる自分をほめてあげましょう。
現在の自分を起点に「タイムライン」で方向性を見出す
自己受容感が低いときには、目先のことにばかり注目してしまいがちです。そんなときには、「タイムライン」というワークもやってみてください。これは、現在の自分を起点に、1年後の自分、3年後、5年後の自分……そして88歳の自分ってどうだろう、と思い描き、目指すべき方向を見出すものです。
あなたの場合は恋愛やパートナーシップについての悩みですね。人間関係の面から、漠然としたイメージでいいので「○年後、どうなっていたいかな」と思い描いてみましょう。
(例)
(例)を参考に、思い描いたイメージと具体化した目標、実現したときによぎるはずの感情を書き出していきます。「アファメーション」というのは、自分に対する肯定的な宣言のことです。そして、タイムラインをどんどん延ばして、平均寿命である88歳まで書いてみましょう。88歳のあなたは今のあなたへ、どんな声をかけますか?
「今、ここ」を意識して明るい未来を描きましょう
タイムラインのワークをしていくと、3年後にはもっと豊かなコミュニーションをしていたいな、だから今は、あまり心配し過ぎないようにしようというふうに、「今、ここ」を意識できるようになります。そうすれば、未来に向かって何を残し、何を減らすのかを具体的にイメージできるようになります。
私たちの脳は、未来のことを明確にイメージするのは苦手です。けれども、未来の自分を思い描くことには過去から現在に至った自分を認める効果があり、自己受容感が満たされていきます。タイムラインであなたのビジョンを整理整頓すれば、豊かな人間関係、パートナーシップに恵まれた、明るく前向きな未来を想像できるでしょう。
取材・文/寺田千恵
参考書籍
『自己肯定感ノート』(SBクリエイティブ)