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    【危ない食品ホントのところ④】BSE問題はどうなった?

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【危ない食品ホントのところ④】BSE問題はどうなった?

かつて食の安全を揺るがす大問題だったBSE(牛海綿状脳症)。一時期はスーパーで見かけなかった米国産牛肉も、現在はさまざまな製品が販売されています。もうBSEは心配しなくていいのか、詳しく紹介します。


肉骨粉を厳しく規制し 世界中でBSEは激減

 BSEは、プリオンというたんぱく質の異常化したものが、蓄積することで起こる牛の病気です。BSEに感染した牛は、長い潜伏期間を経て神経細胞が徐々に破壊され、脳がスポンジ状になりやがて死に至ります。この牛を食べることで、人にも変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)を引き起こすことがあると知られています。
 この病気の牛の骨や内臓を原料にした肉骨粉が、牛の飼料に混ぜられるというサイクルの中で、BSEが大流行しました。1986年に英国で発見されて以来、1992年をピークに世界で約19万頭の感染が確認されています。
 このため、世界各国で肉骨粉を厳しく規制することになりました。この規制が功を奏して、どの国でも新たな発生は止まっています。現在、世界中でBSEの発生は激減し、BSEの発生のリスクは非常に小さくなっています。(表)

輸入対策も規制緩和され 多くの米国産が店頭に

BSE対策は、輸入牛肉にも行われています。米国で2003年に感染牛が見つかったのを機に、2005年より生後20か月齢以下の牛に限り、SRM除去などを条件に輸入を再開しました。
  こうした日本における国内外の規制は、世界各国に比べると格段に厳しいものです。牛肉の輸出入の国際基準を示す国際獣疫事務局(OIE)では、2009年には月齢制限を撤廃しています。科学的根拠に基づけば、肉は汚染されておらず、いかなる月齢の牛でも、SRMを除去すればリスク管理できるとしたからです。
 こうした国際的な動向を受けて、厚生労働省は2013年2月に米国、カナダなどの輸入月齢条件を20か月齢以下から30か月齢以下に緩和することを決めました。これ以降、米国産牛肉をスーパーなどでもよく見かけるようになり、肉質のいいものも手に入るようになりました。
 その一方で、米国はBSE検査をしていないから心配……という声も聞かれます。確かに米国では食肉の検査は意味がないとして実施していません。しかし、実態を把握するサーベイランスという調査を行っていて、統計的に意味のある頭数を選び出して検査をしています。米国ではこれまで4頭の感染牛が報告されており、1頭はカナダで生まれて輸入された牛、3頭はいずれも10歳以上ですべて非定型BSEで従来のBSEとは異なるタイプでした。米国では飼料規制を日本よりも早く実施しており、調査からもBSE感染リスクは非常に小さいといえるでしょう。
 BSE対策は2013年に国内外の対策が緩和の方向に見直されましたが、消費者団体の大きな反対もなく、受け入れられました。BSEが発生して以来、様々な対策を講じてリスクがなくなってきたことが、ようやく理解されてきたことを物語っているように思います。

(この記事は2014年12月号に掲載されたものです)

イラスト / オオスキトモコ

森田 満樹

森田 満樹

消費者生活コンサルタント。九州大学農学部卒業後、食品会社の研究所、民間調査会社などを経て、現在は一般社団法人Food Communication Compassを設立、事務局長として活躍。食品表示に精通し、食品安全、消費者関連についての講演や執筆活動を行っている。

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