まだまだ新型コロナウイルス感染症の収束が見えない昨今、風邪やインフルエンザも流行する時期になり、ますます感染症には注意が必要ですね。マスク、手洗い、消毒、3密を避けるという「新しい生活様式」を実践するとともに、免疫力を向上させることも大切。そのカギは、腸活にあります。今回は、多くの人が悩まされている便秘の改善法について、小林メディカルクリニック東京の院長で、腸活にくわしい小林暁子先生に伺いました。
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腸内環境の悪化させる「むくみ腸」って!?
風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などに負けない体を作るには、免疫力を高めることが大切です。そのためには、腸内環境を良好に保つことがカギになります。
「腸内環境を悪くする要因として、不規則な生活、睡眠不足、ストレス、便秘、過敏性腸症候群などが挙げられます。なかでも、女性に多いのが便秘。免疫力を上げていくには、便秘を解消することが大前提です」
便秘の原因も、人によってさまざまです。ストレスや食物繊維の足りない食事、月経周期で一時的に便秘になる人もいます。便が出ないことがストレスとなって、ますます便秘がひどくなることも。
「また、便秘に悩む女性の中には、“むくみ腸”になっている人もいます」と小林先生は指摘します。
むくみ腸とは何でしょう? はじめて知ったという人も多いのではないでしょうか。
「むくみ腸の原因は、便秘による腸の炎症です。何日もお通じがないと、悪玉菌が発する有害物質で腸に炎症が起こり、血流も悪くなります。そこで、有毒物質を水で薄めて無毒化しようと、水をため込むことで、腸がむくんでしまうのです。また、下剤の乱用も一因です。腸を刺激してお通じを起こさせる刺激性の下剤は、強制的に腸を動かすため、炎症が起こりやすくなります。炎症で腸がまっ黒になっている人も。そのうち腸が疲れてしまい、自発的なぜん動運動が起こらなくなるなど、腸の機能が低下してしまいます。それによってますます便秘になってしまうのです」
あなたは快便? 便秘? 便の状態をチェック!
あなたのお通じは大丈夫でしょうか。理想的な便かどうか、チェックしてみましょう。
□色は、黄土色から赤茶色。
□バナナのような形をしている。
□固すぎず、やわらかすぎない便が、力まずにするりと出る。
□ニオイがない。
これらを満たしていれば、快便。腸内環境も良好といえます。
「毎日、便通がなくても、3日に一度、気持ちのいいお通じがあれば、あまり気にする必要はありません。逆に、毎日便通はあっても、かたくコロコロした便しか出ない、残便感がある、力まないと出ないといった場合は便秘といえます」
便秘の人は、今日からでも改善にとり組みましょう。いちばんとり入れやすいのは、食生活の改善です。腸は、栄養を吸収するところなので、ダイレクトに食べたものが影響するからです。もはや常識ともいえますが、おすすめは食物繊維の摂取です。
便秘のタイプで、摂取したい食物繊維は違う!
食物繊維は、便のもとになり、形をつくります。腸のぜん動運動を促し、善玉菌を増やす働きもします。食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。
●水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、水に溶けてゲル状になり、かたくコロコロした便がやわらかくなって、出やすくなります。また、善玉菌のエサとなり、種類や数を増やす働きもあります。
【多く含む食品】
・りんご、バナナ、キウイフルーツなどの果物、こんにゃく、海藻類、にんじん、オクラや納豆などのネバネバ食品
●不溶性食物繊維
便のカサを増す効果があるので、腸を刺激して、ぜん動運動を活性化します。また、腸内の有害物質を吸着させて、体外への排出を促します。水溶性食物繊維と同様に、善玉菌を増やす働きもあります。
【多く含む食品】
・根菜類、いも類、豆類、玄米、えび、かになど
●水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を多く含む食品
納豆、きのこ類、ごぼう、オクラ、ドライフルーツなど
便秘の解消には、食物繊維が入っているなら、何を食べてもいいというわけではありません。「便がかたくて出づらい人は、水溶性食物繊維を多めにとりましょう。不溶性食物繊維をとり過ぎると、ますます便がかたくなり、かえって便が出にくくなってしまいます」と小林先生。日常的に便秘をしている人と快便の人では、食物繊維のとり方のバランスは異なります。便の状態よって、食物繊維のとり方を変えるのがポイントです。
次を目安にしましょう。
・かたく、コロコロした便しか出ない/ガスがたまってお腹が張る
→水溶性食物繊維8:不溶性食物繊維2
・たまに便秘をする
→水溶性食物繊維6~7:不溶性食物繊維3~4
・毎日~3日に1度は気持ちのいい便通がある
→水溶性食物繊維5:不溶性食物繊維5
「食物繊維は、いずれもとり過ぎると下痢をすることもあるので、食べ過ぎにも注意します。自分の便の状態を見ながら、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をじょうずにとり入れていきましょう」
腸内環境を良好にするノウハウは、次回に続きます。
取材・文/海老根祐子