マスク生活が長くなり、気になるのがお口の健康。マスクをすると刺激唾液(※)の分泌が減って口の中が乾燥しますが、これが原因で口腔の健康状態が悪化してしまう可能性があります。自分では気づかないうちに、むし歯や歯ぐきの腫れ、口臭などのトラブルが起こっているかもしれません。そこで、全国の歯科衛生士200人を対象に行った「唾液と航空のコロナ渦前後の変化に関するアンケート」調査結果と、予防歯科の世界的権威であるトゥルク大学名誉教授のカウコ・マネケン氏に聞いた、フィンランド式オーラルケアを紹介します。(※刺激唾液……匂いや味覚、温度などの刺激によって分泌される、サラサラした唾液)
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6割以上の歯科衛生士が「口臭が気になる患者さんが増えた」と回答
コロナ禍前に比べて「唾液が少ない・口の中が乾いている患者さんが多い」と回答した歯科衛生士さんの割合は、なんと7割超。悩みを打ち明ける患者さんも半数以上にのぼり、渇きを実感している人が多いことがわかります。
また、過半数の歯科衛生士さんが「歯ぐきの腫れやむし歯など、患者さんの口腔状態が悪化している」と回答。長時間のマスクによる口の渇きが、歯ぐきの腫れやむし歯の原因となっている可能性が伺えます。
さらに口臭、唾液の状態についても聞いたところ、コロナ禍前に比べて「口臭が気になる患者さんが増えた」と感じている歯科衛生士は約6割。「唾液がネバネバしている」と感じている割合は約5割という気になる結果となりました。
日本フィンランドむし歯予防研究会の羽村章先生によると、「唾液がネバネバしている」と感じるのは、サラサラとした刺激唾液の割合が減っているため。マスク生活で会話をすることが少なくなって顔の筋肉を動かす機会が減っていることに加え、マスクをはずすタイミングを逃して水分不足になっていることが、刺激唾液の分泌不足につながっていると考えられます。
「むし予防先進国」フィンランドに学ぶオーラルケア
では、唾液の分泌を増やすにはどうしたらいいのでしょうか。
羽村先生は、「刺激唾液の分泌には咀しゃくが最も有効です」といいます。よく噛んで食事をすることはもちろん、チューインガムを噛むことも効果的。むし歯がほとんど確認されない“むし歯予防先進国”のフィンランドでは、キシリトール配合ガムがオーラルケアのひとつとして定着しているのだそうです。
予防歯科の世界的権威であるカウコ・マキネン先生によると、フィンランドでは1970年代より学校や幼稚園などで食後のキシリトール摂取が推進され、家庭でもその習慣が広まった結果、“むし歯予防先進国#に変貌したのだそう。キシリトールのガムやタブレットの摂取が唾液分泌につながり、唾液が免疫力を高めるのに役立つことは、国民の間で当たり前のように認知されているといいます。
マスクをはずせる日常は、きっともうすぐそこだと信じ、「口臭やむし歯が気になって思いっきり会話を楽しめない」といった悲劇を避けるためにも、今からフィンランド式オーラルケアをとり入れてみませんか?
文/MFC