日本でも増えている大腸がん。一般的に家族が大腸がんになった人は気をつけたほうがよいことがわかっています。このたび親や子、兄弟姉妹だけでなく、もっと遠い三、四親等の親族に発症者がいる場合もリスクが高くなるという報告がありました。がんに備えるうえで参考にしておくとよさそうです。
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親戚のデータからリスクを調査
米国ではこの数十年、50歳までに判明する比較的年代の若い人での大腸がんの増加が著しいそうです。特に注意が必要になるのが親や兄弟姉妹が同じように50歳以前に大腸がんになった場合で、積極的な検査が推奨されています。日本でも最近は男女ともに大腸がんと診断される人が多くなっていますから、家族とリスクとの関係についても無関係ではありません。
今回、ユタ大学など米国の研究グループは無症状ながらも50歳以前に大腸がんと判明するリスクについて、家族や親族の病歴がどの程度の影響を与えるかを調査しています。50歳以前に大腸がんと判明した症例1500例以上を検討しました。
今回の研究では、一般的に使われる一親等、二親等と近い考え方なのですが、遺伝子の25%を共有する祖父母・孫・おじ・おば・おい・めいを「第二度近親者」、12.5%共有する曾祖父母・ひ孫・いとこなどを「第三度近親者」として分析しました。
「第三度近親者」でもリスク上がる
ここからわかったのが、少し離れた親族のがん経験によっても自分自身のリスクが左右されるようだということです。第一度近親者が50歳以前に大腸がんと診断された人は50歳前に大腸がんになるリスクが6倍になっていたほか、第二度近親者では3倍、第三度近親者では1.56倍になっていました。
さらに、第一度近親者が50歳以前に大腸がんになった人は、年齢を問わず大腸がんになるリスクが2.6倍、第二度近親者では1.96倍、第三度近親者では1.3倍となりました。
親や兄弟だけではなく、親戚が大腸がんになった人は気をつけたほうがよさそうです。検診を受けるときなどに気をつけるとよいかもしれません。
<参考文献>
Study: Colon cancer risk extends to second- and third-degree relatives
http://www.buffalo.edu/news/releases/2021/09/013.html
Ochs-Balcom HM, Kanth P, Cannon-Albright LA. Early-onset colorectal cancer risk extends to second- and third-degree relatives. Cancer Epidemiol. 2021 Aug;73:101973. doi: 10.1016/j.canep.2021.101973. Epub 2021 Jun 29. PMID: 34198235; PMCID: PMC8316419.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1877782121000904
国立がん研究センター
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html