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理学療法士と助産師が解説! 「産後ダイエット」運動を行うメリットや女性ホルモンの影響
こんにちは! 理学療法士でトレーナーの伊藤です。これまでの記事では、産後ダイエットのファーストステップである「骨盤ケア」や「骨盤底筋」の鍛え方などをお伝えしてきました。今回は産後に運動を行うメリットや運動方法などをお伝えしていきます。そして助産師・瀧口小百合さんからは女性のライフステージに大きく関わる女性ホルモンについて解説していただきました。
Contents 目次
産後に運動をするメリット~体重ばかりにフォーカスしないこと~
産後ダイエットというと、体重ばかりにフォーカスしがちですが、体重だけではなく「ゆがみ」や「左右差」の改善も大切になります。
例えば、授乳姿勢や抱っこ姿勢を右側だけで行うママさんは、体幹が右側にかたむく傾向にあり、体幹の右側の筋肉が硬くなりやすいです。そのような場合、右側の体幹筋を伸ばすストレッチを行うだけも十分効果があります。あるいは、授乳やオムツ替えの姿勢では体幹が前傾し、体が丸くなりがちです。体が丸くなることで肩や腰にも負担がかかってしまうため、そのような姿勢をリセットするために「背伸び」を行うだけでも効果があります。
また、産後の運動には「疲労回復」という効果もあります。肩こりや腰痛を予防するために簡単なストレッチや体操を行うことで筋肉のこりが改善して、体がすっきり軽くなります。
産後の身体活動とメンタルヘルスとの間にも関連が認められており、ウォーキングやストレッチ教室などへの参加が「産後うつ症状」を軽減したという研究報告や、家族など周囲のサポートを受けながら産後の運動を積極的に行った産婦の精神的安寧が高いとの報告もあります。
産後に効果的な運動は?
「出産後いつから、どんな運動をすればよいのでしょうか?」と産後ママさんに聞かれることはとても多いです。産後は時期に応じた運動負荷が重要になります。
まず、産後1か月間は体を休めることに専念しましょう。産後すぐから過度な運動や重い荷物を持つなど、ムリな身体活動を行うと悪露や出血のリスクを伴います。合併症を伴わない妊娠と分娩を経験した人は、一般的には「産後6週間」経てば、産後の定期検診で医師から運動を始める許可が下ります。帝王切開の場合は、創部の回復をはかるためにさらに数週間待つことになります。出産後は、出産の疲労に加え育児の疲労もあるため、最初は簡単なストレッチや背伸び、腹式呼吸など負荷の低い運動から開始しましょう。くれぐれも運動によって疲労がでない程度にし、痛みや出血がある場合は運動を中止してください。
運動を行う際は水分をしっかりととることも大切です。この時期におけるママの生活の中心は授乳になります。授乳は運動と同様にカロリーと水分を消費するため、脱水に陥りやすいです。運動後の水分補給も忘れないようにしましょう。
運動の時間は、赤ちゃんが気がかりにならない時間帯、状況で行うことが大切です。自分にとっていちばん都合のいい時間を見つけたり、運動の時間を確保するためにご家族のサポートも受けながら、ムリなくできることから始めていきましょう。
女性のライフステージについて
ここからは、助産師の瀧口から解説していきます。
女性のライフステージは、小児期(0歳から8歳ごろ)、思春期(8歳から18歳ごろ)、成熟期(18歳から40歳前半)、更年期(40代半ばから50代半ば)、老年期(60歳以上)に分かれています。
女性のライフステージには、女性ホルモンであるエストロゲン、プロゲステロンが大きく関わっています。女性ホルモンは、思春期に卵巣から分泌されるようになり、徐々に増え成熟期にピークとなります。更年期に向けて減少し、ほとんど分泌されなくなります。
女性ホルモンの主な役割は「女性らしさ」を作り出すことです。
・丸みのある体や胸のふくらみ
・髪や肌のツヤ
・排卵、生理、妊娠を維持する
・血管の弾力性を保つ
・骨を丈夫に保つ
・自律神経を調整する
など、体の中でもさまざまな役割を担っています。
特に成熟期は女性ホルモンが多く出ているため、ホルモンに守られて骨量や筋量も多く、体力もあり妊娠出産に最も適した状態でもあります。
成熟期は活動的に人生を楽しむことができますが、この時期にムリなダイエットをしたり、仕事や家庭も完璧にこなそうとがんばりすぎたり、産後に適切なケアをせず負担がかかってしまうとホルモンバランスが崩れてしまいます。そうなると更年期以降の女性ホルモンが減少したときに、体調不良や体のトラブルが出てきてしまう可能性があります。
産後はホルモンの変化も大きく、心も不安定になって涙もろくなったり、体も元に戻ろうとしていたり、体の中では目まぐるしく働いている状態です。
産後のケアが更年期以降の体にも影響する
出産で骨盤底筋にダメージがあると、尿もれや老年期以降で女性ホルモンが減ったときに骨盤臓器脱(骨盤の中にある子宮、膀胱、直腸などの臓器が膣の中に落ち込み、膣壁と一緒に体外に脱出してしまう症状)などのトラブルが起きやすくなってしまいます。
産後1か月は、しっかりと体を休めましょう。産後しっかりと休むことは、お産でダメージを受けた産道や骨盤底筋、子宮を回復させるという意味もあります。
産後、自分の体がどのような状態になっているのか知りながら体を整えて、産後の運動を始めていくことが大切です。
【監修協力】
産前産後onlineチームケアMY Team/助産師・瀧口小百合さん
山口大学医学部保健学科助産師コース卒業(看護師、保健師、助産師)
東京大学病院女性外科勤務
結婚後神奈川のフリースタイル分娩の湘南厚木病院産科勤務
助産師、保健師、看護師の資格を取得後、東京大学病院女性外科にて勤務。
その後、結婚して神奈川のフリースタイル分娩をしている総合病院で助産師として働き、夫の転勤にて退職後、専業主婦として小学生2人の子どもを育てており、兵庫、横浜、旭川の転勤経験あり。
転勤先で出会ったお母さんやお子さんたちとの関わりの中から病院勤務時代では知らなかった育児の心配などさまざまな声を聞き、子育てするお母さんたちの支えになりたいと感じる。
お母さんがひとりの女性として楽しく元気に自分らしく過ごしていけるお手伝いをしたい、という思いから産前産後オンラインチームケアMy Team に参加。
現在、オンラインにて母子相談を行なっている。