口臭が気になってマスクが手放せない、人と近くで話すのがこわい…。誰もが気になる口臭の原因や対策法について、内科医・認定産業医である桐村里紗先生にお話を伺いました。
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■口臭の種類と原因とは?
口臭には、「病的な口臭」と「生理的な口臭」の2種類があります。
病的な原因の8割はなんと歯周病。歯周病はケアを怠ると腐肉臭のようなニオイがしはじめます。ちなみに、20歳以上は7割、35歳以上は8割が何らかの程度の歯周病です。
そのほか、腸内環境悪化が悪化することで、呼気を通じて生ゴミのような腐敗臭がしたり、舌の汚れ(舌苔)からニオう腐卵臭、虫歯からニオう硫黄臭など、あらゆる要因がからみ合いながら、さまざまな口臭が発生します。
生理的な口臭は誰にでもあるもので、口内環境によってニオイがきつくなったり、反対にやわらいだりするもの。口内には常にたくさんの菌が生息しており、口内が乾いてその菌が増えることでニオイがきつくなります。
生理的な口臭をコントロールしているのは、「唾液の量」。
寝ている間は口が乾きやすいので、起床時はどうしても口臭が出がち。また、緊張して口が渇いたときやストレスを感じたときにも唾液の分泌量は減りますし、加齢によってもどんどん減っていきます。
最近では、スマホのブルーライトも交感神経を高めて緊張状態を作るので、口のなかの乾燥や口臭につながると言われています。また、前傾姿勢の状態では口の筋肉が緩みやすく、口呼吸となりやすく、口の乾燥から口臭の原因にもなります。
■女性は歯周病に要注意!
病的な口臭の原因である歯周病ですが、男性に比べて女性はより注意が必要です。
「排卵前に増えるエストロゲンは、ある種の歯周病菌が好きな女性ホルモン。また、排卵後に増えるプロゲステロンは炎症を起こしやすいので、女性の口のなかはこまめなケアが必要です」(桐村先生)
口は、体をつくる材料の入り口です。さらに、口内の菌はすぐに血液に入り、全身を巡って体に影響を及ぼすと桐村先生。しっかり意識しておく必要がありますね。
■唾液の量を減らして、口内環境を悪化させるワナ
では、唾液の量を減少させてしまう原因とはなんなのでしょう?
・ドライマウス
口の中が乾くと誰でも口臭が気になるようになります。冬は夏よりも水分をとる習慣が減るため、隠れ脱水の人が多く、唾液の分泌も減って口が渇いた状態に。また、風邪を引いてマスクをすると口呼吸になる人も多く、口の中が乾燥する要因に。水分をこまめにとり、加湿器などで乾燥対策を。
・喫煙
これは口臭の一番の原因です。口のなかに炎症も起きやすくなり、結果的に口内の常在菌のバランスが乱れ、歯周病も増えてしまいます。
・甘い食べものや飲みもの、清涼飲料水
甘いものを食べすぎると、唾液の質が悪くなり虫歯菌が増え、歯垢や舌の汚れもつきやすくなります。歯みがきをするタイミングもポイント。糖質を食べた直後は口のなかが酸性に傾いて、歯の表面を傷つけやすいのですぐに磨かず30分〜1時間置くのがベター。口はすぐゆすぐようにしましょう。気になる人は歯間ケアとうがいで対策をして。
「唾液は1日に1.5リットルほど分泌され、口のなかを洗浄してくれる大切な存在です。口臭を予防したいなら、唾液の量を増やすことが得策。ガムを噛んだり、口のなかで舌をまわしたり、フェイスラインの近くにある唾液腺を押して刺激して唾液の分泌量を増やすことを意識してみてください。唾液で口内がうるおっていると抗菌作用もあり、口臭だけでなく風邪予防にもなりますよ」(桐村先生)
口臭とひとくくりにしても、その原因はさまざま。空気の乾燥が気になる今の季節はドライマウスにも注意して、こまめな水分補給などの対策を実践してみましょう。
文/高野瞳