寒さがどんどん増してきて、風邪やインフルエンザが猛威をふるいはじめる季節。ウイルス対策にはいろいろな方法があるけれど、私たちがふだん飲んでいるお茶にもさまざまなウイルスの力を奪う作用があるのだそう。最新の研究によると、お茶の中でも特に「紅茶」にインフルエンザウイルスの感染を阻止するすごい効果があることがわかったのだとか。そこで、その研究結果をリサーチ。さらにインフルエンザウイルス対策のための紅茶の活用法も専門家に教えてもらいました。
Contents 目次
さまざまな研究結果から紅茶のすごさが明らかに
紅茶がインフルエンザウイルスの感染を阻止する効果について、「三井農林お茶科学研究所」によって資料がまとめられています。
まず注目すべきなのは、一般的に私たちが「風邪やインフルエンザによさそう」と思っている「生姜湯」や「乳酸菌飲料」「ビタミンC飲料」などと紅茶の、インフルエンザウイルスを無力化(細胞への感染を阻止)する能力を比較した研究。その結果は下のグラフです。
紅茶の能力がとても高いということが一目瞭然! 効果が高そうな乳酸菌やビタミンCよりも紅茶のほうがだんぜん数値が高いというのが驚きです。
そのうえ、紅茶は即効性もあるのだそう。
下のグラフは、紅茶のほか私たちがふだんよく飲んでいる「緑茶」「調整ココア」「インスタントコーヒー」について、インフルエンザウイルスを無力化させるのに必要な時間を比較した結果です。
紅茶は、インフルエンザウイルスの感染率をぐんぐん下げていき、15秒でほぼゼロに! ウイルスを15秒という短い時間で無力化できたのは紅茶だけというのも意外な結果といえます。
紅茶がインフルエンザウイルスを無力化できる理由とは?
インフルエンザウイルスの表面は、突起状のたんぱく質「スパイク」で覆われていて、このスパイクでヒトの呼吸器粘膜の細胞表面に吸着し、細胞に侵入することで人体にウイルス感染するのだそう。一方、紅茶に含まれる紅茶ポリフェノールには、このスパイクにくっつき、スパイクが細胞に吸着しようとする力を奪う働きがあるのだそうです。
つまり、紅茶を飲むと、紅茶ポリフェノールの力が働いて、ウイルスを無力化したり、感染を阻害する効果が期待できるというわけなのです。
インフルエンザウイルス対策のための紅茶活用法&紅茶レシピをご紹介!
紅茶には、紅茶ポリフェノールのほかにもテアニンやカフェインなど健康に役立つ成分が含まれています。ここでは日常生活に役立つ紅茶の活用法もご紹介します。
少量でも、こまめに「紅茶」を飲むのがおすすめ!
ウイルス対策としておすすめなのは、少量でもこまめに紅茶を飲むこと。また、冷たい紅茶より体を温めるホットの紅茶が効果的。薄くても効果に変わりがないので、マイボトルに薄めの紅茶をたっぷり用意して、水やお茶がわりに飲むといいのだそう。
また、出がらしになった茶葉を捨てるのはもったいないという人は、うがいにも活用できます。薄い紅茶にもウイルス感染阻止力は残っているので、ぜひ活用してみて。
また、紅茶にはホルムアルデヒドを吸着する力もあるのだとか。部屋に乾燥させた茶殻を置いておくだけでも、ホルムアルデヒドを吸着し、さらに消臭効果も期待できるのだそうです
いずれの場合も、新しい茶葉ではもったいないので、出がらしの茶葉でOKです。
インフルエンザウイルス対策や美容にもうれしい!の紅茶レシピ
紅茶は、お茶の中でも一番アレンジを楽しめます。フルーツを入れたり、ハーブを入れたり、気分によってアレンジするのが、おすすめです。ほかの素材をプラスすることで、さらにうれしい健康・美容効果も期待できるので、ぜひ普段のティータイムに取り入れてみて。
抗酸化作用の高いシナモンとはちみつで効果アップ!
ホットスパイスアップルティー
<材料>
シナモン…1/3本(またはシナモンパウダー適量)
クローブ(ホール)…1~2個
熱湯…200ml
紅茶ティーバッグ…1個
すりおろしたリンゴ…大さじ1
はちみつ…小さじ1
<作り方>
1. カップにシナモンとクローブを入れ、熱湯を注ぐ。
2. (1)に紅茶ティーバッグを静かに入れ、2分ほど蒸らす。
3. (2)にすりおろしたリンゴとはちみつを加え、できあがり。
ビタミンCやクエン酸たっぷりで美容にもプラス!
レッドレモネードティー
<材料>
大きい形状のリーフティー…1g
ドライハイビスカス…1g
熱湯…200ml
レモンの輪切り…1枚
はちみつ…小さじ1(好みで)
<作り方>
1. ティーポットにリーフティーとドライハイビスカスを入れ、熱湯を注いで3分半ほど蒸らす。
2. カップにレモンの輪切りを入れ、(1)を注ぐ。
3. お好みではちみつを加え、できあがり。
紅茶のじょうずな取り入れ方をアドバイス
カフェインが心配なときはデカフェの紅茶をチョイス。
紅茶にはカフェインが含まれているため「夜眠れなくなってしまうのでは?」と心配な人も少なくないはず。でも、大量に飲んだりしない限り体に影響はないのだそう。紅茶はコーヒーと比べてもカフェインは少なめですが、気になる人はカフェインを抜いたデカフェを選ぶのがおすすめ。
デカフェは製造段階でカフェインがカットされたもののことで、アールグレイやアップルといった香りを加えてあるものも多く、種類もさまざまあるのでいろいろ探して味比べをしてみるのも楽しそうです。
デカフェの紅茶もインフルエンザウイルスの感染阻止率は普通の紅茶と変わらないので、妊娠中の人や子どもも安心して飲めます。
監修/日本紅茶協会認定 シニアティーインストラクター 村野かをる
文/小高希久恵
(提供/三井農林)