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CATEGORY : ヘルスケア |疲れ

その生活が自律神経を酷使している…。医師がすすめる「脳を疲れさせない」習慣

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自然の中で解放感を感じる女性

寝てもとれない疲れのもとは自律神経の疲れ。自律神経を酷使することで、脳疲労がたまっていきます。現代の暮らしは、知らずに自律神経を酷使する生活になりやすいのです。今回は、医師の梶本修身先生の『疲労回復の名医が教える誰でも簡単に疲れをスッキリとる方法』から、脳疲労のもとになる生活習慣について見ていきましょう。

監修 : 梶本 修身

東京疲労・睡眠クリニック院長。医学博士。2003年より産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者。ニンテンドーDS『アタマスキャン』をプログラムして「脳年齢」ブームを起こす。『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)など、メディアでもおなじみの疲労研究の第一人者。著書に『すべての疲労は脳が原因』『すべての疲労は脳が原因2〈超実践編〉』(集英社新書)、『隠れ疲労』(朝日新書)など多数。

Contents 目次

休憩時は「ホーム」の環境が大切

「ホーム」とは縄張りの内側のこと。「アウェー」は外側のことです。
人間を含む動物は、「ホーム」では安心できる環境下でリラックスし、副交感神経が優位になります。そして「アウェー」では、緊張で交感神経が優位になります。自律神経は、この「アウェー」の環境でいるときに疲弊します。
そのために野生動物は、1日のほとんどの時間を、「ホーム」の空間で過ごしています。
百獣の王ライオンでも、「アウェー」にいるのはせいぜい1日のうち2時間で、 その時間内にリスクをおかして獲物を狩ります。
仮に2時間以上「アウェー」にいれば、狩りが成功する可能性は増えるかもしれませんが、自律神経が疲れてしまい、集中力や緊張感を失うことでほかの動物に襲われる危険性が高まります。

会社勤めの人間は、通勤時間も含めると12時間ほども「アウェー」にいて、安全・安心・快適な時間が十分に確保できていません。
現在の私たちは、遺伝子的には想定外のあり得ないことをさせられているのです。

仕事中は集中し過ぎてはいけない

社会では、「集中力を高める」ことを美化することが多いようですが、野生では、 食事や毛づくろいなど、ひとつのことに集中し過ぎると、外敵に命を狙われる危険が高まります。
動物にとっては集中するほうがむしろリスクが高いのです。そのため、動物は本来、注意力を分散させる能力を身につけています。
私たちにとって最も大切なことは、集中するのではなく、「注意を効率よく配分すること」です。

ある作業を実行しながら「もっとすぐれた手段はないか?」と考えながら作業をすることで、仕事の生産性はどんどん向上していきます。
つまり、注意をうまく配分することで、仕事をより効率的に行うことができ、その結果、疲労が軽減するわけです。

「ゆらぎ」のない環境は不自然

みなさんは、「ゆらぎ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
「ゆらぎ」とは、自然界に存在する規則性を有する不規則を指します。
たとえば、木漏れ日やそよ風、葉ずれのかすかな音や鳥のさえずり。小川のせせらぎ音は規則的にも聞こえますが、完全に同じ状態は再現されないという不規則性を持っています。
これを「カオス」ともいいますが、「カオス」の持つ「ゆらぎ」こそが、自律神経に癒やしを与えてくれます。森林浴をすると気持ちがよいのは、森が「ゆらぎ」に満ちているからなのです。
「ゆらぎ」は、動物が生きていくうえで、必要不可欠な要素です。
たとえば、人間の有する脳波や拍動は「ゆらぎ」を持っており、脳波も「ゆらぎ」 があるからこそ「ひらめき」が生まれるのです。

ところが、人間が暮らす都会は非常に規則的で、むしろ「ゆらぎ」を排除する方向に発展してきました。たとえば、都会には窓が開かないオフィスも少なくありません。
空調も一定でそよ風もありません。照明もずっと同じ照度で照らし続け、太陽光のような「ゆらぎ」も、太陽光をさえぎる雲の「ゆらぎ」もありません。
「ゆらぎ」のない環境は明らかに自然界には存在しない「不自然な状態」であり、不自然な環境は危険を意味し、自律神経を休めることができないのです。

現代で野生動物と同じような生活はできませんが、生活にひと工夫加えることで、脳を過度に酷使しない生活を送ることができます。そのヒントになれば幸いに思います。

文/庄司真紀

参考書籍
梶本修身『疲労回復の名医が教える誰でも簡単に疲れをスッキリとる方法』(アスコム)

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