何だかだるい、階段で息が切れる、頭が痛い…。こんなプチ不調を夏の疲れによる「秋バテ」のせいだと思っていませんか? でもこれ、じつは「貧血」の症状かも。女性はもともと貧血になりやすいのですが、意外に気づきにくい病気でもあるのです。でも、改善すれば集中力が上がり日常のパフォーマンスも驚くほどアップするそう! そこで、貧血治療に詳しいナビタスクリニック新宿院長の濱木珠恵先生に貧血の原因や対策についてうかがいました。
Contents 目次
貧血をセルフチェック! 2つ以上当てはまったら…要注意
まずは自分の体調をチェックしてみましょう。2つ以上当てはまれば貧血の可能性があります。
□ 眠りが浅く、長時間寝ても疲れが取れない
□ 朝からなんとなく体がだるく、疲れやすい
□ 坂道や階段をのぼっただけで息が切れる
□ 気持ちが落ち着かず、集中できない
□ 爪が薄くて割れたり、へこんだりしている
□ 肌荒れが続いている
□ よく頭が痛くなる
□ 飲み物に入っている氷や、製氷機の氷を食べてしまう
女性が貧血になりやすいのは、なぜ?
2015年厚生労働省の調査によると、女性の約10人に1人が貧血とのこと。50歳未満の成人女性では約5人に1人ともいわれます。
「これほど女性が貧血になりやすいのは、月経や出産で血液が失われるだけでなく、妊娠中は赤ちゃんに栄養を与えたり、出産後も母乳に栄養が含まれたりするため。忙しい日常での偏った食生活や、ダイエット目的の極端な食事制限も貧血を招く一因になります」と濱木先生。
貧血の中でも最も多く、特に女性がなりやすいのが「鉄欠乏性貧血」。
その原因は、血液中にあるヘモグロビンの材料となる「鉄」の不足にあります。
「ヘモグロビンは体のすみずみまで酸素を届ける役目がありますが、体内で鉄が不足するとヘモグロビンの量が減少します。すると十分な酸素が運ばれず体が酸欠状態となり、新陳代謝も低下。だるさや疲れ、息切れ、頭痛、イライラ、肌荒れ、髪のパサつき…といった健康から美容にいたるまで、さまざまな不調が現れます」
検査ではわからない“隠れ貧血”にも注意!
女性にとっては身近な貧血。ところが意外に気づきにくく、そのまま不調を放ってしまう人も多いそう。
「貧血かどうかは一般的な血液検査の『ヘモグロビン値』で確認できますが、検査では見つからない“隠れ貧血”にも注意が必要です」と濱木先生。
体内にある鉄はヘモグロビンを作る材料になるほか、一部は「貯蔵鉄」として肝臓に蓄えられています。貯蔵鉄はヘモグロビンに必要な鉄が不足したときに補充用として使われますが、鉄不足を補い続けてきたために、貯蔵鉄がすでに不足ぎみの人も。
「先に貯蔵鉄が足りない状態になっていて、いずれヘモグロビンも維持できなくなってしまう、この貧血一歩手前の状態が“隠れ貧血”です。たとえヘモグロビン値が正常であっても油断は禁物なのです。特に月経のある女性は出血とともに鉄不足になりやすいため、いつでも“貧血とつき合っている”という意識を持ちましょう」
ほかにも、これまでの猛暑でふだんの食事をそうめんなど、のど越しがよく簡単に食べられるものだけで済ませ、食事の栄養バランスが偏った状態が続いていた人も要注意。
「鉄は食事から摂取するのが基本ですが、栄養のバランスが崩れていることで鉄不足になっている可能性があるからです。月経がある女性はもちろん、夏の疲れが出てくるこの時季はしっかり食事がとれているかも、見直してみるとよいでしょう」
次回は鉄不足を解消する食事のポイントをご紹介します!
取材・文/井上幸恵