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冬はかきのシーズン。レモンを絞って、生で食べるのも、鍋に入れていただくのも人気。かきは「海のミルク」といわれるほど栄養素が豊富なのは有名です。日本の研究によると、よい眠りのためにもかきを食べることがよいとの報告が。不眠になりがちな人には知っておきたい栄養の効用といえそうです。
亜鉛が多いかきを食べると…
かきは、海外では9月~4月の間、その月を英語で書いたときに「r」が入っているシーズンに人気。日本でも冬によく食べられます。September(9月)からApril(4月)となりますが、最近、米国の研究グループが、こうしたシーズンに食べる習慣は4000年前から変わっていないとの研究結果を報告。食中毒になりやすい時期に食べないよう長い歴史のなかで一般化していったようです。
そんなかきは栄養も豊富。なかでも注目されるのはミネラルのひとつ、亜鉛を多く含むこと。亜鉛は、免疫の働きを保ち、細胞を増やすためにも必要とされるほか、傷の治癒、味覚などの感覚にも関係していることが知られています。そして、このたび、日本の研究グループが、亜鉛の多いかきを食べることによる睡眠への効果を報告しています。
入眠しやすく、深い眠りに
調べたところわかったのは、亜鉛が豊富なかきを食べることで、眠りに入りやすくなり、しかも、深い眠りとされる「ノンレム睡眠」をしっかりとれるということでした。研究グループは、健康な120人を対象として、かきのほか、同じく亜鉛が豊富な酵母、アスタキサンチンの豊富なオイル、比較対照となるプラセボのグループに分けて食品の効果を比べたのです。亜鉛やアスタキサンチンでは眠りに入るまでの時間は短くなり、かきを食べたグループは特に深い睡眠をとれるようになっていることがわかりました。
つまり、食事のとり方によって睡眠の質も大きく変わる可能性があるということが示されたのです。よい眠りを得るためには、眠る時間や環境、ストレスなどに気をつけたいところですが、今回の研究のように、食べるものに配慮するのもよいことといえそうです。
<参考文献>
Mol Nutr Food Res. 2017 May;61(5). doi: 10.1002/mnfr.201600882. Epub 2017 Feb 27.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28019085
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/mnfr.201600882
Only eat oysters in months with an ‘r’? Rule of thumb is at least 4,000 years old
https://www.floridamuseum.ufl.edu/science/oysters-in-r-months-rule-4000-years-old/
厚生労働省「統合医療」情報発信サイト「亜鉛」
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/12.html
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星 良孝 <ステラ・メディックス>
ステラ・メディックス代表取締役社長/編集者 獣医師 専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修をサポートしている。代表取締役の星良孝は、東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。https://stellamedix.jp
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