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47歳・シングルマザー・コンビニ勤務。束縛ぎみの夫と別れて数か月、今生きていて一番幸せです~私、ひとりでいてもイイですか?(10)~

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47歳・シングルマザー・コンビニ勤務。束縛ぎみの夫と別れて数か月、今生きていて一番幸せです~私、ひとりでいてもイイですか?(10)~

新たな1年が始まりましたね。とはいえ、依然として外出を控える生活が続き、心置きなく人とリアルに会う機会はもう少し先になりそうです。中には「人と会わなくても全然平気!」という人もいれば、「人と会えないのはやっぱり寂しい…」という人もいると思います。
本企画は、ひとりでいるのが好きな人も、ひとりでいるのが寂しいと感じる人も、“おひとりさま生活”について思いのたけを語るインタビュー連載です。インタビュアーは、婚活・恋愛の記事を多数手がけ、さまざまなメディアで活躍中のフリーライター・大宮冬洋さん。今回登場するのは、2人の娘を育てているシングルマザーの女性です。「恋愛体質です」と自ら言いきるアラフィフ女性の結婚観や恋愛観、仕事観、そして人生観とは?

監修 : 大宮冬洋 (おおみや・とうよう) (フリーライター)

フリーライター。恋愛・結婚に関するインタビュー記事を得意とし、最近は「お見合いおじさん活動」も勝手に遂行中。35歳以上で結婚した「晩婚さん」を160人以上取材した実績を持つ。2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。近著に『人は死ぬまで結婚できる~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)がある。

Contents 目次

娘2人との3人暮らし。「恋愛体質」のシングルマザー

主として独身ひとり暮らしの女性と語り合っている本連載。今回は、「バツ2」で「娘2人との3人暮らし」だという女性に登場してもらう。千葉県でコンビニのパート社員として働いている神田美紀さん(仮名、47歳)だ。

指定された日時にZoomを設定して待っていると、面長美人の神田さんが画面の向こうに現れた。自宅1階で取材に応じてくれるらしい。2階では小学校4年生の次女が友だちと一緒に遊んでいるという。

「子どもたちに聞かれて困ることはあまり作りたくないので大丈夫です。普段からできるだけ話しています」

さっぱりした表情で家庭の様子を話してくれる神田さん。昨年夏に14年間の結婚生活に終止符を打ったばかりだ(取材は2020年10月)。生活のためにコンビニの夜勤を週5で続けている状況だが、「今まで生きてきた中で一番の幸せ」を感じているらしい。幼少期の話までさかのぼって聞く必要がありそうだ。

***神田美紀さん(仮名、47歳)の話***

「どうやったら生きていけるか」ばかりを考えてきた半生でした

今まで趣味がありませんでした。好きなことを見つけることに罪悪感があったんです。子どもの頃から自分を押し殺して生きてきました。原因は父だとはっきりしています。「子どもは親の言うことに黙って従って尽くせ」と価値観で、感情の起伏も激しい人でした。好きな音楽のグッズをみんな捨てられたり、テレビの電源コードをハサミで切られたり。自分が好きなことよりも「どうやったら生きていけるか」ばかりを考えていた気がします。
小学生の頃、みんなが好きなアイドルや音楽ではなく、寺尾聰とかジュディ・オングとか「おじさんたちが歌うちょっとエッチな歌」が好きだったんです(笑)。でも、そんなことを口に出せずにいました。

両親も離婚しています。母には経済力がなかったので、私と弟は父のもとへ。女の私は中学生時代から家事をしていました。横暴な父との葛藤が激しくなって、大学生だった19歳のときに家を出たんです。
救ってくれたのは10歳年上の彼氏でした。彼も実家暮らしでしたが「うちにおいで」と言ってくれたんです。私の教育を放棄した父親に代わって学費も出してもらいました。

苦しい状況から逃げ出す手段としての結婚。救い出したほうは見返りを求める

その彼と数年は同棲して、結婚したのは24歳のときです。でも、結婚した途端に私の行動を縛るようになりました。私も悪いのだと思います。苦しい状況から逃げ出す手段として使ったのですから。救い出したほうは(従順な妻という)見返りを求めるは当然のことなのかもしれませんが、私はもともとエネルギー値が高いほうなので、元気が戻るとバリバリと外で働きたくなるんです。1年で終わってしまった、おままごとのような結婚生活でした。

2度目の結婚の失敗も同じです。再婚したのは33歳のとき。当時の職場があまりの激務で、人間関係にも悩んでいて逃げ出したかったんです。ものすごく子どもが欲しかったのもあり、私のことを好きになってくれた男性(前夫)に救いを求め、再婚を決めました。穏やかで優しい人だと思ったからです。

結婚当初から違和感がありました。優しく見えたのは言葉の表現が穏やかなだけで、根本的には優しい人ではなかったのです。私はつわりが重いほうで、働けずに横にならざるを得ない時期がありました。前夫に「寝てばかりでいいよな」と言われたことを今でも覚えています。男の人には理解できない辛さだとは思いますが、それなりに思いやってほしかったです。

2人の娘の育児にかまけているうちはなんとかやってこられましたが、小さな不満が積み重なったのだと思います。車の免許を取ることを「事故が怖いから」と否定されたり、コンビニを辞めて公文の先生になろうとしたら、「なんでそんな面倒臭いことばかりしたがるの!」と言われたり。手がかかるうえに悲観主義。生活が窮屈でした。

夜10時から翌朝9時までの週5日でコンビニ勤務。夜勤の時給は1200円です

正式に離婚する1年前から別れる準備をしていました。それまでは朝4時~9時まで週3日で勤務していたコンビニの仕事を、夜10時から翌朝9時までで週5日勤務に変更しました。夜勤の時給は1200円です。
帰宅後は洗濯や家の片づけをしてからお風呂に入って食事をとり、4~5時間ほど寝ます。起き出した夕方には中2の長女と小4の次女が帰宅しているので、娘たちの話を聞きながら夕食の準備をします。

娘たちは指示をしなくても動けるようになりました。長女は次女が学校に行くお世話全般ができます。私が用意しておいた食事を温めたり、お風呂掃除をするのも長女の役割です。週末は家全体に掃除機をかけてくれます。次女は食器の片づけを担当。これは長女が以前にやっていたお手伝いを引き継ぎました。
子ども相手に変な表現ですが、長女と私はラブラブな関係です。だからなのか寂しいという感覚はありません。前の主人が家にいた頃はちょっとしたことにもいちいち気を回していました。今は家の中で自由に振る舞えて、息がしやすくなったのを感じています。

PTAという居場所。役員を必死でやり遂げたら「次のステップ」が拓けた

今は自分を取り戻す作業をしています。3年前に好きな人ができました。結婚生活が続いていたのでお付き合いすることはありませんでしたが、私のことを女性として見てほしいと思ったんです。それを励みにしてマイナス17キロのダイエットに成功しました。今でもゆるく糖質オフをしています。白米代わりの豆腐はヘビロテです。

好きなことが見つからなくても自分ができることを探していこうと思っていて、離婚する前にはPTAの役員を2年間の任期でやっていました。「奥さん」「お母さん」という役割には飽き足らず、ほかの居場所を求めていたのだと思います。とても大変な仕事でしたが、自分は子どもが本当に好きなのだとわかりました。人脈が増えたのもPTAの役員をしたおかげです。公文の先生という「次のステップ」も紹介してもらいました。

今付き合っている人もPTAの飲み会で知り合いました。娘の同級生のパパで、シングルファーザーです。私は恋愛体質なので、どこでもピンときたら付き合います。思いを寄せてくれるのは相手のほうで、応えるか応えないかは私次第です。
娘たちは私が付き合っていることを知っていますし、彼も私たち家族の面倒をみてくれようとしています。でも、しばらくは結婚するつもりはありません。娘も同級生の父親が「お父さん」になるのは嫌がるでしょうし、私も「結婚すると対等な立場ではいられなくなる」という思いがあります。
守ってもらうと、その男性からの束縛を受けます。父親と二度の結婚で痛感しました。今は「自分の面倒は自分でみたい」と思っています。

見た目も自分を取り戻したいと思っている神田さん。豆腐と野菜中心の食事でダイエットを継続中だ。(本人提供)

***大宮より神田さんへ***

寺尾聰『ルビーの指輪』とジュディ・オング『魅せられて』を熱唱しましょう

苦しい状況から逃げ出す手段として結婚をすると、救い出したほうは見返りを求めて束縛をする――。神田さんは実体験に基づく真実を語ってくれました。「白馬の王子様」はやがて暴君に変貌するという恐ろしい現実です。
男性側からすると暴君になりたくてなっているわけではありません。好みのタイプの女性が弱っていて自分を頼ってくれると、グッときてしまうのです。父性愛だけでなく、支配欲なども刺激されるのだと思います。

でも、危機を脱して日常になると女性のほうがパワーを持ち始めますよね。男性としては「話が違う!」と焦り、もはや支配できないこと悲しみを暴力や暴言に変えてしまうのでしょう。
尊重し合い助け合えないような結婚生活をするぐらいならば、ひとりでいたほうがいいですよね。神田さんがもしまた結婚するのであれば、お互いに元気で前向きな状態で結ばれるのがポイントだと思います。苦しい状況から救い出してもらうのではなく、良い状況をさらに楽しくするための結婚。自立した大人同士の対等合併です。そのためには「自分を取り戻す作業」(神田さん)は必須ですね。

自分の娘たちだけではなく、子どもの成長に関わることが好きなのだと気づいた神田さん。その方向で力を発揮できる仕事に就こうとしています。寺尾聰『ルビーの指輪』もジュディ・オング『魅せられて』も好きなだけ聴けばいいじゃないですか。近所に居心地のいいスナックを見つけて熱唱するなんてのもお勧めです。神田さんの人生はこれから開花していくのだと思います。

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