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もっと、ずっと、ヘルシーな私

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46歳・看護師。結婚わずか2年で夫の借金が原因で離婚。子育てをほぼ終え、コロナ病棟で働くために単身で上京~私、ひとりでいてもイイですか?(21)~ 登山中の石田さん。「もっと若いときに登り始めていれば」という後悔はしたくないそうです。(本人提供)

本企画は、ひとりでいるのが好きな人も、ひとりでいるのが寂しいと感じる人も、“おひとりさま生活”について思いのたけを語るインタビュー連載。インタビュアーは、婚活・恋愛の記事を多数手がけ、さまざまなメディアで活躍中のフリーライター・大宮冬洋さんです。
今回登場してくれたのは、コロナ病棟に勤務する、46歳・看護師の女性です。夫の借金が原因で結婚からわずか2年で離婚。2人の子どもを抱えながらアルバイトをかけ持ちし、30歳で看護師資格をとってからは塾講師とダブルワークで働いてきたという、とてもエネルギッシュな彼女。子育てを終え、これからの生き方を真剣に考えたときに見えてきたものとは…?


このまま歳をとるのは嫌なので自分のしたいことをさせて欲しい

「地元の仕事を辞めたとき、『いつでも帰って来て』と職場の人たちから声をかけてもらえました。ありがたいことだと思います。でも、関東のコロナ病棟で働きに行くとは言えませんでした。ゾーンごとにきっちりと管理されているコロナ病棟の安全性をわかってくれない人もいますから。ごく親しい人には伝えましたが、みんなから大反対されました」

2月から関東地方の病院にあるコロナ病棟で看護師として働いている石田千明さん(仮名、46歳)。さっぱりとした雰囲気の女性だ。趣味は登山で、山岳テントを持っているほどの本格派。体が動くうちに日本百名山のすべてを制覇したいという夢があり、現在は休みごとに関東地方の山を登っている。

今までは北陸地方にある自宅でシングルマザーとして働いていた。2人の息子は専門学校生と高校生。子どもの頃から家事を教えているので、今では「何でも自分でできる」らしい。すぐ近所に石田さんの実家があり、父母も健在なので安心だ。石田さんが旅立った後も、夕食は4人で仲よく食べているという。
「昨年末に思い立ち『このまま歳をとるのは嫌なので自分のしたいことをさせて欲しい』と子どもたちに伝えると『もちろんいいよ!』と言ってくれました。子どもたちにも感謝、ですね」

悔いのない第二の人生を送り始めている石田さん。27歳のときに「できちゃった婚」をしたときから振り返ってもらおう。

***石田千明さん(仮名、46歳)の話***

2人の息子を養うために、夜勤の前にコンビニでバイト。夜勤明けでまたバイト

今思うとなんであんな人と結婚したのかわかりません。まだ若かったから、なんとなく付き合ってしまったのだと思います。仕事がある朝も起きられないような人でした。次男を出産した後で、好きなものを買っていて数百万円もの借金があることを言われたんです。計算してみたら月30万円ぐらい返済しなければなりませんでした。瞬時に「別れよう」と思いました。前の年に長男が誕生していたので2年足らずの結婚生活です。

離婚して北陸の地元に帰って来たのが29歳のときです。自己破産をした主人からは養育費はもらえず、連絡もしていません。子どもは2人とも父親の顔を覚えていないはずです。
近くの実家には私の両親がいるので安心です。ただし、金銭的な援助は一切受けずに今までやってきました。子どもが小さいときは、寝る時間以外は仕事です。夜勤の前にコンビニでバイトして、夜勤明けでまたバイト。今思うとよく生きていたなと思いますが、必死だったのでしょう。

今すぐでも来てほしい――。看護師が足りない首都圏のコロナ病棟へ行く決意

看護学校に入ったのは30歳のときです。私はもともと学習塾の講師をやっていたので、国家資格試験前などは同じ学生相手に授業もしていました。「卒業したら教員として戻って来てほしい」と学校から誘ってもらい、関東に来る前までは看護師と教員のダブルワークです。年収は700万円ほどありました。

息子たちはありがたいことにお金も手間もかからずに育ってくれました。2、3歳の頃から「ポストに手紙を入れる練習」「電話をかける練習」「買い物のお使いをする練習」をさせてきたので、今では掃除、洗濯、料理、何でもできます。

やりたかった仕事もできて、両親も元気で、子どもたちはほぼ自立。残りの人生半分をどう生きるかを考えたときに、新型コロナウイルスの感染拡大が起きました。私が住んでいる県は感染者が少なく、看護師は多いので医療はまったくひっ迫していません。
でも、首都圏は「今すぐにでも来てほしい」という切実な求人がありました。仕事を辞めてひとりで関東に行こうと決めたのは昨年末(2020年末)のことです。

安全で休みも多いコロナ病棟。ただし、スタッフは全員がビジネスホテル暮らしです

今、ビジネスホテルで暮らしています。費用は自治体が全額補助。月収は60万円もあるので恵まれていますよね。
地元でも職場の人間関係は良好でした。コロナ病棟のスタッフは、ほかの人たちから避けられることを覚悟していたのですが、患者さんからもほかの病棟のスタッフからも「いつもありがとう」と声かけをしてもらえるんです。普通に買い物にも出ています。

コロナ病棟の看護師は半分が男性で、独身の若い人が多いですね。嫌々で働いている人はいないのでチームワークは崩れずに済んでいます。ただし、結婚して病院近くに住んでいる人も今はホテル暮らしです。

日勤のときは8時30分~17時、夜勤は16時~朝9時まで。月に5、6日は夜勤に入りますが、慣れていますし、登山で体を鍛えているので平気です。
コロナ病棟内でも危険度別にゾーンが明確に分かれていて、フルPPE(個人用防護具)で入るゾーンからは1時間は出られません。自分の汗でびっしょりになるので対策が必要です。私は登山用のメッシュのシャツを着込むようにして、汗で体温が奪われるのを防いでいます。専用のお風呂もあるので、仕事のあとはお風呂に入って帰ります。

「一緒にいる時間がもったいない」と感じたら終わり。2年付き合った恋人との別れ

休みは地元でダブルワークをしていたときより格段に増えました。月に8~9日は完全にオフ。百名山のすべてに登るという目標があるので助かっています。明日は雲取山をひとりで登る予定です。

ひとり暮らしは大学時代以来なのでちょっと寂しいです。でも、家族と食事時にZoomかLINEで10分ほど話しています。子どもに「ホテルのドライヤーがいまいちだから、家のドライヤーを送って」とお願いしたり、たわいもない会話が嬉しいです。

地元で2年ほど付き合っていた男性もいましたが、関東に来る前に別れました。よくうちにも遊びに来ていて、子どもたちとも仲よくやってくれていたのですが、食後は換気扇の下で電子タバコを吸いながらYouTubeを見る時間が長くなったんです。「この時間がもったいない」「一緒にいてもお互いにメリットがないな」と思いました。
あっさりしている人なので、私の決断を伝えると関係はパッと切れました。子どもたちも「あれ? 別れたんだ。へー」で終わり。彼らにはアルバイト先やネットゲームの仲間がいて、それぞれ彼女もいます。自分の世界があるんですね。

本当にやりたいことをやっていれば人は寄ってきてくれます。だから、婚活などはしません。私は登山だけでなく本を読むのも好きです。年をとって山に登る体力が落ちたら、小説を書きたいと思っています。若い頃に地元の新聞の小説コンテストで賞金をもらったこともあるんですよ。

今の病院でやるべきことをやって、3か月後には違う県のコロナ病棟に移るつもりです。百名山が多い県を狙っています。最後は屋久島の宮之浦岳。10年後には到達したいと思っています。

フルPPE(個人防護具)で勤務中の石田さん。「脱ぐときに最も感染リスクがあります。手順に従って慎重に脱いで処理するので大変です」(本人提供)

***大宮より石田さんへ***

山の数だけストーリーがある。「ノマド看護師の旅する人生百名山」を書いてください

ネットで本連載を見つけて、「この文章を書いているのはどんな人なんだろう?」という興味で応募してくれましたね。僕とZoomで会ってみてどんな感想を持ちましたか?

僕のほうは石田さんに「感覚がフラットで、すごく話しやすい人」という印象を持ちました。上から目線でも卑屈でもなく、やたらに明るいわけでもないけれど暗くもない。自立していて立派な仕事をしているけれど、それを他人に押し付けようとはしない。「自分が本当にやりたいことをやっていると人が寄ってくる」という主張の通り、僕も石田さんに引き寄せられるのを感じました。

インタビュー中もお話しましたが、老後の執筆活動に備えてメモを残しておくことをお勧めします。登山と人生を絡めるのはいかがでしょうか。例えば、雲取山を登ろうとしている今は、家族から離れてコロナ病棟で働いていますよね。なぜその決断をしたのか、今はどんな生活で、どのような気持ちで山を登ったのか。箇条書きでもいいので書いてみたらどうでしょう。

過去に登頂したのは15の山だそうですね。当時は息子さんたちも小さかったり、地元でのダブルワークにも勤しんでいたりしたことでしょう。思い出しながら書いてみるのも面白いはずです。10年後に石田さんが出版する本の帯コピーと書名を勝手に提案していいですか? 「離婚、子育て、コロナ病棟。目の前にはいつも山があった」と『ノマド看護師の旅する人生百名山』です。よかったら使ってください!

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大宮冬洋 (おおみや・とうよう)

大宮冬洋 (おおみや・とうよう)

フリーライター。恋愛・結婚に関するインタビュー記事を得意とし、最近は「お見合いおじさん活動」も勝手に遂行中。35歳以上で結婚した「晩婚さん」を160人以上取材した実績を持つ。2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。近著に『人は死ぬまで結婚できる~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)がある。

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