20代の頃の髪の悩みといえば、スタイリングがキマらないことだったり、枝毛が見つかったことが大半ではありませんでしたか? それが30代、40代と年齢を重ねるにつれ、まだまだ先だと思っていた「髪のボリューム」「白髪」「うねり」といった髪の悩みに直面するもの。老け見えしてしまうこれらの原因って一体何なの!? 美容師の木村旭宏さんに教えていただきました。
Contents 目次
若見えヘアと老け見えヘアの決定的な3つの違い
加齢と共に、同じ年齢でも見た目年齢がまったく違うほど、エイジング化が進む人、食い止められる人がいます。一体なにがエイジング化の原因なのでしょう?
<1>弾力の違い
老けている髪と、老けていない髪は、まず髪の弾力の差があります。
老けている髪とは、1本1本が細くなり、弾力がなくなる髪のことで、ボリュームが出なくなっている髪。つまり、老けていない髪の特徴は、ボリュームが出ている髪ということになります。
頭皮に栄養を与えたり、髪の毛をふんわりさせるシャンプーやケア製品をとり入れることで、老けていない髪作りができます。
すぐに見た目の変化を出すには、スタイリングのときにトップにボリュームを出すことです。髪を乾かしたり、カーラーを使うときに必ず毛の流れと逆の方向へ流したり巻いたりすることで、立ち上がりの強化を行いましょう。
こうすることで、ボリュームが出て、視線が上に集まることにより、顔のたるみも目立ちにくくなりますよ。
<2>うるおいの違い
髪のうるおいの差が、これもまた老けている髪、老けていない髪との差になります。
年齢と共に髪全体のツヤがなくなることで、パサつきやダメージが目立ちやすくなり、ダメージそのものも受けやすくなるので、特にパーマのケアは年齢と共に必須。
うるおい力の高いトリートメントを使って、髪の毛に栄養を与えるケアを徹底することが、老けていない髪につながります。
スタイリングするときには、ツヤが出るスタイリング剤を使いながら、ブローをていねいに行ってください。前髪や毛先といった、目立ちやすい部分は、とくにていねいに。
ヘアビューザーや復元ドライヤーといったような、使うだけでツヤが出るヘア美容器具もありますから、ぜひ使ってみることをおすすめします。
<3>露出の違い
3つ目のポイントは分け目。髪の毛の本数が減少することにより、頭皮の露出が広範囲になります。これにより、髪の毛が少なく見えてしまいがち。この頭皮の露出の差が老けている髪か老けていない髪かの差になります。
スカルプケアもとても大切ではありますが、まず気をつけるポイントは分け目です。
一直線のくっきりした分け目はまずダメです。ジグザグにするか、思い切って前髪を深めにつくるのもおすすめです。
ここで注意しておきたいのが、ブローするときは必ずうしろから乾かすということ。
せっかく前から見て、ボリュームが出たスタイルであっても、正面からうしろへ乾かしてしまうと台無しになってしまうのです。必ずうしろからドライヤーを当ててくださいね。
老け髪と若々しい髪の3つの違い、今すぐできる対策はぜひ実践してみて。
続いては、年々気になりだす髪のうねり問題。その正体と対策について、木村さんに教えていただきましょう。
昔はストレートだったのに…髪のうねりが発生する原因
「うねりの正体がよくわからない分、対策の仕様がないという声もよく聞きます」と木村さん。うねりが発生してしまう原因は、「頭皮」や「髪の毛」にも隠れているといいます。まずは「頭皮」。
よく、「幼い頃は髪の毛がストレートでサラサラだったのに、大人になるにつれてくせ毛になってしまったんだけどなぜ?」という質問を受けます。
幼い頃の髪の毛がストレートなのは、髪の毛の断面も丸くなっている状態のため。それが年齢を重ねていくと、紫外線やそのほかのダメージによって頭皮が衰えてたるんでいくことで、頭皮の毛穴にゆがみが発生します。そのため、髪の毛の断面もいびつな円形になってしまい、ダメージを受けやすく、うねりも強くなってしまうのです。
うねりを発生させる頭皮状態の改善方法は、頭皮の保湿と、適切な栄養分を与えることの2点につきます。
今は昔と比べて、スカルプケア剤が充実しています。女性はとくに髪の毛ばかりに気を使いがちですが、髪の毛は頭皮から生えてくることを今一度踏まえて、シャンプーやトリートメントを見直すのもおすすめです。
先ほど、うねりが発生するのは「髪の毛」自体にも原因があると伝えました。髪の毛のうねりを、わかりやすく“くせ毛”と言い換えてお伝えしますが、くせ毛には先天性と後天性の2パターンがあります。いうまでもなく、先天性とは遺伝が原因のひとつですから、ここでは後天性についてお話します。
後天性のうねりの場合、紫外線や乾燥、さらにはアレルギーなどのダメージが原因であることも。女性の場合は大人になるにつれ、カラーリングやパーマなどをすることで、さまざまな薬剤が影響していることもあります。薬剤の影響で残留した活性酸素は、髪の毛のうねりだけでなく、さまざまな髪のトラブルをまねくので注意が必要です。
活性酸素をとり除くシャンプーなども販売されているので、こういったものを積極的に使用するのも◎。活性酸素を除去することで、うねりの改善にもつながります。
ほかには女性の場合、ドライヤーやヘアアイロンの熱などが加えられることによって、髪の毛の水分バランスが乱れて弱った状態に。すると、うねりが強くなりやすくなってしまうことがあります。
昔は髪の毛がストレートだったのにくせ毛になった、といった髪質の変化は、意外と水分バランスの乱れが原因であることも多いので、その点に気をつけてケアをしてみてください。
気になりだした「白髪」をキレイに見せたい
年齢を重ねることで、女性のお悩みに浮上するのが白髪問題。ですが、白髪をキレイに見せてくれる髪の明るさがあります。
それは、少々明るめのカラー。ベースとなる全体カラーを、気持ち明るめの色にすることをおすすめします。自然な明るめのブラウンであれば、白髪はきちんと染まります。美容師用語になりますが、目安としてだいたい“8トーン”くらいがベストです。ぜひ覚えておいてくださいね。
そして、白髪をキレイに見せるためには色の選別も重要。
おすすめは、ツヤをしっかりと出してくれて、血色をよく見せてくれつつ、女性らしさをアップさせてくれる“ウォーム系”といわれるカラー。例えば赤系です。
これに、アッシュ系やマット系の色味を足すと透明感を与えて、くすませることができます。変に若作りにならない点でも、ウォーム系はおすすめです。
全体カラーだけでなく、ハイライトやローライトをいれたヘアスタイルは、白髪が目立ってきた髪におすすめです。
全体カラーより明るめのカラーを入れるハイライトは、時間の経過とともに生えてくる根もとの白髪をより目立たなくしてくれますし、全体カラーより暗めのカラーを入れるローライトは、立体感を出すことができるので、年齢とともに失われてくる髪のボリュームをアップして見せてくれることにもなります。
●白髪をキレイに見せてくれるスタイリング
カラーリング以外でも白髪を目立ちにくくすることは可能です。
ひとつは、分け目をくっきりつけないことです。
分け目があればあるほど、根もとの露出が多くなり目立ちやすいんです。
日頃から、分け目をつくらないスタイリングをすることをおすすめします。
また、髪の根もとにボリュームを出すというのもとても効果的です。
根もとが立ち上がれば立ち上がるほど、根もとにある白髪が目立ちにくくなります。髪を乾かすときはもちろんのこと、マジックカーラーなどを使って簡単にボリュームを出すことはできますし、ボリュームアップして見せるだけで、薄毛も目立たず髪を多く見せてくれますから、若返り効果も絶大ですよ。
色味を変えたり、全体塗りだけをやめたり、さらにはスタイリングをちょっと変えるだけで、白髪は簡単に目立たなくすることができます。白髪を許せるようになれば、気持ちよく年齢を重ねていけそうですよね。
年々感じる髪の変化も、きちんと向き合ってお手入れをしていけばこわいものなしですね! うねり、白髪、パサつきなどのお悩みを少しずつクリアしていき、自分のこと好きになれるようなヘアケアをしてみませんか?
取材・文/高田空人衣