ようやく涼しさを感じられるようになり、本格的な秋が訪れようとしています。しかし、季節は移りゆくのに体には夏の暑さによる疲れや紫外線のダメージが残ったままになってはいませんか? 夏の間に蓄積したダメージは、早いうちにしっかりケアしておきたいもの。そこで、「体の内側から健康で美しく、ハッピーに」をコンセプトに、自然療法・予防医学・栄養学などをバランスよくとり入れた発信を行う、ホリスティック薬剤師の佐々木貴美さんに、紫外線のダメージをシミやシワに残さないために、今とり組むべきスキンケア、インナーケアについてお話をうかがいました。
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紫外線ダメージを残さないためのカギは、ターンオーバーの正常化!
肌の代謝、生まれ変わりを意味するターンオーバー。私たちの肌は、基底層で生まれた基底細胞が細胞分裂を起こして角層細胞となり、やがてそれが古い角層細胞となってはがれ落ちます。このサイクルを経ることで、肌の健やかさや美しさを保っています。つまり、ターンオーバーは美しく健やかな肌の要。そして、そのターンオーバーの乱れは、さまざまな肌トラブルや老化を引き起こす原因になってしまいます。
「ターンオーバーの乱れを引き起こす原因としては、運動不足、ストレス、糖分・油分のとり過ぎなど、体の内側の問題によるものと、紫外線や乾燥など外的要因によるものがあります。今回は、血流や水分代謝などを改善してターンオーバーの正常化を促すケアと、紫外線のダメージに有効なケアについてお伝えしたいと思います」
ターンオーバー正常化のポイント<1>血流の改善
私たちの体は、血液が栄養素やホルモン、酸素を細胞へと届け、また、二酸化炭素や代謝老廃物を肺、肝臓、腎臓、脾臓などへと運ぶ“循環”によって成り立っています。ところが、運動不足、ストレス、糖分・油分のとり過ぎなどによって血液がドロドロになると、この循環が滞り、末端器官である肌まで栄養が届きにくくなってしまうのです。
そのため、ターンオーバーを正常に保つためには「血流をよくすることが大切」だと佐々木さん。
「体の中から血流にアプローチするなら、シナモンなどのスパイスや、シナモン(桂皮)が入っている桂枝茯苓丸などの漢方薬をとり入れるのが有効です。また、外側からのケアでは、炭酸のスキンケアアイテムをとり入れるといいでしょう。高濃度炭酸は肌の毛細血管にアプローチできるので、洗顔後に炭酸コスメで拭き取りをしたり、炭酸コットンパックをしたりすると、肌がワントーンアップします。
ただ、炭酸コスメと謳っているものには、LPガスや液化天然ガスを使用しているものもあるので、「from CO2」と記載されているなど、二酸化炭素を使用しているコスメを選ぶのがポイント。重曹とクエン酸で手軽にできる、ぬるま湯での炭酸浴もおすすめです」
ターンオーバー正常化のポイント<2>水分代謝を上げる
ターンオーバーを正常に保つためには血流のよさがポイントであることがわかりましたが、血液の多くは水分で構成されています。そこで、もうひとつ重要なのが、水分代謝を上げて体内の水分のバランスをとること。
「水分をとりすぎると、体内のイオンバランスが狂い、ターンオーバーに遅れが生じやすくなります。一方、水分が不足すると、血液がドロドロになって栄養が行き渡らず、やはりターンオーバーの乱れや遅れの原因となります」
つまり、水分はとり過ぎても不足してもいけないということ。では、どうすればバランスが保てるのでしょう。
「水分補給は適量をこまめに。キンキンに冷えたものよりは常温のものを意識することが大切です。また、余分な水分をため込まないように、体の冷えには注意しましょう。
アウターケアのポイントとしては、紫外線を浴びたあとはとくに水分補給をしっかりして、すぐに保湿・沈静させること。浸透圧で水分代謝を上げてくれるクレイをとり入れるのもおすすめです」
紫外線は、微量でも肌のバリア機能を低下させ、乾燥など肌トラブルのきっかけとなるだけでなく、大量に浴びたり、くり返し浴びることで、シミ、くすみなどの色素沈着やシワ、たるみなど深刻な肌老化の原因となります。
「夏の間、非常に強い紫外線にさらされた肌は、まさに老化の危機に直面している状態といえます。もちろん、外からのスキンケアも大切ですが、血流や水分代謝をよくして肌のターンオーバーを正常に保つこと。そして、トマトやなす、かぼちゃ、ぶどうなど、抗酸化力の高いカラフルな野菜や果物を積極的にとるなど、体の内側からできるケアもたくさんありますよ」
「美は1日にして成らず」とはよくいったもので、血流や水分量、栄養のバランスなどを意識したライフスタイルやケアを心がければ、ターンオーバーが正常に保たれやすくなり、アンチエイジングや美肌へとつながります。未来の美肌への投資だと思って、佐々木さんのアドバイスをもとに、体の内側、外側からのケアを実践していきましょう。
文/野田美香