旅行もままならない昨今ですが、夏休みにはたっぷり太陽を浴びたいと期待している人もいるかもしれません。バカンス気分の一方で、気になるのが日焼け。日本よりずっと紫外線が強いオーストラリアとニュージーランドの研究報告によると、日焼け対策に力を入れているにもかかわらず、入院するほど日焼けする人も多いそう。大変なケースとは?
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日焼けもひどくなると“ヤケド”に
紫外線を浴び過ぎると日焼けして、皮膚がんの原因になり得ると知っている人もいるかもしれません。オーストラリアやニュージーランドでは、皮膚がんのなかでも悪性のメラノーマ(悪性黒色腫)と呼ばれるタイプの発生率が世界一高く、がんにつながる日焼けは大きな問題に。子どものころから教育に紫外線対策が組み込まれており、日除けの設置や対策促進キャンペーンなど、国を挙げて日焼け予防に取り組んでいるそうです。
それでも日焼けした場合、たいていは自宅でクリームや鎮痛薬で手当てして済ませるのですが、ひどい日焼けとなると、病院を訪れて“ヤケド”の専門家に診てもらう人もいるようです。なかには入院するほどのケースも。
このたび、オーストラリアの研究グループはその実態を検証。オーストラリアとニュージーランドのヤケドによる入院の登録データから、日焼けが原因で入院した人について詳しく調べ、皮膚科の専門医学誌『JAMA Dermatology』で報告しました。
休憩中や寝ている間も危険
判明したのは、2010〜2019年の10年間に日焼けが原因で入院した人が160人以上いることです。
本当にひどい人では6人が集中治療室に入っていたほど。多い数字には見えないかもしれませんが、「メラノーマの高い発生率を考えると重大」と研究グループは指摘。59%が表皮のヤケドでしたが、皮膚のより深い層にある真皮の中層〜深層まで達していた人が42%、全層のヤケドも6人いました。
大半がレジャーやスポーツの間に焼いていましたが(64%)、12%は休憩中や寝ている間に日焼けしていました。さらに、5〜14歳が22%と最も多く、1歳未満の幼児も22人。
まだ皮膚の弱い年少者が多い点を最も心配する研究グループ。「多くの情報発信の努力にもかかわらず日焼け防止の重要性が十分に伝わっていない」と指摘。紫外線をさえぎる衣服を着る、できるだけ日陰にいる、定期的にサンスクリーンを塗る、帽子をかぶる、屋外ではサングラスをかけるといった予防策の徹底を強調しています。これから暑い夏、日本はオーストラリアなどほどではないかもしれませんが、気をつけるのは大切です。
<参考文献>
Connolly S, Bertinetti M, Teague WJ, Gabbe BJ, Tracy LM. Sunburn Injuries Admitted to Burn Services in Australia and New Zealand. JAMA Dermatol. 2021 May 12. doi: 10.1001/jamadermatol.2021.1110. Epub ahead of print. PMID: 33978679.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33978679/
https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/article-abstract/2779640
Sunburn injuries in Australia, New Zealand
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-05/jn-sii051021.php
(Full text link)
https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/2779640?guestAccessKey=5941553d-e4db-48f6-a225-793ebf95dcaf&utm_source=For_The_Media&utm_medium=referral&utm_campaign=ftm_links&utm_content=tfl&utm_term=051221
(参考記事)
‘Entirely preventable’: Kiwis hospitalised because of sunburn, study finds
https://www.nzherald.co.nz/nz/entirely-preventable-kiwis-hospitalised-because-of-sunburn-study-finds/6HTOWDVR7IU26X4SF4TM6QNJVA/