「お風呂でやせました!」という情報をSNSやネット上で見かけます。お風呂はダイエット効果があると言われていますが、本当にやせるのでしょうか? 脂肪燃焼はできているのでしょうか? 今回は、東京都市大学人間科学部教授で温泉療法専門医・医学博士の早坂信哉先生に、「お風呂のダイエット効果」について教えていただきました。
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お風呂で本当にやせるの?
残念ながら基本的にはお風呂だけではやせません。長湯でやせる話もありますが、長時間お風呂に入っただけではやせませんし、脂肪燃焼の効果も期待できません。
お風呂に入ると汗が出たぶんの水分量だけ体重が減ることはあるかもしれませんが、これは単なる脱水です。スポーツをしたあとにかく汗は、運動して脂肪燃焼ができた結果の汗です。だけどお風呂はお湯から熱をもらうという点で受け身の状態ですよね。つまり、汗が出たことでなんとなく運動したときの状態を体が錯覚して、やせたと思い込んでいるのです。
では、お風呂でダイエット効果を得るためにはどうしたらいいのでしょうか。
巷でよく聞く、「お風呂でダイエット」の疑問を解明していきます。
やせたいなら「半身浴」と「全身浴」どっちがいいの?
医学的な立場から見ると半身浴のダイエット効果はありません。
また、半身浴はお風呂で得られる医学的健康作用3つ(温熱作用・水圧作用・浮力作用)が、全部半分になってしまいます。心臓や肺に疾患がある人、お風呂が苦手な人はともかく、健康な人には全身浴をおすすめします。
半身浴と全身浴では、全身浴のほうがカロリーを消費することができ、全身温まるのでメリットが大きいです。体温は40度のお風呂に10分間入るだけで、0.5〜1度上がるといわれています。半身浴だと体温を上げる時間も倍になります。早く体温を上げる効率を考えても、あえて半身浴にする必要はありませんね。
では、なぜ半身浴がいいとされているのでしょうか?
病弱な人やお風呂慣れしていない人にとっては、半身浴で水圧が半分のほうが体にちょうどいいのかもしれません。ですが、半身浴でも長湯でがんばりすぎるのはあまりよくありません。
お風呂でカロリーは消費できるの?
入浴自体はウォーキングよりカロリーの消費は少ないです。
例えば、体重が50kgの人と70kgの人が同じ運動をすると消費カロリーは違います。そこで基準となるのが、厚生労働省が定めた個人の体重に関係なく運動強度を示す単位METs(メッツ)です。これを参考に数値をみると、ウォーキング(犬の散歩)だと3METs、入浴は1.5METsとなります。
つまり、お風呂に入るだけでは消費カロリーは期待できないということです。ですが、毎日お風呂に入ることで基礎体温を上げることはできます。基礎体温が上がれば、基礎代謝量が上がるので、結果としてやせやすい体質に持っていくことが可能です。お風呂の入り方次第ではダイエットに結びつけることはできます。
次のページでは、医学的な観点から「ダイエット効果を高めるお風呂の入り方」についてご紹介します。