ここ数年は秋らしい秋があまり感じられないくらい、9月が過ぎても残暑がいつまでも続きますよね。暑さが続くと、衣替えのタイミングもわからなくなってしまうものですが、急に冬のような寒さがやってくることも十分予想されます。そうすると、いきなり夏物を急ピッチでしまわなくてはいけないことになるのです。適当にしまってしまうと、来年の夏に無惨な姿を見ることに。来年も気持ちよく、お気に入りの夏物を着るためには、衣替え前の“しまい洗い”を必ずやっておくことが大切です。「しまい洗いって何?」という疑問からスタイリストの筆者がお伝えいたします。
Contents 目次
しまい洗いって?
“しまい洗い”とは、夏物を来季までクローゼットなどに長期保管する前に、洗濯をすることです。
ひさしぶりに出してみた洋服が、黄ばんでいたり変色していたり、謎のシミがついていた経験はありませんか?
これは、しまい洗いをしっかり行っていなかったことが原因のひとつなんです。
真夏に着る服には、汗や皮脂汚れが残りやすいのですが、意外と盲点なのが洗剤カス。これが時間の経過と共に黄ばみやシミ、染みついたニオイとなって見た目にわかるようになるのです。虫食いの被害にあわないためにも、しまい洗いは衣替えをする前に、必ずやっておくべきことです。
しまい洗いのやりかた<1>
しまい洗いをする日は、必ず天気のいい日に行ってください。できるだけ涼しい日に行うことがベストなので、朝晩と日中の寒暖差を感じ始めたら、少しずつ始めていきます。
この“少しずつ”というのには理由があります。
しまい洗いをする対象というのは、原則、ホームクリーニングできる夏物すべてが当てはまります(※クリーニング対象品はお店でケアを)。
たくさん服を持っている人なら、着たのか記憶が定かではない夏物もあるでしょうが、そういったものも、すべてしまい洗いをすることに意味があります。
恐らく1日では終わりきらない量をお持ちの方がほとんどでしょうから、一気にやっても終わりませんし、干す場所もありませんので、一度に干せる量を目安にして、数日に分けて行うことをおすすめします。
しまい洗いのやりかた<2>
しまい洗いは、いきなり洗濯機で洗ったりはしません。部分洗いが必須です!
わたしが部分洗いで使っているのは、部分洗い用の液体洗剤「ウタマロ リキッド」です。
コットンやリネンといった夏の定番素材だけでなく、ウール、シルクなどオシャレ着素材にも使える中性洗剤なので、色落ちを気にせず使えますし、無けい光なので、白系の衣類にも安心して使えます。
この原液を、首部分やすそ部分、わきまわり、肉眼で発見できたシミ汚れに、直接かけてしばらく放置。そのあと、手でもみ洗いしてから、ぬるま湯に衣類全体を浸け置きします。時間にして、大体20分くらいです。様子を見て、それ以上置くこともあります。浸け置きすることで、目に見えないシミ汚れも逃しません。
原液をかけるときは、かけたい部分にうまく液が行き渡らない場合、古い歯ブラシを使って塗っていきます。
もみ洗いするときも、シャツのような固い衣類、毛羽立ちが心配されない素材には、古い歯ブラシを使って、汚れをかきだしたりもします。
しまい洗いのやりかた<3>
浸け置きを終えたら、衣類をネットに入れて、洗濯機で洗います。
大きめのネットがあると、同じ色の衣類でまとめて入れられるので、使うネットの枚数が少なくて済みます。
くれぐれも衣類は入れすぎないように。入れすぎるときちんと洗えないので、ネットに衣類を入れたとき、半分は余裕をもたせるようにしましょう。
ネットを使うことで、ハンドクリーニングをする手間を避けられます。また、同じ色の衣類でネットを分けることで、色写りを防ぎます。
しまい洗いのやりかた<4>
洗濯機に入れる洗剤も、わたしは部分洗いと同じ中性洗剤を使っています。
洗濯機の設定ですが、カスタマイズできるようであれば、水位は高く、洗い時間は長く、すすぎは2回、脱水は短時間に設定します。
水位を高くすると、洗濯機の中で洗濯物がしっかり泳ぐので、汚れ落ちUPにつながります。
すすぎを2回にすることで、皮脂汚れはもちろん、洗剤カスをしっかり落とし、脱水を短時間にすることで、洗濯による衣類ダメージを最小限に抑えます。
また、洗濯に使う水ですが、部分洗い、洗濯機洗い、どちらもお風呂の残り湯は使わず水道水を使います。皮脂汚れが残る水で洗っても、しまい洗いの意味を果たさないからです。
しまい洗いのやりかた<5>
洗い終わったら、しっかり乾くまで干します。少しでも生乾きがあると、カビやとれないニオイの原因にもなります。
わたしは、干したあと洗濯機やお風呂の乾燥機の送風で、仕上げ乾燥をしています。乾燥したあとは、アイロン不可のもの以外、アイロンをかけていきます。アイロンの熱が衣類を殺菌するので、防虫にもなります。
アイロンの粗熱がとれたら、衣類の上に防虫剤をのせて収納します。
家の特性上、湿気がこもりやすく、衣類のカビに悩んでいる場合は、除湿剤をクローゼットに入れるだけでなく、衣類を収納する棚に直接入れておきます。なかに新聞紙を敷くことも、かなり効果的です。
とくにいちばん下の棚は湿気がこもりやすいので、効果がわかりやすいです。
湿気による衣類のニオイもつかなくなるのでおすすめです。
靴のしまい洗いのやりかた
サンダルやミュール、エスパドリーユなど、素足ではく夏靴も、しまい洗いをしておくと、変色やカビ、ニオイの発生をかなり抑えられるので、服と一緒に必ず行ってください。
靴は直接洗うことができないので、前編で紹介した部分洗剤を古い歯ブラシや古布につけて、まずはそれで靴の中敷きをこすって、ふいて洗っていきます。
終わったら、水を含ませた古布で中敷をふきあげます。靴の外側は、いつもと同じお手入れでかまいません。くれぐれもお手入れなしで収納しないようにしてください。
しっかり陰干しして、中敷に水分が残らないようにしてから、収納しましょう。
収納するときには、ジェルクッションなどをつけたままにしないで、必ずはずしてくださいね。湿気がこもりやすい場所に収納すると、ベタベタにくっついてしまって、最悪の場合はけない状態になってしまいます。ジェルクッションなど使い捨てではないサポート具は、直接洗って靴とは別で乾かしておきましょう。
夏靴をしまい洗いをするときには、ついでにソールの減りなど傷みをチェックしておき、修理が必要なものはすぐに出しておきましょう。夏がやってきたとき、すぐはくことができます。
夏物がたくさんあればあるほど、しまい洗いをする負担も大きくなります。
ですが、しまい洗いをすることは、モノをもつことについて改めて考えさせられますから、いい機会にもなりますよ。来季のために、ぜひやってみてください。