朝晩の急な冷え込みで、体の調子をくずしやすい時期になりました。冷えは万病のもとと言われます。体が冷えやすい人は、毎日のお風呂でしっかり温めたいですね! 古くから万能薬として使われてきた薬草を使った入浴剤なら、体がじっくり温まり、心も安らぎますよ。おすすめの薬湯入浴剤の香りや効果実感などをくわしくご紹介します。
Contents 目次
いつもの入浴剤を薬湯に変えてみない?
薬湯(くすりゆ・やくとう)とは、温泉の成分や、薬草を入れたお風呂のことです。身近なところでは、夏至の日に入るしょうぶ湯や、冬至のゆず湯も薬湯のひとつです。
薬湯と聞くと、温泉のイメージを持つ人も多いかもしれません。日本三大薬湯として知られる温泉には、群馬県の「草津温泉」、兵庫県の「有馬温泉」、新潟県の「松之山温泉」があります。これらは病気を治す湯治(とうじ)の場所として今なお人気となっています。また、銭湯などでも、生薬やハーブが配合されたさまざまな薬湯を体験したことがある人も多いのではないでしょうか。
今回は、自宅で手軽に楽しめる薬湯をご紹介します。一般的に薬湯には、保温作用や保湿作用、発汗を促す作用などがあるとされていますので、入浴剤としてとり入れれば、冷えた体を温め、しっとりとした肌を保つことができますよ!
また、湯船につかることで、心もゆったりと安らぐはずです。ぜひお試しくださいね!
1.薬湯初心者にも◎ シンプルな伝統薬湯「よもぎ湯」
「よもぎ湯」は、婦人科系のケアに効果的と言われる「よもぎ蒸し」でもおなじみの「よもぎ」を使った薬湯です。古くからお茶やおもちなどの原料として重宝されてきたよもぎは、体を温める薬草としても知られています。血行を促進させて冷えを解消し、肩こりや神経痛を和らげてくれるそうですよ。また、抗菌作用や抗炎症作用があるので肌荒れにも効果的と言われています。それだけに、天然のよもぎを使ったよもぎ湯の入浴剤は、全国的に作られていてさまざまな種類が発売されています。
今回ご紹介するのは、愛媛県宇和島市の山里で作られたよもぎを100%使用したよもぎ湯です。
不織布のパックの中に、粉砕された乾燥よもぎがたっぷり入っています。こちらをお風呂にポンといれるだけで、よもぎの薬湯が完成します。色は茶色がかった淡い緑色で、透明感がありさらりとしたお湯です。
不織布のパックは、最初はお湯になじみにくい場合がありますが、湯船の中でもむようにしてお湯をなじませると、よもぎの成分がどんどんお湯に溶け込んでいきますよ。
よもぎ湯は、よもぎもちを思い出させるようなほんのり甘くさわやかな自然の香りがします。一般的に薬湯は香りにくせがある場合が多いですが、よもぎ湯は香りにくせがなく、香り立ちもさほど強くないので、入浴中に香りが気になるということはないでしょう。初心者や強い香りが苦手な人には特におすすめです。また、よもぎに含まれる精油成分には、イライラを解消し、安眠作用があるので、夜リラックスして眠りたいときにもぴったりですよ!
実際に入浴した実感では、やさしく、じんわりと体が温まっていくのが感じられました。急激な発汗作用を感じるというよりは、穏やかで心地のよいぬくもり感が続きます。冷えたお腹や腰を温めたい人は、よもぎ蒸し代わりに、自宅でよもぎ湯にじっくりと浸かってみてはいかがでしょうか?
2.芯からホカホカ温めたい人に。本格薬湯「薬草湯」
次にご紹介するのは、生薬5種とハーブ1種類を配合した薬草湯です。
こちらも不織布に入ったパックのタイプです。パックの中身は、粉砕した植物の葉や根っこ、乾燥した果実など、大小さまざまの生薬が配合されています。
5つの生薬はフェンネルともいわれるウイキョウ、くちなしの果実を乾燥させたサンシシ、セリ科の植物センキュウ、温州ミカンの果皮であるチンピ、ハッカです。さらにハーブのカモミールとして知られるカミツレが入っています。
薬草湯の効果効能として、パッケージには「疲労回復、肩のこり、冷え症、腰痛、神経痛、リウマチ、痔、荒れ性、あせも、しっしん」と記載されています。数種類の生薬とハーブの力が合わさって、冷えや痛み、肌荒れなどに効果を発揮するようです。
パックを外装袋からとり出すと、甘さを感じる木や草の香り、ハッカのスーッとする清涼感のある香り、やや苦味を感じるような香りなど、複雑に混ざり合った香りが広がります。お香や香木のような独特の香りなので、好き嫌いは分かれそうですが、入浴中は鼻が慣れてくるせいか、さほど強い香りとは感じません。
薬草湯のパックは、破れてしまうのを防ぐため、もみ出さずにそのままお湯に漬けておきます。薬草の成分が溶け出てくると、薄い黄色のお湯色になります。
湯船の中で肌にふれると、ツルツルとしたなめらかさを感じます。ぬるめのお湯で半身浴をしていても、体が冷えることなくじんわりと温まることが実感できます。長めに浸かってもそれほど発汗が激しくなることはなく、芯からホカホカと温まっていきます。
お風呂上がりに脱衣所へ出たあとも温かさは持続するため、湯冷めをしにくいと感じました。
生薬とハーブがミックスされた入浴剤のため、独特の香りはしますが、香りが強く立ち上ぼってくることはないので、本格的な薬湯に入りたいと考えている人は、トライしてみてはいかがでしょうか。
3.クセありの香りがやみつきに?! 「ツムラのくすり湯」
ここまででご紹介した2種類の薬湯は、不織布パックのタイプなので、お風呂上がりに不織布をとり出して捨てる手間がどうしてもかかってしまいます。もっと手軽に薬湯に入りたいという人は、お湯に溶かすだけの液体タイプを試してみませんか?
こちらは生薬の抽出エキスが配合された液状の入浴剤です。そのエキスの濃厚さは、ボトルのキャップを開封する前から、香木のような甘い香りがもれ出ていることからもうかがえます。商品の紹介文には、「柑橘系の香りと生薬独特の香り」と書かれていますが、柑橘系のさわやかさをかぎとるのはなかなか難しく、かなりインパクトのある香りです。甘い香りが好みの人や、漢方のように薬効感のある香りが好きな人には魅力を感じる香りと言えそうです。さっとお湯に溶かせてゴミが出ない手軽さと、抽出された生薬エキスの温浴効果が味わえるという本格感を両立している点がおすすめしたいポイントです!
バスハーブ抽出液(トウキ、センキュウ、ハマボウフウ、チンピ、ハッカ、カミツレの生薬抽出エキス)による薬湯の効能は「腰痛、荒れ性、冷え症、神経痛、リウマチ、肩こり、痔、疲労回復、あせも、しっしん、ひび、あかぎれ、にきび、ただれ」とのこと。このバスハーブは1975年に発売されたロングセラー商品ですが、科学的根拠のしっかりした入浴剤とするため、当時5年をかけてデータの収集と解析を行ったそうですよ。
中身は液体状なので、キャップで使用量を計量してからお湯に溶かします。お湯の色は蛍光色のような、明るい緑色です。
バスハーブを入れたお湯は、肌あたりがなめらかになったと感じます。発汗効果は強めで、入浴中から鼻の頭などにじわじわと汗をかいてくるのがわかります。短時間で早く温まりたい人におすすめです!
また、湯船に入れるだけでなく、洗面器などのお湯に数滴たらして上がり湯として使ったり、足湯として使ったりすることもできます。お風呂では違う香りの入浴剤を使いたいときや、家族で入浴剤の好みが分かれてしまうときなどは、最後の上がり湯や足湯で薬湯の効果を味わってみてはいかがでしょうか。
初心者向きのものから本格的な薬湯までご紹介しましたが、いかがでしたか?毎日ではなくても、ときどき温泉代わりに薬湯で体を温め、心も休めてあげたいですね!