記録的な暑さがつづく今年の夏。ちょっと外に出ただけでも汗がダラダラ、皮脂がギトギト、いつの間にかメイクもだいぶ落ちてる...ということもめずらしくありませんよね。きちんとケアをしないでいると、あせもをはじめとする皮膚疾患を引き起こします。
そこで今回、成城松村クリニックの松村院長先生に、夏に急増する肌トラブルと対処法を教えていただきました。
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赤くて痛がゆい湿疹「あせも」
<どんなトラブル?>
夏に多く見られる肌トラブル「あせも」は、たくさん汗をかいたときに、皮脂などで汗の出口が詰まり、皮膚内に汗がたまることで発症します。乳幼児や汗をかきやすい人、太りぎみの人に出やすいといわれています。
子どものあせもは透明の水疱が多いのですが、大人のあせもはかゆみを伴った直径2~3mm㎜の湿疹。ピンク色や赤色で、チクチクとした痛みがある場合もあります。皮膚が触れあう首まわりやわきの下、太ももなどは化膿しやすいため、早めの治療が必要です。
<治療法>
ドラッグストアなどで売られている軟膏を用いれば、数日で治りますが、あせもがじくじくしたり、炎症がひどいような場合は、皮膚科を受診しましょう。
<予防法>
汗をかきやすい人は、汗をかくたびにタオルやデオドラントシートなどで拭き、吸水性の高い洋服を着るようにします。また、制汗パウダーをつけるのもいいでしょう。ただし、すでにあせもができている場合は、悪化してしまう場合があるので、おしぼりやタオルで拭くほうがいいでしょう。
赤アザのような見た目と強いかゆみ&痛みの「汗あれ」
<どんなトラブル?>
汗をかいたままそのままにしておくと、汗に含まれるアンモニアや塩分が肌に残ります。これらが肌への刺激となり、チクチク、ピリピリとした痛みを引き起こす。これが「汗あれ」です。
さらに皮脂を糊がわりにして汚れやホコリが患部に密着することで、かゆみが生じる場合も。汗あれを起こしている皮膚が赤みを帯びるのも特徴で、正常な肌に比べて腫れているようにも見えます。一般的に赤いぶつぶつは出ません。 ひじの内側や首筋、わきの下など、皮膚が薄く、洋服が触れやすい部位によく起こります。
<治療法>
かゆみを抑える物質を配合した専用のローションやクリームを塗ります。薬局でも手に入りますが、症状がひどい場合は皮膚科を受診しましょう。肌が乾燥すると汗あれが起こりやすくなるため、保湿できるタイプの薬剤を選びます。
<予防>
治療と同様、保湿が大切です。ひじの内側やひざの裏側などは乾燥しやすいため、夏でもきちんと保湿します。あせも同様、汗をかいたらまめに拭くようにします。また首筋にかかる髪は肌への刺激となるため、髪型を涼しげなアップスタイルにしておくのも効果的です。
ニキビが増えた? 顔がかゆい「顔カビ」
<どんなトラブル?>
肌に棲みついているカビ菌の一種「マラセチア菌」によって起こります。本来は肌を弱酸性に保つために有益な働きをしてくれているのですが、夏の湿気や暑さ、皮脂の増加によってその数が増えると、かゆみや発疹の原因となるのです。ときには発疹のなかに膿がたまることもあり、ニキビと勘違いする人も。ニキビはアクネ菌が原因となるトラブルですので、まったくの別物です。
<治療法>
マラセチア菌の繁殖を抑える塗り薬を使用します。かゆみや発疹はニキビなのかマラセチア菌によるものなのかは、きちんと医師に判断してもらいましょう。
<予防法>
マラセチア菌は顔に使用するタオルやメイク道具に付着し、繁殖します。スポンジやパフなどは使い捨てのものを使うか、使用するたびにきちんと洗い、乾燥させてから再度使うようにしましょう。
肌を清潔にしようとするあまり、顔を洗い過ぎるのは逆効果。皮膚のバリア機能を損なってしまいます。汗をこまめに拭き、タオルやメイク道具は清潔なものを使用するのが基本的なトラブル回避術といえそうですね。
量・質ともに十分な睡眠や、ビタミンCを意識した食生活も美肌への近道。肌トラブル知らずで、この夏を終えたいものですよね。
文/本間美加子