入浴には、不安の軽減効果があることが医学的研究や心理学的の実験などで明らかになっているといいます。そこで、『お風呂研究20年、3万人を調査した医者が考案 最高の入浴法』の著者で医学博士の早坂信哉さんに、精神面を整えてくれるお風呂の入り方を教えていただきました。
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イライラしているときと、やる気がでないときでは入浴方法が違う
仕事などの社会的ストレスにおいて人間関係や精神的ストレスなど、私たちの生活に切っても切れない関係にあるストレス。ストレスを感じたときに覚えておきたい、ストレスを軽減させてくれる入浴法とは?
「ストレスには、過度に精神的ストレスがかかって『やたらとイライラする・あせる』というパターンと、『何もやる気がでない』というパターンがあります。
イライラしたり、あせっているときは、交感神経が優位になっている状態です。交感神経とは、別名『闘争(逃走)神経』ともいわれ、積極的な活動を行うために体をコントロールするのが役割です。
そんなときは、少しぬるめの40℃のお湯に、少し長めの20分程度しっかり浸かり、癒しの神経の副交感神経を優位にしましょう。もちろん汗をかいたら途中で湯船から出て休憩をはさみ、入る前と後の水分補給も忘れないようにしましょう。
一方、やる気がでないというときは、『イライラ』のときとは逆に交感神経を刺激してあげます。熱めの42℃のお湯に5分間入ることで、交感神経のスイッチを入れることができます。
お風呂は、毎日入ると幸福度が高くなることが調査でわかっています。毎日お風呂に入ってストレスを和らげることは大切です」
「ヒートショックプロテイン」を活用しよう!
最近の入浴研究では、「ヒートショックプロテイン」の効用が話題といいます。
「『ヒートショックプロテイン』とは、入浴の温熱刺激によって体温が上がると分泌される高ストレスたんぱく質のことです。これは、免疫機能を強化したり、細胞の修復をうながしたりしてくれる働きがあります。
この『ヒートショックプロテイン』は、41℃のお湯なら15分、42℃なら10分入ることで、二日後に増加する上、ウイルス感染を防御する『NK(ナチュラルキラー)細胞』も増えることが研究でわかっています。そのため、試験や試合、発表会など、ここぞという日の2日前に上記した入浴法でお風呂に入れば、精神的ストレスの耐性が高まり、当日によいパフォーマンスが発揮できると考えられています。
ただし、41~42℃のお湯に10~15分も入る入浴法は、のぼせや血圧上昇のリスクもあり、注意が必要です。長期的に体にどう影響を及ぼすかはまだ不明なので、毎日ではなく、いざというときに試してみるのが賢明です」
参考書籍
『お風呂研究20年、3万人を調査した医者が考案 最高の入浴法』
文/奥沢ナツ