みなさんは自分の見た目に自信がありますか? 自分の見た目に自信を持っている人は、幸福感を得られやすいなどプラスの傾向があると言われています。でも、写真や鏡に映った自分の姿と、まわりの人から見た自分の姿や印象は本当に同じなのでしょうか? 光伸メディカルクリニック院長・医学博士の中村光伸先生の著書『わたしはリバースエイジングドクター』(平成出版)より、「見た目」と「動き目」について教えてもらいましょう。
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周りの人からの印象は「見た目」でなく「動き目」で決まる
「人は、自分の顔や姿を確認するとき、まず鏡を見るのではないでしょうか。お化粧をするとき、美容院で髪型を変えるとき、新しい服を買うとき…鏡を見て自分に合っているか、若く見えるかをチェックするものです。
自分の見た目に納得ができると、自信がつきます。自分の見た目に自信のある人は、幸福感を得られやすい、肉体年齢も若い、人生に生きがいを感じている、といったプラスの傾向があることが、さまざまな調査によって実証されています」(中村光伸先生)
「自分は若い」と感じている人は、そうでない人たちと比べると、実際に長寿であるというデータもあるのだとか。
ただし、それはあくまでも「静止画」の世界の話。
「私たちは『動画』の世界で生きています。『あの人って若いよね』『元気だよね』と他人に対して感じるとき、私たちは目にしている動作すべてを見て、総合的に判断しています。
『静止画』で判断するのは、せいぜい雑誌に載っているモデルさんに対してぐらい。テレビに出ている芸能人に対しても、身近で出会う人たちに対しても、立ち居振る舞いや顔の表情、バッグの持ち方から食べるときの口の動きまで、視界に入ってくる情報すべてからその方の人となりを読み取っています。私はこれを『動き目』と呼んでいます」
「見た目」とは、静止しているときの顔・姿のこと。例えば、鏡を見たときに映る自分の姿などを指します。反対に「動き目」とは、動いているときの顔・姿のこと。顔ならば喜怒哀楽の表情、体ならば歩いたり座ったり、日常動作のすべてを指します。
他人が、あなたの年齢や人となりを推測するとき、多くは「動き目」を見て判断します。
「恐ろしいことに、いくら『見た目』だけを若作りしても、『動き目』はごまかしが効かないのです。服や髪型が若くても、歩き方や姿勢が老けた感じだと、決して若くは見えません。それどころか、厳しい言い方をすれば見た目と動き目にギャップがありすぎると滑稽に見えることすらあります。
さらに細かく言うならば、顔の見た目だけが整っていても、ブスッと不機嫌そうであったり、喜怒哀楽に乏しかったりと、動く表情(動き目)が美しくない人は、魅力的に見えません。
『動き目』は本人の努力しだいで、いかようにもリバースエイジングが可能だという側面を持っています。その逆に、『動き目』をおろそかにすると、加齢は一気に加速。体の動きが悪くなると、どこかへ出かけたり何かをするのが億劫になって、行動範囲が狭まります。今までは用事があれば電車に乗って出かけていたものを、だんだん近所で済ませよう、という発想に。
そんな生活をしていると、ますます体力も気力も落ちていき、近所にすら出かけなくなってしまいます。そのうち家の中でも2階に上がるのが億劫になり、自分の部屋とトイレの往復になり、最後は布団の中だけで過ごす日々。動き目加齢の行きつくところは、寝たきりの生活なのです」(中村光伸先生)
あなたは自分の「動き目」に自信がありますか? この機会に一度チェックしてみましょう!
<動き目チェック>
1、信号を渡っている途中で黄信号になって急ぐとき、走るというよりは小刻みな走りになってしまう
→本来急いで走ろうとすると歩幅が広がるはず。歩幅が広がらず小走りになってしまう人は、股関節まわりの柔軟性や筋力バランスが衰えている可能性があります。
2、椅子に座り、片脚を床と平行に上げる。手の反動をつけないために、両手は胸の前で組む。その姿勢のまま、片脚で立ち上がれるかチェック。利き脚でないほうも試してみて
→片脚で立ち上がるとき、気合いを入れないと立ち上がれない人や、グラついてしまう人は、下半身の筋力が低下しています。
3、体重は変わっていないのに、以前の服がきつく感じるようになった
→体重が増えていないのにボディサイズが大きくなるのは、筋肉量が落ちて脂肪に変わっているサインです。
4、ここ数年の間に、ヒールの高い靴をはいていて、つまずいたり足をひねったりしそうになったことがある。もしくははいている間に、ひざや腰に痛みを感じた
→ヒールの高い靴を正しい姿勢ではきこなすためには、筋力が必要です。つまずいたりひねったりするのは、姿勢がキープできていない証拠。また、悪い姿勢で歩いているとひざや腰が曲がり、痛みがでてきます。
5、マッサージや整体に行っても、一瞬気持ちいいが、すぐに痛みやこりが戻ってしまう
→こりや痛みは、姿勢の悪さによって起こるもの。つまり、あなたの体は正しい姿勢を維持するための筋力が欠けていて、骨格の並び(アライメント)が崩れているのです。いくら症状のあるところをていねいにもみほぐしても、原因を改善しない限り、同じことをくり返します。
6、壁に沿って立った姿勢を、横から鏡に映して姿勢チェック。とくにこの3つは重要ポイント
・ひざが曲がって前に出ている
・うしろ肩が壁につかずに浮いてしまっている
・首が前へ突き出ている
→まっすぐ立って正しい姿勢がとれないということは、全身の骨と筋肉のバランスが崩れています。バランスが崩れた状態だと体の機能をフルに発揮することができません。例えば、歩幅が狭くなる、瞬発力がなくなる…といったように、動きに影響が出てくるのです。
7、次は鏡に向かって正面向きに立つ。まっすぐ立ったとき、両ひざの間が空いていないかチェック
→姿勢が崩れている人は、内ももの筋力が低下しています。その結果、O脚ぎみの立ち姿勢に。リラックスしてまっすぐ立ったとき、ひざとひざの間が大きく空いてしまう人は、内ももの筋肉がかなり落ちています。
自分自身の見た目を確認するには、どうしても静止画に頼ることが多いと思いますが、他人から見た自分はどう見えているのか、「動き目」を気にかけることで本当の意味で自分に自信が持てるのかもしれませんね。診断で当てはまる項目が多かった人は、健康的な若々しさをキープするためにも、対策を始めましょう!
『わたしはリバースエイジングドクター』(平成出版)
著者:中村光伸
文/FYTTE編集部